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会社から不本意な異動を命じられたら拒否してもいいのか?

2022.12.31

敬遠していた部署への異動や、不本意な転勤を命じられた場合には、会社の人事異動命令に法的な根拠があるかどうかを確認して対応することが大切です。

今回は、会社の人事異動命令を拒否することの可否・リスクなどをまとめました。

1. 会社の人事異動命令は拒否できるのか?

会社が従業員に人事異動を打診する場合、当初は「命令」ではなく「相談」という形をとるケースが多いです。相談段階であれば、従業員としての希望を会社に伝えるという意味で、人事異動を拒否しても構わないでしょう。

ただし、会社の人事異動に関する「相談」を拒否し続けると、「人事異動命令」に発展することもあります。「人事異動を命ずる」という趣旨の書面(辞令など)を受け取った場合には、人事異動命令がなされたと理解すべきです。

人事異動命令がなされた場合、従業員がそれを拒否できるかどうかは、以下の要領に従って決まります。

(1)人事異動命令が、会社の人事権の範囲を超えている場合
→人事権の逸脱として違法であるため、人事異動命令を拒否できます。

(2)人事異動命令が、会社の人事権の範囲内でなされた場合
→原則として、人事異動命令を拒否できません。ただし人事権の濫用に当たる場合には、例外的に人事異動命令を拒否できます。

※会社の人事権の範囲は、労働契約の定めに従って決まります。

2. 人事異動命令を拒否できる場合の例

人事権の逸脱または濫用として、人事異動命令を拒否できる場合の例を紹介します。

2-1. 労働契約上の人事異動の範囲を逸脱している場合

労働契約では、人事異動の範囲が限定されることがあります。

(例)
・職種を限定する(例:エンジニア職として勤務する、他の職種へは異動しない)
・勤務エリアを限定する(例:東京都内で勤務、都外への転勤はなし)

このような労働契約上の限定に違反してなされた人事異動命令は、人事権の逸脱に当たるため拒否できます。

2-2. 転勤による労働者の不利益が大きすぎる場合

転勤を伴う人事異動命令については、労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである場合には、権利濫用に当たると解されています(最高裁昭和61年7月14日判決参照)。

ただし同最高裁判例の事案では、母親(71歳、元気)、妻(28歳)、長女(2歳)と同居していた労働者への転勤命令(大阪府堺市→愛知県名古屋市)につき、権利濫用には該当しないと判断されました。

最高裁は、労働者に与える家庭生活上の不利益が「転勤に伴い通常甘受すべき程度のもの」に過ぎないと判示しています。

この判示からすると、単に「家族と離れ離れになる」というだけでは足りず、人事異動命令が権利濫用と認定される可能性は低いと考えられます。

権利濫用が認定されるためには、重病の親族を介護しているなど、転勤によってさらに大きな不利益が発生する状況が必要でしょう。

2-3. 人事異動命令が不当な動機・目的に基づく場合

人事異動命令は、あくまでも業務上の正当な必要性に基づき行われるべきものです。

業務上の必要性がないにもかかわらず、労働者に対する報復や嫌がらせ、退職勧奨などを目的として行われる人事異動命令は、人事権の濫用として拒否できます。

3. 人事異動命令を拒否することのリスク

会社の人事異動命令を拒否した場合、従業員は人事査定の悪化や、懲戒処分のリスクを負うことになります。

会社の命令を盲目的に受け入れるべきではありませんが、人事異動命令を受けた際にどう対処すべきかについては、利害得失を総合的に考慮した上でご判断ください。

3-1. 人事査定の悪化

会社の人事異動命令を拒否したことは、人事査定においてマイナスに評価されることがあります。

人事査定については会社に広い裁量が認められており、そのプロセスは不透明であるケースが非常に多いです。従業員が気づかないうちにマイナス査定がなされて、将来的な待遇・昇進などに悪影響が生じることもよくあります。

もっともこのような会社では、ご自身の力を十分に発揮することは難しいでしょう。人事異動命令を拒否したことが待遇や昇進に響いていると感じた場合は、転職も視野に入れるべきかもしれません。

3-2. 懲戒処分

法的に拒否できない人事異動命令を拒否した場合には、懲戒処分の対象となります。たとえば戒告・けん責による厳重注意や、減給などの懲戒処分を受ける可能性があります。

ただし、労働者の行為の性質・態様その他の事情に照らして、重すぎる懲戒処分は無効となります(労働契約法15条)。たとえば、人事異動命令を1回拒否しただけで懲戒解雇された場合は、解雇が違法・無効となる可能性が高いでしょう。

また、人事権の逸脱・濫用に当たる人事異動命令につき、従業員が拒否したことを理由に行われた懲戒処分も違法・無効です。会社から不当な懲戒処分を受けた場合には、弁護士へのご相談をお勧めいたします。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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