大豆加工食品としてのイノベーション
ギャンモを使ったバーガー
ところでギャンモは、どのような味や食感なのだろうか。
「従来のお豆腐製品は、やわらかいので『噛み応え』という点で、メインディッシュのおかずには適さないところもあると思います。それをギャンモはフードテックで生まれた弾力性のある大豆加工食品も用いることで、『しっかり噛める』ものに仕上げました。和食には従来の素晴らしい豆腐製品があるので、和食以外の利用シーンでも味付けがマッチしやすいように、和の出汁は使わず、玉ねぎの香りなどを強めにして工夫しています」
ギャンモは、バーガーのパティやサンドイッチの具材として最適という。
ギャンモを使ったサンドイッチ
ギャンモは、ある意味、これまでの代替肉や大豆加工食品のイノベーションとも言えるかもしれない。どのあたりに確信性があるだろうか。池上氏は次のように述べる。
「『原点回帰』という点だと思います。私は大豆フードテック業界も、昔ながらのお豆腐屋さんも、ニュートラルな立場で見てきています。どちらにも良さがあり、対抗するものではないととらえています。ただ、その二者間には隔たりがあり、最新を追い求めようとすると、どうしても、日本の素晴らしい大豆食文化を置き去りにしてしまいがちです。世界中でプラントベースが広まる中、何百年という歴史のある『元祖代替肉がんもどき』を、これまでとは違った用途でも調理しやすいように仕上げたのがギャンモです」
今後の展開は?
ギャンモは2023年3月7日から4日間に渡って行われる「FOODEX JAPAN 2023(第48回国際食品・飲料展)」にてエヌ・ディ・シーのブースでお披露目される予定という。そこから具体的に飲食店との商談が始まっていく。
ギャンモを使った料理
近い将来、飲食店や店頭でギャンモを食する機会が訪れたなら、消費者はギャンモを選ぶことでどんなメリットが得られるだろうか。池上氏は次のように締めくくった。
「ギャンモプロジェクトを通して当協会が目指していることは『日本の大豆食文化を国内外に周知させると共に、農業も含めた大豆業界全般の活性化につなげていくこと』です。
大豆は日本の食卓において、味噌や醤油などの調味料にも、具材にも欠かせません。それほど大切でありながらも、自給率は低いのが現状です。ギャンモに用いる大豆は国産にこだわっています。消費者の皆さんがギャンモを食べることは、美味しい・ヘルシーということだけでなく、日本の大豆業界の応援にもつながります」
「FOODEX JAPAN 2023(第48回国際食品・飲料展)」開催概要
日時:2023年3月7日(火)~10日(金)10:00~17:00 ※最終日は16:30まで
場所:東京ビッグサイト 東展示棟1~8ホール
出展者名:コッチラボ/エヌ・ディ・シー
ブース番号:8A504(東8ホール/代替食・食品素材ゾーン)
FOODEX JAPAN 2023 公式サイト
【取材協力】
池上 紗織氏
一般社団法人日本ソイフードマイスター協会代表理事
ソイフード研究家・プラントベース研究家
大学在学時から大豆製品を用いたレシピを趣味で研究しており、2010年頃からは、健康やサスティナブルな観点から大豆ミートの可能性に着目。菜食主義でなくても無理なく美味しく続けられる大豆ミートレシピ研究を本格的に開始し、 その他大豆製品も含めてソイフード(大豆料理)の研究と普及を始める。自身の体質改善の経験も踏まえ、2014年に一般社団法人日本ソイフードマイスター協会を設立。セミナー開催、料理レッスン、レシピ開発を行っている。プライベートでは二児の母として奮闘中。
取材・文/石原亜香利