“東急”の安心感を強みにタワー周辺を巻き込んで文化を育む
タワー東側の屋外ステージでは、上部に位置する巨大屋外ビジョンや隣接するシネシティ広場も一体活用し、ライブイベントや映画プレミアイベントなどを行う予定だ。
新宿西口の旧小田急百貨店前や、南口の歩道橋などではたくさんの路上ライバーを見かけるが、通行の妨げになるという理由で撤退を求められることもあり、なかなか落ち着いてライブを行いにくい環境にあるようだ。そこで、夢を追うアーティストたちを応援するため、東急歌舞伎町タワーの敷地内で安全にライブを行える場所を提供するという。
「歌舞伎町には昔からライブハウスも多くあり、ここから育っていったアーティストもいました。我々としては、タワーの敷地やシネシティ広場、2階フードホールのステージなどもライブの場として活用し、新たな才能を見出し、育て、彼らが羽ばたき、いずれは「Zepp Shinjuku (TOKYO)」に大きなアーティストとして戻ってきてもらう……そういったストーリーを再びここで描いていきたいです。」
前職では(株)SHIBUYA109エンタテイメントの代表取締役社長を務めていたという木村氏。現職に就いて約2年経ったいま、新宿歌舞伎町という街をどう見ているのか。
「新宿の多様性のすごさには本当に圧倒されますし、多様な人々を引きつける街の力も強く感じられます。トレンドの発信が盛んな新大久保という街も近いため、そういったところも含めながら、歌舞伎町を進化させていくということはすごく重要。近隣に遊びに来た方にも、1階のカフェやレストランで気軽にブレイクしていただきたいですね。
また、人々の仕事の形態が変わったことで、東急電鉄も電車の乗降客数が減ったまま戻っていない状況です。商業やオフィス一辺倒ではなく、わざわざ電車に乗って足を運んでいただけるようなコンテンツ作りをデベロッパー自らが行うというのがいまの大きな流れ。今年は森ビルさんの『麻布台ヒルズ』も開業予定ですし、それぞれの個性を活かしながら東京の魅力を高めていけたらと思います。」
東急が手がける新たな“ナイトエンタメスポット”によって街の景色や人の動きがどう変わっていくのか、今後に注目したい。
東急歌舞伎町タワーは2023年4月14日(金)、ホテルは2023年5月19日(金)の開業を予定している。
取材・文/清談社・松嶋千春