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子育てしながら職人の道を邁進、ものづくりの世界で進む女性の新しい活躍の形

2023.02.28

作り手と生活者の両方の視点を活かした女性社員が作る竹の箸

熊本県と福岡県の県境の人口約9000人の熊本県南関町にある「ヤマチク」は、竹材業を前身に持つ、60年間竹の箸だけを作っているメーカー。地元の山から切り出した竹から手作業で箸を作っており、竹の切り出しから板状に加工する作業は男性社員が担っているが、箸に加工するのは地元の「ママさん社員」が主体となっている。

「箸づくりは手先の細かい作業が多く女性に向いているということもありますが、社として子育てのしやすい環境を提供していることもママさん社員が多い理由のひとつです。何かあったら助け合うという社風が昔からあり、以前は子どもが工場内を走り回っていたこともあったほどで、今でも学校帰りのお子さんが工場に寄っていくなど、子育て中のお母さんが働きやすいアットホームな環境です。

製造だけでなく商品のプロダクトデザインはすべて自社で行っています。社内で毎年デザインコンペを実施しており、入選した作品は翌年の新作として商品化します。デザインを本格的に勉強した社員は一人もいないのですが、箸は毎日食事や調理で使うものなので、生活の中からこんな箸があると便利、こういう箸を使ってみたいといった、作り手と生活者の両方の視点で各自が開発しています」(ヤマチク 吉田真菜さん)

2022年の社内デザインコンペでは、カップラーメンの蓋を押さえられる「うら技箸」、子どもの成長に合わせて使いやすいサイズを展開する「オーロラ角箸」、頭側を細く研いで火加減をみる竹串代わりに挿すことができ、箸先側は煮崩れしないように太めにして両面が使える煮物調理に最適な「煮物のため菜箸」、女性にも使いやすい長さで人気の「スターライト箸」などが入選した。

松嶋里利香さんは入社1年目だった2021年の社内デザインコンペで、納豆を混ぜるための箸「納豆のためのお箸」を開発。(※画像左が吉田さん、右が松嶋さん)

「納豆をかき混ぜるときのデメリットをすべて解決した箸で、箸先が太いという画期的な形です。箸先に重心あるので小鉢やパックに立てかけても箸が倒れず、箸先が丸くなっているのでパック内でかき混ぜている時に箸でパックを突き破ることもありません。また、箸先に7本の刻みが入っていて、混ぜると空気が入りやすくなり、ふわふわとした具合に仕上がります」(松嶋さん)

ヤマチクの箸は、全国の取扱店舗(公式サイト参照)、自社ECサイト、工場併設の直売所で販売。箸は見た目で選びがちだが、手に合った長さや太さ、つかみやすさなど実際に試してから購入するのが本来は望ましい。展示会では豆をヤマチクの箸でつかんで使いやすさを体験できるコーナーが設置されていた。

今年11月11日の「箸の日」には工場の敷地内にショップ&カフェがオープンする予定。箸を使うメニューを提供し、箸先や持ち手の感触だけでなく、実際に口に運ぶことまで体験できるので使用感を確かめることができる。

【AJの読み】子育てしながら職人の道を邁進できる環境から良品が生み出される

岩根さんも、ヤマチクのママさん社員も子育てをしながら職人として活躍している。子育てと仕事の両立は苦労が多いが、岩根さんは夫のサポートがあり、ヤマチクでは会社がバックアップしている。子育てしながら職人の道を邁進できる環境がある中で、良品が生み出されていると言えよう。

「どらやきみならい」のどらやきは、皮がしっかりとした昔ながらのどらやき。昨今はもちもちとした食感のどらやきも人気だが、しっかりとした皮とシンプルなあんこという子どもの頃に食べたおやつを思い出すなつかしい味だ。

竹以外の木やプラスチック製などお手頃価格の箸も多いが、竹の箸はすべらずつかみやすいので筆者は竹の箸を愛用している。特に調理に使う菜箸や盛り付け箸は、竹の箸以外は使わない。

ヤマチクは60年に渡り竹の箸だけを作り続けているが、前身は「山崎竹材工業所」という建材製造のメーカーで、現在は竹の切り出しからデザイン、製造、加工まですべて自社で担っている日本で唯一の竹箸メーカーだ。品質の高さから名店と呼ばれる料理店でも愛用されている。

文/阿部純子

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