カーボンニュートラルやSDGsなど、世界各国で環境問題の改善に向けた取り組みが盛んになっている昨今。次世代のエネルギーとして注目されているものの1つに、水素があります。
水素を使った燃料電池車などの登場で、燃料電池を開発するメーカーは、発電の効率や耐久性の向上、コストの低減に奮闘している真っ最中。そんな中、パナソニックは業界初となる、〝高湿度下の水素流量・濃度を同時計測〟できる超音波式水素流量濃度計を開発、2023年2月10日より受注を開始しました。
みなさん、おそらくはじめて目にした言葉であろう、超音波式水素流量濃度計とは、どのような活躍をする製品なのでしょうか?
高湿度下の水素流量・濃度の同時計測ができる「超音波式水素流量濃度計」って何?
燃料電池システムでは、水素の状態を把握することが難しい場所があるってご存じですか?
というのも、燃料電池では一度にすべての水素を反応させることが難しく、発電時には、熱と水が同時にできるため、一部の水素は高温で湿度を含んだ状態になるからです。
また、空気中の窒素が空気極から燃料極に徐々に移動すると水素濃度が下がり、発電効率が悪くなったり、果てには機器が劣化する恐れがあり、定期的にガスを排気する必要があります。
今までの水素流量・濃度計測器は、湿度が高いと計測できなかったのです。そのため、従来はガスを抜き取って調べたり、水素の供給量や発電量から内部の状態を推定し、水素の供給タイミングや排気のタイミングをコントロールしていました。
しかし、ガスを抜き取って調べる場合は手間やコストがかかります。一方、内部を推定して水素流量・濃度を計測する場合は、誤差が生まれやすいといった問題が発生します。
また、湿度を落とす装置を付けて計測もできますが、燃料電池の本来の姿と違うため、運転中の数値と違うデータになってしまいがち。
そんな中、今回発売されたパナソニックの超音波式水素流量濃度計は、高い湿度でも水素流量と濃度をリアルタイムに同時計測が可能。……実は画期的な仕組みなのです
超音波式水素流量濃度計の説明をするパナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 スマートエネルギーシステム事業部の三好 麻子さん