皆さん、最近『習字』してますか?
筆者は遥か昔に学校の授業でやって以来、やった記憶がない。習字どころか紙に文字を書く機会さえほとんど無かったのだが、先日、久しぶりに習字をやってみたい!と思えるような商品と出会ってしまった。
おわかりだろうか?
なんと、墨や墨汁を使わずに「水」だけで書道ができる“水習字用紙”が誕生したのだ。
しかも、この文字は乾いても消えない。これまで水だけで書ける用紙は販売されていたが、数分後には消えてしまうものばかり。そこに登場した逸品は、まさに書道革命!お家でのお洗濯も楽チンになる画期的な商品だ。
ところでこの用紙は一体どんな仕組みになっているのか?開発者で書道教室の先生も務める浜飯政美さんに開発秘話を聞いた。
–「水習字用紙」開発のきっかけを教えてください
「書道日本一の経験を活かし、字を教え始めて20年以上経過しましたが、年々お習字離れを実感していました。子供たちからは「道具が重い」、親御さんたちからは「汚れるのが嫌」という意見もあって。」
「小学校でも「書写」の授業で毛筆が復活しましたが、先生の話では墨汁を使った場合、後片付けに時間がかかりすぎて次の授業に影響が出るらしく、「乾いて消える紙」だけを使って授業を終える先生もいると聞きました」
「しかし私は作品が残らないと上達しないと考えています。上手に書けた時に先生や親御さんから褒められることは自信につながるからです。ならば、『水だけで書けて作品が残せる紙があればもっと楽にお習字ができてみんな字が上手になるはず』と考え、約3年かけて開発しました」
浜飯先生の想いが実り、誕生した水習字用紙。最大の特長は「乾いても文字が消えない」こと。消えない状態を維持できる秘密とは?
「簡単に言うと、水に反応しやすいインク(塗料)を使用しています。通常の墨汁で書くのと変わらない書き味にするため、濃度などの調整は工場の職人さんと何度も試行錯誤しました」
–開発で苦労した部分は?
「まずはイメージを形にするため、大型文具店にあるインク、絵の具、塗料の類とあらゆる種類の紙は全部購入し、Amazonで売っている薬品類もたくさん買い込み、開発に辿り着きました」
「また、製造工程が特殊なので請け負ってくれる工場探しも難航しました。クオリティを求めた結果、国内生産となり原価がかかりすぎてしまっているのが現時点で苦労している部分です」
たしかに普通の用紙と比べたら割高だ。10枚入りで399円。一般的な用紙が1000枚で2000〜3000円と比べると、10倍以上の値段。
だが、公式SNSで水習字用紙の真っ正直に、正しい使い方を説明している。
最高の用紙で最高の作品を残して欲しい。しかも、汚れること無く気軽に使えるという楽しい思い出も込みで。親御さん、お子さん目線に立った開発者・浜飯さんの切なる願いが、この商品には込められている。
そしてそれは、ユーザーにも伝わっている。
「今年2月の発売後、面白いと思ってくださった個人の方や、小学校・高齢者施設などからの大口の注文もいただいて反響の大きさに正直驚いています」
「3週間で2,000セット20,000枚の発注をいただきました。書いた様子をSNSに投稿されている方もいてうれしい限りです」
購入者からは「書き味が墨汁と変わらないのがいい」「筆の通り道が分かりやすい」「色がきれい」という声が寄せられたとか。また、「早速小学校の授業で使いたい」「書道体験イベントで使いたい」「絵を描いてみたい」という声も。これから、様々な場面で目にすることだろう。