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フジコ・ヘミングも賛同するシングルマザーの自立支援施設「女性村」ってどんな場所?

2023.02.12

世界的ピアニストのフジコ・ヘミングさんの部屋も登場

フジコ・ヘミングさんから寄贈されたピアノ。ご本人のサイン入り。

シングルマザーと子どもの女性村づくりの企画は多岐にわたる。そんな中、世界的に活躍するピアニストのフジコ・ヘミングさんが、子どもの頃から弾いていたというピアノが寄贈された。

「初めてフジコさんにお会いした日に、『私のピアノいらない?』っておっしゃられて。最初は信じられない気持でしたし、フジコさんに近しい人はみなさん、そんなこと本当ですかって不思議そうでした。でも、本当に届いたのよね」(西舘さん)

フジコ・ヘミングさんの都内のご自宅にて。(左)フジコ・ヘミングさん。(右)西舘好子さん。

女性村の活動に賛同し、子どもたちに、ぜひピアノに触れてもらいたいというフジコ・ヘミングさんの思いから実現したこのピアノの寄贈。鍵盤が象牙ということからも長年愛用されていたことがわかる。ちなみに近年の鍵盤は、ワシントン条約で象牙の使用ができないため合成樹脂や人口象牙が採用されている。

ピアノには、フジコ・ヘミングさんのサインもあり、ピアノのある教室は、「フジコ・ヘミングの部屋」と名づけられ、このピアノのお披露目演奏会が、202211月に開催され大盛況を納めた。

シングルマザーの支援と聞くと、目先のことを考えがちだが、文化的交流や自然との共生など、子どもたちの未来を見つめてスタートしたプロジェクトなのだと改めて感じられるイベントだ。

「女性村」のアイデアは自身の経験から

教室の椅子や机を活用したマルシェ。

シングルマザー支援としては、食事の配給などはよく耳にするが、多方面から支援するコミュニティは、日本ではかなり珍しい。それは、西舘さん自身が45年ほど前に、オーストラリアで経験したことが大きく影響している。

「今のように日本食が何でもある時代ではなかったので、ぬか漬けとかもなかったんですよね。そう思っていたら、知り合いが、パンやビールで発酵させてぬか床を作るワークショップもあるから行ってみようとバザールに誘ってくれたんです。

シングルの女性たちが集まって、ボランティアやワークショップ、ダンスパーティーなどのイベントも企画していました。アイデアを出して、知恵を絞って、実行に移していたんです。

例えば、『一番汚い洋服を着てきてください』というイベントでは、子どもを思いっきり泥んこ遊びさせます。イベントの誘い言葉が、一番汚い洋服だなんて、とてもいいでしょ。」(西舘さん)」

ただ、集まって楽しく過ごすだけでなく、イベント会場のエントランスで植木などを販売し、経済的にも自立して運営していたのだそうだ。多くの女性は、自分の中に持っているものを埋没させていると感じ、お金ですべて解決するのではなくできることをと考えたときに、この「女性村」を思いつき、作ろうと思ったと西舘さんは話す。

「傾聴しても、なにも変わらないから。日本には、相談窓口はあるけれど、その相談を具現化できるところがないでしょう」(西舘さん)

アクションを起こすことで、見えなかったものが見えてくるかもしれないし、自分自身が輝けるものを見つける機会がありそうだ。

次の世代に幸せが続くように

小学校の校舎であると一目でわかる状態を大切にして使用している。

シングルマザーとひとくくりに表現しても、環境は十人十色。

昔の困り方とは違いますよね。キャリアで忙しい場合や、どうしていいかわからない女性、最初から行政を頼る場合もあります。みんなが貧しいってわけではない。私は、自発的になにかをやりたいっていう人を助けたいです。親が自立していないと、それを見て育つ子どもは自立しないから。自分自身が輝いて生きる場所が、これからの女性に必要だと思います」(西舘さん)

今年の4月には、女性と子どもの相談室をオープン予定。学校の教室は、まだ満室ではないため、今後もさまざまな活動の部屋が誕生しそうだ。ちょっとユニークなのは、「何もしない教室」があってもいいなと西舘さんが話したこと。何もしないことは、逆にむずかしそうだが、そこから何か生まれるかもしれない。

「安心して暮らして、心身を健康にしていくのが家庭。愛情が基盤になっています。他人と生きていくための教育をするのが、保育園や学校です。『金だけ、今だけ、自分だけ』という考え方はだめ。他力本願はだめです」(西舘さん)

確かにお金で多くのことは解決できるが、それでは今をしのぐだけになってしまう。厳しいお話もあったが、西舘さんご自身が3人のお子さんを育てた経験と知恵が、この「女性村」で具現化されている。

「女性の力を自分の中で信じて」と、エールもいただいた。「女性村」を設立した『ねぎぼうず』プロジェクトには、さまざまな形で参加できる。家庭菜園気分で農業を手伝いに行ったり、マルシェで買いものをしたり、悩みを相談したり、最終的には、下仁田に移住できるよう準備を行っている。

男性が中心で活動しても男性村とは言わない。だからこそ、あえて「女性村」と名づけたという西舘さんの思いがぎゅっとつまったプロジェクトは、家族の基本を改めて問うものでもあった。

ねぎぼうずプロジェクト(日本ららばい協会内)
https://www.komoriuta.jp/project/#negibouzu 

取材・文/林ゆり

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