「家具屋として許せない…」 職人魂あふれる開発秘話
そんなロボ家具、動画で見てもらった通り、とにかく動きがスムーズ。コントローラー操作と床面のQRコードの2つの方法で移動するそうなのだが、その仕組みは?
「人を乗せても移動できる、馬力あるロボットが必要となったため、匠の自動搬送用ロボット「TiTra G500」を使用しています」
内部はこんな感じ
これがTiTra G500
TiTra G500はもともと搬送用ロボット。ロボ家具に搭載する上でパワーは申し分ないがサイズがデカすぎる。そのためソファに内蔵する作業が一番大変だったという。丸庄の担当者はこう語る。
「ロボ家具とは言え、あくまでも家具がメインなので座り心地が阻害されないことに注力しました。しかしロボットが思いのほか大きすぎました」
「座面のクッション性を保つように作るとソファ自体も大きくなり、見た目も悪い。双方に気を遣いながら絶妙なバランスで設計しました。構想から完成までは約半年かかりました」
完成に導いたのはたゆまぬ努力と職人たちの意地。ロボットを内蔵してソファの形にすることは容易い。しかしデザイン性や座り心地が失われたら元も子もない。それだけは「家具屋として許せない」。家具作りに人生を捧げてきたプライドと職人魂が夢を実現させた。
未来は部屋もロボットに!?家具のまち・大川市のさらなる野望
今回、ロボ家具を開発した大川市は2017年に「ネコ家具」を製作したことでも有名だ。
人間用にデザインされた家具を元に厳選した木材を使い、卓越した職人技でひとつひとつ丁寧にネコサイズで再現。大川家具はネコの要求にもユニークなアイデアと確かな技術で応えてくれる。
ちなみに今のところロボ家具として紹介されているのはソファとテーブルのみ。今後登場予定のロボ家具はあるのか?
「特段、新しいロボ家具の開発はおこなっておりません。しばらくは体験などを通して『ロボ家具』はもちろん、大川市、大川家具を世界中の方に知っていただきたいと考えております」
「ただ、ロボ家具の種類が増えるだけで可能性は大きく広がると感じています。これからのロボ家具の展開に、さらに期待していただければと思います」(国武さん)
現状、ロボ家具は非売品。今後も販売予定はないとのこと(残念…)。
「これからも革新的なアイデアで家具のある豊かな暮らしを提案していきたいと思います」(国武さん)
大川市のさらなる未来に期待しつつ、革新的なロボ家具ダンス動画でお別れしましょう。どうぞ。
取材協力
大川市インテリア課
https://www.okawa-kagu.net
文/太田ポーシャ