デビューするや瞬く間に人気者へ!
そしてついに昨年(2022年)5月にタイへ戻り、デビューに向けて本格始動しました。現地の有名プロデューサーやアレンジャーと楽曲制作を行ない、8月にデビュー曲『RUN』を発表。その後もパンデミックでの失われた時間を取り戻すかのように次々と新曲を世に送っています。
タイ語、日本語、英語を混ぜた独特の曲風は、一般の人々のみならず、現地の音楽関係者やメディアにも注目を浴びています。
「自由さがヒップヒップの真髄ですが、タイの人々は“マイペンライ(大丈夫、大丈夫)”が信条ですごくオープンマインド。僕たちの音楽が受け入られているのも、そういった国民性が背景にあると思います」(YUKIさん)
音楽配信サービスのSpotifyのT-POPの必聴リストに彼らの曲が選ばれたり、人気音楽番組にも出演。またタイ最大のエンターテインメント会社GMMグラミーの手がけるネット配信チャンネル(GMMTV)でも彼らの冠リアリティ番組「BMC Way: Thai Rap Mission」が配信されるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いなのです。
成功の影にある努力と苦労
こういった成功の影には、当然、彼らの努力と苦労があります。
現在、リリースしているのは4曲ですが、すでにデモを50曲以上を作っているそうです。歌詞を主に担当するGOLIさんによれば「日本にない刺激がタイでは満ちていて、インスピレーションが沸いて止まらないんです」とのこと。
一方、苦労はといえばやはり言語の壁。日本メンバーの2人はタイ語学校にも通いながら、また買い物や食事の場所でもどんどんタイ語を使い現地の人たちと触れ合い実践で勉強をしています。
「タイの現場は和気あいあいとしていてすごくやりやすいのですが、やはりコミュニケーションは難しいですよね。日本ではフィーリングで“分かるでしょ?”で済みますが、ここでは違います。そのため、ゆっくりと焦らずちゃんと話し合って理解し合っています」とYUKIさんは語ります。
そんな中、頼りになるのがタイ人であるMOTOさんです。彼は日本で6年間暮らし、日本語もペラペラ。そして何より異文化での生活や仕事の苦労を知っています。そんな経験を生かして、メンバーと現場の人々の間に立っているのです。
タイ最大の音楽祭のメインステージに登場する快挙!
そして、去年12月にはタイ最大の音楽祭である『BIG MOUNTAIN MUSIC FESTIVAL』(BMMF)のステージにも登場!約160組のアーティストたちが集結、2日間で約10万人が来場しました。
毎年(コロナ禍中は休止)開催されているBMMFに出演することはタイのアーティストたちの憧れ、一つのステータスです。それもメインステージでライブを行うという新人として異例の抜擢でした。
「タイの人たちのノリの良さに驚きました。踊っている人もいましたね。ステージと観客が本当に一体になっていました」(YUKIさん)
「最高の光景でしたね。コロナ禍の間でも諦めずに頑張ってきたのが報われたと強く感じました」(GOLIさん)
「尊敬するタイのアーティストたちがたくさん立ったステージに、自分が立っているなんて信じられませんでした」(MOTOさん)
彼らの今後の目標は、まず日本とタイと繋ぐ架け橋になること。そして、ここから東南アジア、また世界へ羽ばたくことだと言います。
今、日本の若者たちが閉塞感に囚われていますよね。そんな中、BMCの存在を知って貰い、多くの可能性が世界にはあるんだと分かって欲しいです!
『Baby Mic Candy』(BMC)YouTubeページ
『Baby Mic Candy』(BMC)Twitterページ
文/梅本昌男
フリーライター。タイや東南アジア諸国の記事をJAL機内誌などの媒体に書く。単行本『タイとビジネスをするための鉄則55(アルク)』。NHKラジオへの出演や写真ACのモデルの仕事なども行っている。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員