マーケティングやコンサルティング業界でよく使われる、「ゲインチャート」という言葉。日本語では「累積図」とも呼ばれる。マーケティングに関わりがある人であれば、一度は見聞きしたことがあるかもしれないが、具体的にどのように使われるのかまで知らない方も少なくないだろう。
そこで本記事ではマーケティング分野で活用される「ゲインチャート」とは何かをはじめ、見方、主な活用事例についても解説する。
マーケティングのデータ解析に使われるゲインチャート
マーケティング分野におけるゲインチャートは、主にデータマイニングと呼ばれるデータ分析手法の中で活用されるものだ。ゲインチャートについて解説する前に、まずはデータマイニングについて理解を深めておこう。
データマイニングとは
データマイニング(=情報の採掘)は、人工知能や統計学などを用いたデータ分析の技術を指す。ITビジネス分野では、ビッグデータから有益な情報のみを取り出して活用するための手段として用いられることが多い。また、マーケティング分野では、顧客情報管理に活用されることもある。
ゲインチャートはクラスタリングに用いられる
マーケティングの分析手法の一つであるデータマイニングは、情報の取り出し方によってさらに手法が細かく分類される。その中に「クラスタリング」と呼ばれる手法が存在するが、このクラスタリングの解析手法において使用されるグラフが「ゲインチャート」だ。
クラスタリングでは、膨大な購買データの中から似た購買行動を取っている顧客同士をグループ分けし、それぞれのグループごとに効果的な販売施策を立てていく。ゲインチャートは、企業に対して顧客が生み出すことが予測される利益を、縦軸と横軸のグラフによってビジュアル化するために用いられるものだ。
ゲインチャートの使い方
ここからはマーケティング分野で用いられるゲインチャートについて、具体的な使用シーンやグラフの見方を紹介していきたい。
データの可視化に役立つ
先ほど紹介したクラスタリングを行えば、顧客の行動パターンや購買履歴などの情報から似た傾向のある人同士をグループ化して、販売ターゲットを絞り込めるため、売上増加が期待できる。
例えば、WEB通販サイトの売り上げをアップさせるために、メルマガの配信先リストから固定客を抽出し、顧客ごとに最適な広告を送るとする。顧客が「どんな条件でどんな商品を購入するか」を分析し、優良顧客になり得るかどうかを予測する際、ゲインチャートでデータを可視化し、予測の精度を評価することがある。
グラフの見方
先ほどの例において、商品を買ってくれる確率が高い順に顧客に対してDMを送り、効率的に売り上げアップを図るとする。
グラフの横軸と縦軸の45度の対角線を、まったく予測しないランダムな予測のベースラインとし、予測が的中した顧客の分布に点を打って、描いた予測曲線を同じ座標上に書いていく。
この時、ランダムな予測のベースラインに対して予測曲線がどれだけ上に膨らんでいるかを見ることで予測の正確さを把握できる。ランダム予測の対角直線よりも予測曲線が上に膨らみ、そのカーブの盛り上がりが横軸の値1に近いほど、予測精度が高いといえる。
ゲインチャートを使ってビジネスの効率化を図ろう
顧客の行動を予測して、顧客ごとの最適なマーケティングシナリオを選ぶことができれば、より効果的なアプローチを行うことができ、生産性向上にも繋がる。ゲインチャートを活用しながらビジネスの効率化を図ってほしい。
※データは2023年2月中旬時点のもの。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部