小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

リモートワークの普及と共によく聞くようになった「シンクライアント」の意味と仕組み

2023.01.31

リモートワークの普及とともに、社員が自宅や外出先で仕事をする際のセキュリティ(情報漏洩)や端末コストの問題が話題に上がることも増えた。解決策の一つとして、社内の情報システムに「シンクライアント」を導入する企業が増えている。

しかし、コンピュータに詳しくないと、そもそもシンクライアントとは何か、導入のメリット・デメリットがぴんと来ない方も多いだろう。そこで本記事では、シンクライアントの概略を初心者にもわかりやすく解説する。

シンクライアントとは?

シンクライアントは英語の「thin(薄い)」と「client(クライアント端末)」が合わさった言葉。手元の端末(デスクトップ、ノートPC等)にアプリケーションやデータを置かず、ほとんどの処理をサーバー側で管理する仕組み、およびその仕組みを持つ端末を指す。

オラクル社のネットワーククライアントシステムが語源

シンクライアントは新しい考え方ではなく、1996年にオラクル社が発表した「NCNetwork Computer)」によって認知度が高まったシステムだ。

端末側の機能を絞ることで当時高価だったPC端末の価格を下げることに成功したが、高スペックなサーバーや安定したネットワーク環境が必要なこと、その後、PCの端末価格が低下したことから、コスト削減目的での導入は進まず、主としてセキュリティ上の優位性から公官庁や医療機関・金融機関等での導入が目立った。

コロナ禍のリモートワークで再注目される「シンクライアント」

その後、サーバー性能が向上し、ネットワーク環境も充実したことから、一般企業でもシンクライアントの導入事例が目立つようになった。特に、新型コロナウイルスの流行でリモートワークが進んだことをきっかけに、再び注目を集めている。

現在のシンクライアントシステムでは、機能を絞ったシンクライアント端末を使用するだけでなく、手持ちのPCをシンクライアント端末として使用するケースもある。例えば、シンクライアントOSWindows PCにインストールする方法や、USB端末を使用してシンクライアント環境を構築する方法など、事例は多岐に渡る。

シンクライアントのメリットとデメリット

複数の端末をサーバーで一元管理するシンクライアントには、メリットとデメリットの両方がある。

シンクライアントのメリット

シンクライアント端末は、PC本体にOSやデータを置かず、周辺機器からのアクセスも制限できるため、セキュリティ面での安全性が高い。機能を絞った端末は本体価格も抑えられるほか、故障に強い点もメリットと言える。また、アプリケーションのアップデートもサーバー側で一元管理が可能だ。

シンクライアントのデメリット

シンクライアントのデメリットは、管理用のサーバーと端末の設置に初期導入コストが発生する点。サーバーとそれぞれの端末はネットワークで接続するため、大量のアクセスにより、サーバーには負荷が掛かる。

サーバーの不具合がシステム全体に影響する点も注意したい。また、端末側はネットワーク環境がないとサーバーにアクセスできず、機能が大幅に制限される。

シンクライアントの2つの実装方式

シンクライアントの実現方法には、大きく分けて「ネットワークブート型」と「画像転送型」の2種類が存在する。

ネットワークブート型(ネットブート型)

クライアント端末からインターネット経由でサーバー上のOSを起動(ブート)する方法。プログラムの実行や画面表示、入力などは端末側で行うが、アプリケーションやデータはサーバー上に置かれる。

画像転送型

起動、プログラムの実行、データの保存がすべてサーバー上で行われる方法。手元のクライアント端末には、処理過程や結果を示す画面(画像)のみが転送される。仕組み別にさらにいくつかの方法に分かれる。

・サーバーベース型

1つのサーバー上にあるアプリケーションを複数の端末で共有する方法。もっとも低コストで管理も容易だが、ユーザーそれぞれが異なるアプリケーションを利用することができない。

・ブレードPC

CPUやメモリ、HDDなどを搭載したブレード(物理的な電子基板)をユーザーの数だけ用意し、サーバーで一括管理する方法。アプリケーションを個別に利用できるメリットがあるが、サーバーベース型よりも初期コストが高くなる。

VDI

仮想技術(仮想化ソフト)を利用して、1つのサーバー上にユーザーの数だけ仮想環境を構築する方法。ユーザーはそれぞれの環境で個別のアプリケーションやデータを使用できる。ブレードPC型のような物理基板を必要としないが、仮想アプリケーションのライセンス費用が掛かる。

なお、シンクライアントと混同されやすいものに「リモートデスクトップ」がある。リモートデスクトップは、端末側のアプリケーション(Windowsリモートデスクトップ機能)やブラウザ(Chromeリモートデスクトップ)を使用して離れた場所にある端末を操作する方法で、シンクライアントとは仕組みが異なる。

また、不正アクセスなどのリスクを考慮し、通信時にVPN(仮想プライベートネットワーク)等を利用してセキュリティ対策を講じることが望ましい。

※データは2023年1月下旬時点のもの。

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

※製品およびサービスのご利用はあくまで自己責任にてお願いします。

文/編集部

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年4月16日(火) 発売

DIME最新号は「名探偵コナン」特集!進化を続ける人気作品の魅力、制作の舞台裏まで徹底取材!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。