YouTube「樺チャンネル」で、様々な悩みに対し、アドバイスを行なっている精神科医の樺沢紫苑先生。今回は仕事を抱え込みがちな人のお悩みをズバリ解決!
Q1「100%クオリティーが仕事の信条。時間がいくらあっても足りません」
100%完璧を目指すと、時間不足で結果が出ないことも。〝スライド作成に前日までかかり、肝心なプレゼンの練習をしていない〟とかね。〝ゼロかヒャク〟〝こうすべき〟の考え方を手放し、〝まぁいいか〟という緩やかさを持てば、気持ちがラクになり、仕事にも余裕を持って取り組めます。
◎捨てるコツ
完璧主義を手放せばストレスも減り、本来の目的に注力できる。
Q2「次から次に仕事を投下してくる上司。評価が気になって、断れません」
対応が難しいと思ったら、言葉で現状をしっかり伝えることです。「やるにはやれますが、今、こういう案件を抱えているので質は下がります」とか「ひとりでは難しいので、誰かつけてください」など直接、説明すること。その後の判断は上司に任せればいい。言語化して伝える勇気、努力をしなければ、状況は変わりません。
◎捨てるコツ
自分の状況=事実を言葉で伝えること。時には「断る」勇気も必要。
Q3「ともかく仕事量が多い。すべて終わらせるために、生活時間を削っています」
睡眠が1日6時間以下の人は、仕事でも50%ほどの能力しか発揮できていないんです。そのため睡眠時間を削るより、睡眠を8時間以上取ることが重要。起床後1時間以内、15分の朝散歩も効果的。1週間続けると、特に午前中の集中力、決断力の違いを実感でき、無駄な仕事を捨てられますよ。
◎捨てるコツ
8時間睡眠と朝散歩で仕事の集中力&パフォーマンスが劇的にアップ。
Q4「嫌なタスクは後回し、ダラダラ仕事が常態化。結果、今日もまた残業です」
アフター5に楽しみを持ち、仕事に時間制限を設けると、必要なタスクに集中でき、仕事量も減らせます。そのためには始業時、ToDoリストを作り、優先順位の高い仕事を能力が発揮しやすい午前中に集中して行なうこと。人間の脳は〝ちょいむず〟の課題を課せられるとドーパミンが出て100%の能力が120%までアップするんです。
◎捨てるコツ
ToDoリストで1日の流れを確認。優先順位と時間制限で仕事は切れる。
Q5「人に任せられない。結局、自分で背負い込んでしまいます」
もっと部下を信頼しましょうよ! 自分でやれば100点の仕事が、70点になるから任せられないのでしょうが、任せることで次は75点、80点に成長する可能性がある。この時、信頼していることを伝えると仕事を任された部下はうれしく、気持ちよく仕事に取り組むことができます。
◎捨てるコツ
信頼して仕事を任せれば、自分が抱えている仕事も減らせ、人も育つ。
捨てられない人はメンタル疾患予備軍!勇気を持って捨てるべし!
現在、一生の間に精神科を受診してメンタル疾患と診断される確率は20%、他人事じゃないんです。「NO」と言えずに仕事を抱え込んでしまう人は、簡単にメンタル疾患になります。最大の捨てコツは言語化して相手に伝えること。「無理です」の一言でもいいんです。言語化力の弱い人にさらに仕事が回ってきます。勇気を持って実践しましょう。
精神科医・作家
樺沢紫苑さん
著書41冊、累計発行部数220万部を突破。最新刊は『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎刊)。毎日更新中のYouTubeの総再生回数は2億回。
取材・文/安藤政弘 イラスト/中村純司