なぜ今、「ネオ横丁」に若者が集まるのか
だがなぜ今、こんなに「ネオ横丁」が増えているのか。調べてみると、「横丁ブーム」にはいろいろな説がある。「10年おきに横丁ブームが起こる」という説もあり、そういわれてみれば渋谷に「肉横丁」ができたのは2010年だったし、2000年前後からまた増えているような気がする。
2020年7月に、広尾駅徒歩30秒にオープンした「ネオ横丁」スタイルの「EAT PLAY WORKS」は1階に8店舗、2階に8店舗が出店している。うなぎの寝床のような細長い空間のため、違う店同士のお客の交流が自然に起こっている。
また「世の中が不景気になったり、災害などで不安定な雰囲気になったりすると、ネオ横丁が流行る」という説もあった。飲食事業者にとって、単独で出店するより集合型の横丁スタイルで出店したほうがコストがかからないし、集客しやすい。不景気で出店しにくい時だからこそ、店側からも歓迎されるのだろう。
またカジュアルな業態の多彩な店が集まる「横丁」は、お祭りの縁日の店に似た雰囲気がある。不安な気分の時ほど、人が集まる場所に行きたくなるため、お祭り的な気分が味わえる横丁がブームになるという説も。そういわれてみると、昨年オープンしたネオ横丁の多くが、「祭り」をコンセプトにしている。ちなみにバブル崩壊後や、東日本大震災後にもネオ横丁ブームが起こったそうだ。
そう考えると、現在のネオ横丁の賑わいは、長いコロナ禍の不安や人恋しさの裏返しといえるのかもしれない。コロナ禍の終わりがなかなか見えない2023年も、また新たな横丁が次々にオープンしそうだ。
取材・文/桑原恵美子