創業・設立から記念すべき節目を迎える「周年企業」。相次ぐ災害や需要の変化など幾多の困難を乗り越え、10周年、20周年と事業を続けることは決して容易ではない。
アニバーサリーとして自社内で祝うことによって組織の一体感の醸成につなげるだけでなく、新商品の開発やステークホルダーに対するPRの契機に活かしているケースは多い。そうした背景で生じる「周年需要」を取り込むべく、早期から準備を始める企業も見られる。
そんな中、帝国データバンクは、「全国『周年記念企業』調査」を実施。その結果をグラフにまとめて発表した。
2023年に周年を迎える企業は14万2919社、「建設」「サービス」が半数以上
2023年に周年を迎える企業は全国に14万2919社を数えた。半世紀となる「50周年」が2万4209社で最も多い。「100周年」を迎える老舗企業は2118社にのぼり、続く2024年も2000社を超える企業が大台に達する見込み。
業種別では、「建設」が3万9790社と全体の27.8%を占め最も多い。次いで「サービス」が3万6711社あり、両業種で周年企業の半数以上を占めている。「卸売」「製造」「小売」の3業種がほぼ横並びで続いた。なお、最も割合の高い業種をみると100周年は「製造」(23.5%)、50周年は「建設」(32.4%)、そして直近10周年では「サービス」(36.9%)と変化しており、時代別の産業構造を反映した割合となっている。
上場企業の周年企業は333社、既に周年記念を活かしたプロモーションが活発化
上場企業のなかで2023年に周年を迎える企業は333社が確認された。そのなかで最も業歴が長いのは、200周年となる戸田工業(広島県広島市)。既に周年に際して動き出している企業も見られ、スーパーゼネコンの1社である大成建設(東京都新宿区)では、記念ロゴマークに加えて特設サイトを開設しプロモーションを行っている。
社長年代別では周年を重ねるごとに高齢化、就任経緯別では創業者から次世代への世代交代も
周年企業を社長の年代別にみると、周年を追うごとに社長年齢も高まる傾向がみられ、オーナー企業においても同様の傾向がみられる。また、就任経緯別では10周年、30周年では創業者が大半を占めるも、50周年では同族継承が5割以上となり、世代交代を反映した結果となっている。
周年企業の主な取り組みは新商品開発など多様化、2024年を見据える動きも
周年の節目を迎えるに際して、各社で独自の取組みを行っている。なかでも多くの声が聞かれるのが周年記念パーティー。需要を取り込む側としても「昨今は新型コロナウイルスの影響で思うように開催できていなかったが、規模を縮小した形でも行えるようにしたい」(港湾旅客海運)との声も聞かれる。
一方で、「パーティーは小規模の開催となるが、主要パートナーに御礼状と記念品を配布したい」(衣服身辺雑貨卸)との声もあり、内容は多岐にわたる。一般的なボールペンやカレンダーだけでなく、時計や日本酒・ワインなど高級品を用いるケースもある。周年に関連した限定商品の発売など、キャンペーンの題材として活かしている動きも見られる。
さらに記念グッズや限定商品にとどまらず、周年にあやかって既存コンテンツ・設備を一新する動きもあり、その対象は企業のホームページ・パンフレットやロゴマーク、各種オフィス家具、制服・作業着など幅広い。こうした動きは周年を迎える直前に限らず、2024年に周年を迎える一部の企業でも既に企画が動き出しているところもある。
出典元:帝国データバンク
構成/こじへい