こんにちは。弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチ分かりやすい解説を目指しています。
裁判例をザックリ解説します。
チャットでおしゃべりしまくってた社員が懲戒解雇された事件です。1日300回以上、 2時間くらい花を咲かせていたようです。
~ 結果 ~
懲戒解雇OKとなりました。懲戒解雇ってムズイんですが、今回のチャットには「顧客情報を持ち出せ」みたいな内容、部下イジメ・会社の悪口・セクハラ発言もあったので、大暴れしすぎってことで懲戒解雇OKとなりました。以下、解説します(ドリームエクスチェンジ事件:東京地裁 H28.12.28)
登場人物
会社はデジタルソリューション事業を営んでいました(従業員約80名)。懲戒解雇されたXさんは課長で、経理・総務業務などを担当していました。
顧客情報流出事件
まずは別の社員Bさんに疑惑が浮上しました。このBさん、同業他社に転職したのですが、その際に会社の顧客情報を持ち出したことが判明したんです。最近のはま寿司事件タイプですね。
そこで会社がBさんのチャットを調べたところ、どうやらXさんがBさんをそそのかして顧客情報を持ち出させた可能性があると判断。そこで会社はXさんのチャット履歴を調査しました。
チャットの内容
会社がXさんのチャットを調査すると、出てくるわ出てくるわ。以下のようなチャットが見つかりました。
・顧客情報の流出をそそのかす
・会社の信用を毀損
「平成26年8月ごろには倒産します」など
・部下Cのことを誹謗中傷
「生きる価値のない命」など
・女性社員を話題に上げた性的チャット
・とんでもない数のおしゃべりチャット
懲戒解雇
まぁ会社はブチギレですよね。Xさんを懲戒解雇しました。以下の就業規則に基づく解雇です。
・会社の重要書類またはこれに類する物品等を社外に持ち出すとき
・職務の怠慢及び職場の風紀、秩序を乱すこと。
・会杜の名誉を傷つけ、または会社に不利益を与えるような言動及び行為。
・性的な言動により他の従業員に苦痛を与えること、またはそれへの対応によっ て労働条件について不利益を与えること。
・性的な言動により就業環境を害するこ と。
・会社のパソコンでインターネット、E メール等を私用に利用すること
会社は「上記に違反してるし”事案が重大だ”」と判断して懲戒解雇しました。
Xさんは「懲戒解雇は無効だ」と訴訟を提起。これに対して会社もカウンターパンチで「会社の信用を毀損したから損害を賠償しろ」と応戦しました(カウンターパンチのことを「反訴」といいます)