100円ショップのキャンドゥが、2023年2月期第4四半期に1億7,500万円の純損失を計上しました。過去10期を振り返っても、キャンドゥは赤字を出していません(なお、キャンドゥは決算月を11月から2月に移動しており、2023年2月期第4四半期は2021年12月から2022年11月までの実績です)。
一方、セリアは減益となってはいるものの、しっかりと利益を出しています。両社ともに原材料高や円安の影響を受けているのは同じ。なぜ、これほど差が出ているのでしょうか?
セリアの1店舗当たりの売上高はキャンドゥの1.4倍
キャンドゥは1,252店舗、セリアが1,943店舗を展開しています。キャンドゥはややFC比率が高く、全体の33.2%をFCが占めています。セリアのFC比率はわずか2.0%。FCは商品を加盟店に対して卸売するため、原価率は高くなる傾向があります。その一方で、家賃や人件費の負担が少なく、販管費率を下げられます。
しかし、2社の原価率と販管費率を比較すると、どちらもセリアの方が低くなっています。
原材料高や円安が進行する前の2021年11月期のキャンドゥの営業利益率は1.3%、セリア(2021年11月期)は10.6%でした。2社は価格高騰の影響を受ける前から、圧倒的な差がついていました。
差がついた要因は直営店1店舗当たりの売上高を比較すると、よくわかります。キャンドゥの直営店1店舗が1ヶ月に稼ぐ平均額は640万円。セリアは920万円です。セリアは1.4倍多く稼いでいます。
セリアは1店舗当たりの売上高が大きいため、原価や販管費が多少膨らんでもそれを吸収することができます。しかし、キャンドゥはそれを売上でカバーすることができず、赤字となりました。
キャンドゥのFC比率は30%前後で推移していますが、もしFC比率を上げて販管費率を下げることができていれば、赤字は避けられたかもしれません。
100円ショップに1,800円の商品が並ぶ時代
セリアが驚異的なのは100円という価格にこだわっている点。キャンドゥに限らず、ダイソーも価格帯を広げています。キャンドゥは特に100円以外の価格帯商品の開発に力を入れており、1,800円の美容家電にまで商品の幅を広げました。
■キャンドゥの取り組み
100円以外の商品を充実することで、客単価を上げて1店舗当たりの売上高の引き上げを図ることができます。付加価値の高い商品が売れれば、原価率を下げることもできます。
しかし、セリアは原材料高が鮮明になってからも、100円商品維持による顧客層の拡大に注力すると明言しました。