「年齢、性別、空間すら超えられる」ゲームが持つ無限の可能性
2017年ごろからeスポーツ×教育の構想をしていたと語るのは、eスポーツジムを運営するゲシピ代表取締役の真鍋拓也さんだ。
「eスポーツという言葉が徐々に浸透していた時期。今後本格的に競技化していく中で、独学だけではなく皆で一緒に学べる場所を作りたいと考えていました。塾やカフェなど様々な業態を検討しましたが、一人で練習したい人と教わって成長したい人など、目的別にスタイルを選べる施設を作りたいと思ったのが『eスポーツジム』設立のきっかけでした」(真鍋さん)
真鍋さんは上智大学卒業後、金融機関勤務を経てヤフーへ入社。社内での新規事業コンテストに応募したことがきっかけで退職、ゲシピを設立した。
2021年6月にオープンしたeスポーツジム。現在では1か月にのべ300人程度がレッスンを受講している。
「男女比は男性7割、女性3割くらいで、女性の方も多く受講されています。男性は40代前後のサラリーマン世代と小学生が最も多いです。女性は10代から20代の割合が高いですが、50代や60代の方も受講されていますね」(真鍋さん)
このように、多様な層の受講者が一同にレッスンを受けられるのが、eスポーツの強みだと真鍋さんは語る。
「体格や身体能力が基本的に関係ない世界。年齢や性別、国籍はもちろん、場所すら超えて一緒に楽しめるのがゲームの魅力だと思っています」(真鍋さん)
一方で、eスポーツに対するイメージアップが課題だという。
「以前30代から40代の方を対象に、ゲームに対する印象に関するアンケートをとったのですが、ポジティブとネガティブな印象がそれぞれ半々程度でした。認知度は高まってきたものの、完全に受け入れられているとはいえないのが現状です。『eスポーツジム』を始め、教育という切り口から、eスポーツが文化として根付くための裾野を広げる活動を続けていきます」(真鍋さん)
取材・文/桑元康平(すいのこ)
1990年、鹿児島県生まれ。プロゲーマー。鹿児島大学大学院で焼酎製造学を専攻。卒業後、大手焼酎メーカー勤務などを経て、2019年5月から2022年8月まで、eスポーツのイベント運営等を行なうウェルプレイド・ライゼストに所属。現在はフリーエージェントの「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのプロ選手として活動中。代表作に『eスポーツ選手はなぜ勉強ができるのか』(小学館新書)。