業界最大手のネット通販サイトAmazonが、日本国内での薬局事業に参入する兆しが見えてきた。
2022年11月20日現在では同社が公式に発表していないため予想にすぎないが、その背景には2023年からはじまる電子処方箋制度が関係していると見られる。
電子処方箋制度が始まれば、体調が悪い時の診断から薬の入手まで、全ての手続きがオンラインで合理的に完了でき、生活の利便性が高まる機運となる。
そこで本記事ではビジネスパーソンとして知っておきたい薬局業やそれに関連する情報をまとめた。
Amazonが参入しようとしているのは、処方箋が必要な調剤薬
我々が普段から利用できる国内AmazonのECサイトでは、すでに多数の薬が販売されている。そのため「Amazonが薬局に参入する」と聞いても今さら感を感じるかもしれない。
しかし、現在Amazonが取り扱っているのは、一般の人がドラッグストアやコンビニなどで購入できる薬のみとなっている。
内科をはじめとした医院で診断を受けたときに受け取る「処方箋」が無いと購入できない薬は、Amazonでの取り扱いがない。この処方箋が無いと買えない購入できない薬を今後取り扱おうと考えているのが今回の「Amazon薬局」の話となる。
■2022年11月現在でも薬局に対して処方箋の画像を提出すれば宅配で薬が手に入る
引用元:くすりの宅配予約/EPARK
2022年11月現在で、処方箋から薬を購入する場合、オンラインでの購入が全くできないわけではない。課題として、処方箋がデータ化されておらず紙の処方箋の画像を撮影して、対応する薬局に提出する必要がある。
医薬品の区分を整理。ネットで買えるものと買えないものの違いとは?
ここで提供方法別の薬の種類を見ておこう。医薬品には処方箋の要否に加えて効果と副作用の大きさ、つまりリスクの大小によって種類が異なっている。
■医薬品の分類
引用元:大阪健康安全基盤研究所
薬(医薬品)には、処方箋が必要な「医療用医薬品」と処方箋が不要な「OTC医薬品」がある。医療用医薬品の場合、薬局での薬剤師との服薬指導を電話などのオンラインで受けることにより、宅配での医薬品の受取ができる。
OTCは「Over The Counter」の略称で、一般的な店頭のカウンターで購入できるイメージからそう呼ばれていが、処方箋が不要でドラッグストアで購入できる医薬品の通称でしかない。
また、OTC医薬品には要指導医薬品と一般用医薬品に分類される。(下図)
■OTC医薬品のネット販売の可否
要指導医薬品は、リスクが高いためネット上での販売ができない一方、一般用医薬品はネットでの販売が認められている。
さらに一般用医薬品は、リスクの程度によって第1類から第3類までの3つに分けられている。(下図)
■一般用医薬品の3つの分類
これらの医薬品はネット通販で購入できるし、国内のAmazonでも取り扱いがある。