レンタカー乗車中に交通事故を起こした場合、被害者に対する損害賠償責任を負います。大部分はレンタカー保険でカバーされますが、保障対象外となる場合もあるのでご注意ください。
今回は、レンタカーで交通事故を起こした場合の法的責任と、レンタカー保険の保障内容をまとめました。
1. レンタカーで交通事故を起こした場合の法的責任
レンタカー乗車中に交通事故を起こすと、民事・刑事・行政上の法的責任を負います。いずれも重大になり得るので、レンタカーの運転中は十分ご注意ください。
1-1. 民事上の責任|損害賠償
レンタカー事故によって被害者に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任を負います(民法709条)。
特に被害者が死亡した場合、後遺症が残った場合、要介護となった場合には、数千万円から数億円の損害賠償責任を負う可能性があります。
基本的にはレンタカー保険でカバーされますが、保障対象外となることもあるので要注意です。
レンタカー保険の保障内容については、後述します。
1-2. 刑事上の責任|刑事罰
レンタカーの運転上必要な注意を怠り、事故によって被害者を死傷させた場合は「過失運転致死傷罪」が成立します(自動車運転処罰法※5条)。
※正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
過失運転致死傷罪の法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。ただし、傷害が軽いときは刑が免除されることがあります。
なお、アルコールまたは薬物を摂取して運転していた場合や、危険な方法によって運転していた場合には、さらに刑が加重されます(同法2条~4条)。
1-3. 行政上の責任|免許停止・取り消しなど
レンタカーで交通事故を起こした場合、運転免許証の違反点数が加算されます。加算される違反点数は、基礎点数と付加点数の合計です。
たとえば被害者に全治4週間の軽傷を負わせ、それがもっぱらご自身の不注意によるもののであったとします。この場合、基礎点数は安全運転義務違反の2点、付加点数は6点となり、合計8点の違反点数が付与されます。
違反点数8点の場合、行政処分前歴がなくても30日間の免許停止処分の対象です。行政処分前歴がある場合や、1年以内の累積違反点数がある場合には、さらに長期間の免許停止処分や、免許取り消し処分を受ける可能性があります。
被害者が重傷の場合、後遺症が残った場合、死亡した場合には、付加点数がさらに多くなるため、より重い行政処分が行われます。
参考:交通違反の点数一覧表|警視庁
参考:交通事故の付加点数|警視庁
参考:行政処分基準点数|警視庁