■連載/阿部純子のトレンド探検隊
すすぎをまるごと省略した「すすぎゼロ洗浄」で水・電力・CO2を約5割カット
ファストファッションの台頭や、コロナ禍で外出を控える傾向が続いていた中、お気に入りの服は持っていても、おしゃれ着は持っていない人が増加している。その一方でダメージケアをしっかりと行い「お気に入りの服をキレイに長く着たい」というニーズは増加している。
ダメージケア重視のおしゃれ着洗いと、洗浄力重視の普段使いの洗剤がある中、おしゃれ着洗いは時間や手間がかかり面倒なことから、お気に入りの服もいつもの洗剤でまとめ洗いすることで、ダメージへの不満が発生している。
今の時代に合った簡単で効率的な第3の洗い方として、おしゃれ着、お気に入りの服をまとめて洗う、ライオンの「アクロンスマートケア」(オープン価格/想定価格本体380円、詰め替え用600円)が2月22日に新発売される。
通常の洗濯フローでは洗剤を落としきるために2回のすすぎが入るが、すすぎは洗濯工程の7割を占め、衣類ダメージの原因となっている。これまでの常識を覆す新たな着眼点として、すすぎ工程をまるごとカットしたのが「アクロンスマートケア」で、従来の洗い方とは全く異なる「すすぎゼロ洗浄」を実現した。
「一般的な洗剤は界面活性剤と呼ばれる化学物質の働きによって汚れを落としますが、しっかりと汚れを落とすため従来の洗剤では大量に界面活性剤が配合されています。洗浄の際の界面活性剤が残ってしまうためすすぎ工程が2回必要になっていました。
アクロンスマートケアでは界面活性剤の量を減らして『アクロンスマートケア成分』を新配合することにより、界面活性剤の量をぎりぎりまで少なくすることに成功。界面活性剤がほとんど残らず、すすぎ工程が不要となりました。また、アクロンスマートケア成分が界面活性剤の働きをサポートしますので、界面活性剤の量が少なくてもしっかり洗浄できます。
開発の段階では泡立ち、洗剤残りが大きな課題となっていました。課題解決のため界面活性剤を大幅に削減しましたが、そうすると洗浄力が不足してしまう問題が生じます。これらの課題を解決したのがアクロンスマートケア成分で、この成分を見つけるまでかなり時間を要しました」(ライオン ファブリックケア研究所 武井亮太氏)
衣類ダメージの原因だったすすぎ工程が不要になり、衣類のダメージを軽減しシワヨレを防ぎ、すすぎ2回で40分かかっていた洗濯がすすぎ0回により約20分に短縮できる。洗いたいときに短時間で洗濯できるため、食事や掃除、入浴の間、忙しい朝や早く寝たいと思っていた夜など、今まで諦めていて時間でも洗濯することが可能になった。
すすぎ0回により、水、電力、CO2排出量も約5割カット。高騰する光熱費の負担を削減するうえ、CO2削減で地球環境への負担も軽減する。
洗濯機の「標準コース」で洗うのが一般的だと思われるが、すすぎの工程をカットするには洗濯機を設定する必要がある。洗濯機の「おしゃれ着コース」などの弱水流コースを選択し、すすぎを0回に設定、アクロンスマートケアを投入してスタートボタンを押して洗濯を開始する。洗剤自動投入洗濯機の場合、おしゃれ着用のタンクがあるものはそちらに投入、ないものは手動投入口を用いる。ただし、漂白剤、柔軟剤を使用する場合は「すすぎ1回」で行う。
手洗いの場合もすすぎは不要(詳細は下記画像参照)。使う水もたった4Lで済み、敬遠しがちな手洗いも実際は簡単にできる。
なぜ「おしゃれ着用洗剤」を使った方が良いのか、普通の洗剤とどう違うのか、ライオンのお洗濯マイスター・大貫和泉氏はこう話す。
「おしゃれ着用洗剤は衣類のダメージを抑え、風合いを守りながら洗う効果があり、型崩れ、色褪せ、毛玉、テカリ防止効果があります。特に今回のアクロンスマートケアは、やさしく洗ってもしっかり汚れを落とすように設計され、浸透性の高い成分が使われているため、弱い水流でもすばやく繊維に浸透し、汚れをキレイに落としながら衣類の風合いを守りながら洗うことができます。
また、おしゃれ着用洗剤は中性洗剤で酵素、蛍光増白剤が無配合です。普段使いの洗剤に入っているたんぱく質分解酵素は、ウールなどの動物性の繊維(たんぱく質)にダメージを与える可能性があります。蛍光剤は白い衣類をより白く見せる効果がありますが、淡い色の衣類、生成りの衣類は白くなる可能性があります」
【AJの読み】洗浄力を担保してダメージケアができ、しかもすずき要らずの画期的な洗剤
服を買う時に気に入ったものがあっても即決せずに、裏にある洗濯表示を必ず確認して購入することにしている。クリーニングでしか対応できないものはランニングコストがかかり、結局着る機会が減ってしまうからだ。
洗濯表示の洗濯桶にバツ印があるものはクリーニング対応だが、付いていないものは家での洗濯が可能。桶の下の線が2本のものは洗濯は弱めに、手が入っているものは手洗いという印。しかし最近では、以前はご法度だったレーヨンでも洗える素材が出てきたり、手洗いマークの服が洗える洗濯機も増えているので、筆者の場合、お気に入りの服は素材を確認しながらおしゃれ着洗いで対応している。
お洗濯マイスターの大貫氏によると、思い出のライブTシャツのプリントがひび割れないようにする方法を知りたいという生活者からの問合せが増えているとのこと。
プリントがあるTシャツを洗濯機で洗濯する場合は、裏返したものをたたんで洗濯ネットに入れ、おしゃれ着コースで洗濯する。前と後ろ身頃に双方にプリントがあるものは、裏返しにして間に洗濯ネットを入れる。手洗いでなくてもアクロンスマートケアでおしゃれ着洗いすれば、プリントがひび割れずに長く着ることができる。
おしゃれ着ではなくても、お気に入りの服や長く良い状態で着たい服にはぜひアクロンスマートケアを活用したい。
文/阿部純子