普段スマホやPCで何気なく見ているWebサイトは、「ソースコード」と呼ばれる英語の文字列でコンピュータに指示を送ることで成り立っている。そのソースコードを作成する作業がコーディングだ。
Web業界に関わりがある人であれば、耳にすることも多い用語かもしれないが、コーディングの詳しい内容や、プログラミングとの違いについてよく知らない方も少なくないだろう。
そこで本記事では、「コーディング」の具体的な意味をはじめ、プログラミングとの違いや学習方法、コーディングスキルが活かせる仕事についてわかりやすく解説する。
コーディングとは?
プログラム言語を用いて、コンピュータが理解できるようなソースコードを記述し、プログラムを作成していく作業を「コーディング」と呼ぶ。まずは「コーディング」の具体的な意味や「プログラミング」との違いについて確認しておこう。
ソースコードを作成すること
システムを設計する際は、コンピュータが認識できるHTML、CSS、JavaScriptなどの言語で、どのような物を作るのか、指示を与える必要がある。これらの言語を用いながら「ソースコード」と呼ばれる文字列を作成し、コンピュータにどのようなシステムを作るのかの指示を送る作業がコーディングだ。
プログラミングとの違い
コーディングとプログラミングの大きな違いは、プログラミングが、設計からプログラムの完成までの一連の流れを指すのに対して、コーディングは、プログラミングの中のソースコードを作成する作業のみを指している点だ。つまり、コーディングはプログラミングの工程の一つということになる。
ちなみに、プログラミングに必要な工程は、以下のように料理に例えてみるとわかりやすい。
1.どんなシステムを作るか–プログラム設計(何を作るか決める)
2.ソースコード作成(調理)
3.プログラムの実装・テスト(味見)
4.不具合の修正(手直し)
5.修正後の再テスト(味付けの仕上げ)
6.システムの納品(料理の完成)
上記の例えでは、料理における「調理」がコーディングに該当する。
コーディングに必要なスキルや知識
コーディングで使用される言語には、主にユーザーの目に見えるWebサイトやアプリケーションの開発に用いる「フロントエンド言語」と、ユーザーの目には見えないサーバー側のデータ処理を行うための「バックエンド言語」の2種類がある。ここでは、Webページを制作上で土台となるフロントエンド言語のHTMLとCSSについて、その内容を確認していこう。
HTML
HTMLは、「Hyper Text Markup Language」を略したもの。マークアップ言語とも呼ばれており、Webページの土台となるファイルを作成する言語を指す。Web画面に表示させたい文章や画像、リンクなどを「<」と「>」で挟まれた「タグ」と呼ばれる特殊な文字列で囲んで書いていく。「タグ」には、さまざまな種類があり、「ここは見出し」「ここはリンク」というように、コンピュータがそのページの構造を理解できるように意味付けする役目がある。
CSS
CSSとは、「Cascading Style Sheets」の略であり、「スタイルシート言語」とも呼ばれる。文書の見た目を装飾するための言語だ。CSSは、主にHTMLで出力した文章の色や背景のサイズなど、Webサイトらしいデザインに整えるための装飾に使われる。
ちなみに、HTMLとCSSはプログラミング言語ではない。プログラミング言語は、プログラムを作成するために用いられ、計算やデータ処理を効率化する特徴を持つ。例えば、「JavaScript」「PHP」「Ruby」などがプログラミング言語の例として挙げられる。
一方で、HTMLは、「タグ」に囲まれた情報を出力するだけ、CSSはHTMLを装飾するだけの言語であり、HTML上でプログラムは動作していない。
コーディングの勉強方法と活かせる仕事
最後に、コーディングの勉強方法と学んだコーディングの知識を活かせる職業について順番に紹介していく。
コーディングの勉強方法
コーディングの学習方法は主に、独学、オンライン学習、スクールの3つに分かれる。それぞれの特徴を見ていこう。
・独学
まずは気軽にコーディングの勉強を始めたいという方は、独学から始めてみるのが良いだろう。参考書やプログラミング学習用のWebサイトを利用すれば、スムーズに学習が進められる。
特にプログラミング学習サイトを利用すれば、まったくの未経験者でもゲーム感覚で楽しみながら知識を身に付けることが可能だ。
・オンライン学習
独学に自信のない方には、オンラインスクールでの通信学習がおすすめ。独学より費用は掛かるが、効率的にスキルを得られるメリットがある。また、いつでもどこでも自分のペースで勉強を進められるため、働きながら無理なく学習を進めたい方にも向いている。
・スクールに通う
プロのエンジニア・Webデザイナーになるためにじっくり学びたい場合は、スクールに通学するのが近道。コーディングに限らず、Webデザインやプログラミングなど、その他の知識も組み合わせることで、より実践的な学びが得られる。
コーディングスキルを活かせる仕事
Webサイト制作の現場で、コーディングをする人は「コーダー」や「コーディングスタッフ」と呼ばれる。
IT技術の進化により、プログラミング知識がなくてもWebサイトが作れるようになったこと、また、将来的にはAIが自動でコーディングを行えるようになるとの予測もあることから、今後コーディングを専門に行う仕事の需要は減少していくと見られている。
しかし、コーディングの知識に加えてWebデザインの技術やJavaScriptの知識なども身に付けることで、フロントエンドエンジニアやWebデザイナーなどを目指すことも可能だ。コーディングスキルを活かしながら、ぜひキャリアの幅を広げてほしい。
※データは2023年2月上旬時点のもの。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部