DIME MAGAZINE
いよいよ4月14日にオープンを控えた東急歌舞伎町タワー。この地上48階、地下5階の超高層複合施設だが、オフィスフロアを持たず、エンタメ施設と宿泊施設に特化しているという。国内では他に類を見ないエンタメ超高層複合施設開業の経緯と施設詳細について、同施設の開発を手掛ける東急株式会社新宿プロジェクト企画開発室の木村知郎氏に聞いた。
都市観光拠点として進化する歌舞伎町
この春、歌舞伎町に「東急歌舞伎町タワー」が開業する。最高層から順にラグジュアリーホテル、ライフスタイルホテル、映画館、劇場、1～5Fはエンターテインメント&レストランを擁し、B1〜B4はライブホールとナイトエンターテインメントを兼ねた施設が入るという。
同施設の運営・管理を行う株式会社TSTエンタテイメントは、東急・東急レクリエーション・SME（ソニー・ミュージックエンタテインメント）・の合弁会社で、社名はそれぞれの頭文字に由来する。東急グループといえば渋谷の都市開発を一挙に担い、渋谷ヒカリエや渋谷スクランブルスクエアといった高層ビルも手がけていることで有名だ。東急歌舞伎町タワーはそれらと大きく異なり、オフィスフロアや、アパレルや化粧品などの物販テナントは設けていない。
「2018年に歌舞伎町一丁目地区開発計画（新宿TOKYU MILANO再開発計画）が国家戦略特区に認定されたことを受け、単にこのタワーの建設だけでなく、西武新宿駅前通りも含めた周辺の基盤整備に取り組み始めました。空港直結のリムジンバスの乗降場といった都市観光インフラ、そしてエンターテインメントとホテルといった観光機能を一体に整備することで、世界有数の繁華街である歌舞伎町を都市観光拠点に進化させていくという狙いでこのような施設構成を決定しました。」（木村氏、以下同）
東京都と新宿区は「新宿グランドターミナル」構想を公表し、駅周辺のまちづくりを推進している。新宿駅西口では、小田急百貨店本館跡地にオフィス機能と商業機能を備えた地上48階の大型施設開発を控え、さらに京王百貨店周辺の再開発も予定されている。また、新宿駅南口や新宿三丁目方面にはすでに百貨店や商業ビルが充実しているため、東急歌舞伎町タワーは、それらと機能を棲み分けるかたちになった。
「ラスベガス、マカオ、シンガポールといった、カジノを擁する海外のIR（総合型リゾート）に近いイメージです。東急歌舞伎町タワーのような純粋なホテル×エンターテインメント超高層複合施設は世界中を見渡してもかなり珍しく、国内で前例が無いため我々にとってもかなりチャレンジング。新宿という大きな街では、各エリアがそれぞれの機能を果たしていくということが重要だと考えます。文化を醸成してきた新宿の歴史を踏まえつつ、繁華街のお客様に加えて、新たな層のお客様に来ていただき、街の進化に少しでも寄与していくことが我々のミッションです。」
訪日客の受け皿となるラグジュアリー／ライフスタイル 2種類のホテル
ラグジュアリーホテル「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」のレストラン＆バー。地上45階の高層からの景色を楽しみながら食事ができる。
東急歌舞伎町タワーにはコンセプトの異なる2種類のホテルがある。18〜38階はライフスタイルホテル「HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel」で、538室の客室を備えている。39〜47階はラグジュアリーホテル「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」で、客室数は97室。最上階にはさらにラグジュアルなペントハウスが5部屋に、宿泊者が利用できる天空のスパやレストランも備えているという。
新宿で高級ホテルに泊まるとなると、パークハイアット東京、ハイアットリージェンシー東京、ヒルトン東京など、有名ホテルは西口エリアに集中しており、繁華街とのアクセスはやや不便だった。こちらはよりダイレクトに繁華街の空気を感じつつ、ホテルライフも楽しめるというわけだ。
「また、コロナ前からよく言われていたことなのですが、海外のお客様からはナイトエンターテインメントの選択肢の少なさが指摘されてきました。東急単体でもBunkamuraのシアターコクーンや東急シアターオーブといった劇場をプロデュースしてきましたが、今回はソニー・ミュージックエンタテインメントさまや各企業さまとタッグを組んで、新たなナイトエンターテインメントの創出に取り組んでいます。」
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