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製造拠点の国内回帰と第1次産業のスマート化が導く日本経済復活のシナリオ

2023.02.15

相次ぐ製造業の「国内回帰」は日本経済復活のシナリオにつながるのだろうか。また、世界中で人気が高まってきている日本の農産物はスマート化によって活路があるのか。専門家の話をもとに国内産業のトレンドを占う。

唐鎌大輔さん

【話を伺った人】みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト  唐鎌大輔さん
JETRO(日本貿易振興機構)、日本経済研究センター、欧州委員会などを経て現職に。専門は外国為替。テレビ出演や雑誌などの連載を持ち、数々のメディアで情報を発信している。

長引く円安に対応する製造業と活路を見い出す一次産業

 ここ1年ほどで、日本企業が生産拠点を海外から国内に移管する「国内回帰」の機運が徐々に高まっている。ロシア・ウクライナ情勢による国際社会の分断や急激な円安ドル高の進行などを原因とする、資材や燃料の高騰、輸送インフラの寸断、為替レートのボラティリティーの上昇といった、様々なリスクに企業が直面しているからだ。2022年4月に帝国データバンクが2万4854社を対象に行なった「ロシア・ウクライナ情勢による企業の仕入れへの影響調査」によれば、仕入れ問題への対策として「自社生産拠点の国内への回帰」を8.1%の企業が検討中とのこと。みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔さんは、製造業の国内回帰論について、どのように見ているのだろうか。

「一部の大企業を中心に生産拠点の国内移管が報じられているのは確かです。ただ、企業にとっては時間もお金もかかるので、国内企業全体まで波及するのか、まだ不透明です。もちろん中国やロシアの問題も円安も解決しているわけではないので、2023年以降もこういった動きを見せる企業はあると思います」

 もし、2023年以降も現在の水準の円安ドル高が続くなら、国内生産・海外輸出の体制により、貿易黒字を生み出すというシナリオも見えてくるのだろうか。

「そういう見方もありますが、国外から仕入れる資材の費用や輸送コストの問題は解決しておらず、経済全体で貿易黒字にまでつながるのは難しいでしょう。また、国内に製造拠点を移しても働く人員を確保できない〝人手不足〟の問題も企業にとって大きな課題だと感じます」

 一方で人手不足問題に関しては、前向きに捉えられるニュースもある。2022年5月、半導体大手のルネサス エレクトロニクスは半導体の国内生産体制強化のため、8年前に閉鎖した甲府工場での生産を再開すると発表。300人ほどを新規で雇用する計画も含まれている。地元商工会も「ルネサスサプライズ」を歓迎するムードだ。

 また、労働力の不足が長年課題である第一次産業では、スマート化に力を入れている。AIやドローンといった最新テクノロジーを導入することで、人手不足を解消するだけでなく、農作物の品質向上にまでつなげている事例も多い。

「2022年は日本の輸出品目の中で農産品の伸び率が高かったです。全体のボリュームは小さいですが、もともと評価が高かった日本の野菜や果物が円安でさらに注目されているということでしょう」

国内生産回帰

2023年以降にはさらに加速する

新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに、これまでのサプライチェーンが機能しなくなったり、世界中で起きている半導体不足への対応のためだったりと、国内生産回帰の理由は様々。特に地政学的な理由からの国内生産回帰は2023年以降も継続することが予測される。

国内生産回帰の理由[1]円安

約50品目のプラスチック製収納用品を国内生産に切り替え

アイリスオーヤマ

アイリスオーヤマ
長期化する円安に対する一時的な対抗策として、2022年9月より、中国の工場で生産していた「プラスチック製の収納用品」を国内製造に順次切り替えている。「空気を運ぶ」と例えられるほどプラスチックケースは輸送効率が悪く、国内生産化で2割程度のコスト削減が見込めるという。

国内生産回帰の理由[2]供給体制の強化

年間生産規模は約330億円!

京セラ

京セラ
5Gなどで市場拡大が予想される、有機パッケージや水晶デバイス用パッケージといった半導体部品。これらの生産体制を強化するため、鹿児島川内工場に新工場を建設予定。2023年秋以降順次稼働予定で、新工場により同社の生産能力は4.5倍以上になる見込み。

ルネサス エレクトロニクス
カーボンニュートラル社会に向けて需要が拡大する電気自動車(EV)向けのパワー半導体。その生産拠点として、同社では900億円を投じ、閉鎖した甲府工場の稼働再開を決定。生産能力は最大で2倍以上に増加する模様だ。2024年稼働再開予定。

国内生産回帰の理由[3]地政学リスク回避

製品供給効率を最大化しサプライチェーンを強化

JVCケンウッド長野JVCケンウッド長野

JVCケンウッド長野
インドネシアや中国で行なっていたカーナビゲーションシステムの生産について、国内工場への移管を開始した。2021年度は10万台規模であったが、2022年度は30万台、2023年度には50万台規模の予定。新型コロナによるサプライチェーンの寸断を契機に進められている。

日立
2022年10月、中国と台湾を巡る地政学的なリスクから、中国と関係の薄い国または日本国内といった、安定したサプライチェーンを確立できるエリアへ、生産拠点を移動しようと検討中とのこと。2023年以降、具体的な動きが見られるかもしれない。

キヤノン
2022年1~9月期決算会見で同社の御手洗CEOが地政学的なリスクを理由に、今後は中国や東南アジアにある海外工場の見直しを示唆。2023年には神奈川県の企業誘致政策を受けて平塚事業所内に新工場を建設する模様で、国内への移転動向が注目される。

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