DIME MAGAZINE
2021年8月29日16時。この日は静岡県中部、そして山梨県に住む人々の生活を大きく変えてしまう出来事があった。
中部横断自動車道の双葉JCT〜新清水JCTまでの道程が開通されたのだ。
この中部横断道のダイナミックさを伝えるには、筆者の稚拙な文才ではあまりに不足している。新清水JCTで新東名道から中部横断道に乗り換え、双葉JCTで中央自動車道に乗り換え、八王子JCTで圏央道に乗り換え、そして海老名JCTで東名道に乗り換え……という大胆な周回が、徹頭徹尾高速道路でできるようになったのだ。
これは富士山と丹沢をぐるりと囲む環状線に他ならない。
そしてこの大環状線は、我々の生活に対して既に変化をもたらしつつある。
佐久市の「海産物革命」
長野県佐久市のスーパーマーケットでは、日本海側の海産物の取り扱いが多かった。それが今では太平洋側からの海産物を調達できるようになった。これは清水銀行が主導する「越境ビジネスマッチング」の成果でもある。
清水港で早朝に仕入れた海産物を佐久市内のスーパーで即日販売するというものだが、もしよければGoogle Mapで佐久市の位置を確認していただきたい。
「日本で海岸線から最も遠い都市」として知られる佐久市だが、改めて地図で眺めると「本州のヘソ」と呼ぶに相応しい位置にある。
中部横断道ができる以前、佐久市に清水水揚げの海産物を運ぶことは極めて難しかった。いや、それよりも日本海側の港から海産物を持ってくるほうが早くて簡単だったと書くべきか。それが中部横断道の整備により、状況が劇的に変化した。
清水銀行主導の越境ビジネスマッチングは、清水水揚げの海産物だけが対象ではない。全国的に有名な川上村のレタスを太平洋側へ流通させる目的にも使われる。これはまさに「物流大革命」と表現してもいい出来事だ。
清水港〜新東名道へのアクセスが容易に！
その上で、2月20日にこのような出来事もあった。
静岡県内にある県道75号清水富士宮線バイパスの全線開通である。
庵原球場入口交差点から清水いはらICに至る2km弱の道程が整備されたということだが、要するに清水港〜新東名道への直接的なアクセスが実現したのだ。
清水いはらICは、中部横断道の実質的な出入り口でもある。時間が勝負の海産物流通業者にとってはこれ以上ない朗報でもある。
もちろん、関係業者というわけではない一般ドライバーにとっても嬉しい話に違いない。
東名道よりも車線の多い新東名道は、同時に法定最高速度も120km/hに設定されている。これは実は速力に限度のある軽自動車や250cc以下の二輪車にとって有利に働く。なぜなら「遅いクルマは左へ行き、速いクルマにどんどん追い越してもらう」ということができるからだ。
故に新東名道はマイペースのドライブやツーリングに最適の道路なのだが、その最中に日本有数の商業港を有する清水へ寄り道……ということも清水富士宮線バイパスの全線開通で手軽にできるようになったというわけだ。
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