3. 候補者に思想・信条について、採用面接で質問してもよいのか?
候補者の思想・信条を調査するため、採用面接において、
「どの政党を支持していますか?」
「信仰する宗教は何ですか?」
などと質問する企業もあるようです。
しかし、三菱樹脂事件最高裁判決より後に施行された職業安定法5条の5によって、求職者等の個人情報の収集は「業務の目的の達成に必要な範囲内」に限定されています。
職業安定法に基づく行政指針(平11.11.7労働省告示第141号)では、企業が求職者等の思想および信条を収集することを原則禁止としています(第4第1項第1号ロ)。
こうした立法的措置が講じられた現在では、企業が採用面接において、候補者の思想・信条について質問することは違法と判断される可能性が高いです。
状況によってはプライバシー侵害が認定され、企業が候補者に対して損害賠償責任を負うこともあり得るでしょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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