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CEOの混浴騒ぎからおとり広告まで、2022年に起こった上場企業の主な不祥事を振り返り

2022.12.25

国際的な競争力を強化する上で欠かせないものとなったコーポレートガバナンス。平成から令和に移り変わり、企業の不祥事にはいっそう厳しい目が向けられるようになりました。

東京証券取引所は上場企業に対して健全な経営を推進するコーポレートガバナンス・コードの遵守を求めていますが、不祥事は根絶しきれません。

2022年、特に話題が尽きなかった上場企業の不祥事を振り返ります。ここで扱うのは以下5つのニュースです。

1.東京オリンピックの汚職事件
2.スシローのおとり広告
3.吉野家元役員「生娘シャブ漬け」発言
4.TOKAIホールディングス元社長の使い込み
5.日野自動車の排出ガス不正問題

公金をカットしようとした末に不正がまん延

2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約を巡り、組織委員会の元理事だった高橋治之容疑者が、KADOKAWAやAOKIホールディングスなどから多額の賄賂を受け取ったことが明らかになりました。

KADOKAWAの角川歴彦元会長、AOKIホールディングスの青木拡憲元会長は逮捕され、東京地検特捜部は広告代理店の最大手である電通の強制捜査にも乗り出しました。汚職事件の全容を明らかにしようと躍起になっています。

この事件にはポイントが2つあります。1つはスポンサーを選定する運営体制。もう1つはスポンサー収入の一業種一社の原則を外したことです。

オリンピックのスポンサー選定は組織委員会のマーケティング局が担っていましたが、職員の多くは電通からの出向組でした。高橋治之容疑者は、正規のルートから別の窓口を設けてスポンサーを募っていました。それが不正の温床になっていましたが、マーケティング局そのものが電通で固められていると、元電通の高橋治之容疑者に対して意見が言えません。運営能力の高い電通に依存するという、組織の体制そのものに問題があったのです。

また、オリンピックの予算が1兆円を超えるなど、世間からの批判が絶えませんでした。そのため、東京都や国からの税金を抑えるべく、スポンサー収入を少しでも多くしようと計画しました。そこで一業種一社の原則をなくし、スポンサー集めに奔走しました。

東京オリンピックのスポンサー収入は3,700億円超。それまでの最高額と言われたロンドン大会の3倍以上の数字です。

資金を集め、都や国の負担を軽くしたという側面だけを取り出すと、高橋治之容疑者の貢献度は高かったことになります。大規模なスポーツイベントにおいては、予算計画や資金集めを綿密に行い、適切な組織運営体制が求められることを如実に物語る事件でした。

おとり広告で批判が高まったのはファンが多かった証拠?

スシローは6月9日におとり広告に当たる景品表示法違反が認められたとして、措置命令を受けました。110円という破格のうにを期間限定で提供したところ、品切れが続出して食べられないという声が多数挙がったというもの。スシローはテレビCMで大々的に宣伝し続けていました。

これが、実際には購入できないにも関わらず、購入できるかのように表示していた不当表示に当たると認定されました。

おとり広告や景品表示法違反は、さほど珍しいものではありません。かつてシャープは掃除機のプラズマクラスターに、部屋全体の浄化効果があるという広告で措置命令を受けています。ジャパネットたかたも、エアコンの価格を通常の販売価格よりも安いかのように見せたことで課徴金納付命令が下っています。

不動産会社や健康食品、衛生用品を扱う会社でも、景品表示法違反はよく見かけます。

スシローが過度な批判にさらされたのは、消費者にとって身近なブランドであり、コロナ禍でも好調だったことが関係しているでしょう。つまり、よく通うお店だったのに裏切られたという意識が強く働いたと考えられます。

スシローは措置命令を受けた直後、キャンペーン開始前の半額ビールのポスターを掲載し、更なる不信を招きました。

スシローの既存店客数は7月から前年同月比で100%を下回るようになり、客離れが進みました。更に10月からの値上げで客数は10月が前年比79.9%、11月が73.1%と大苦戦。信頼と客数の回復には長い時間がかかりそうです。

軽口は見逃されない社会に

早稲田大学の社会人向けの講座で、生娘をシャブ漬けにする戦略というとんでもない発言が飛び出しました。講師として登壇していたのが、吉野家ホールディングスの役員だった伊東正明氏。P&Gの出身者で、吉野家をV字回復させたやり手のマーケターです。

伊東正明氏は常連客の来店頻度を上げ、女性客やファミリー客という新しい顧客を開拓し、客数を増加させたことで有名。絶頂期にはメディアに何度も顔を出していました。

講演での不適切な発言は、気が緩んだものに違いありません。しかし、伊東正明氏は常務取締役を解任されるという重い処分が下りました。たとえ場を和ませるリップサービスだったとしても、ちょっとした発言がSNSで瞬時に拡散する時代。発言内容にも気を配らなければなりません。

会社の経費でやりたい放題の元代表

ガス事業などを手掛けるTOKAIホールディングスが12月15日に公表した、鴇田(ときた)勝彦元社長の使い込みに関する内容は仰天の連続でした。

2016年4月から2022年9月にかけて行った会食などの経費9,400万円のうち、4,900万円の内訳を調査したもの。その結果、1,000万円以上の支出が不適切であるというのです。

例えば、鴇田勝彦は会社が所有する保養施設VILLA 蓼科に会社の経費で宿泊していますが、その際に女性のコンパニオンを招待していたことが明らかになりました。混浴していた実態まで明らかになっています。

特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ

これ以外にも、会社の資産としてクルーザーや高級マンションを購入し、私物化していた事実も明るみに出ています。

鴇田勝彦氏といえば、東京大学法学部を卒業後した後に経済産業省に入省し、中小企業庁長官に就任したエリート中のエリート。TOKAIホールディングスの成長にも尽力しました。

権力の強い人に対して、強く口出しする人がいなくなる負の影響を見せつけられた出来事でした。

問題を指摘する方が負けという文化が出来上がっていた

トラック大手日野自動車が、2022年8月に国内向けのほぼすべてのトラックの出荷を停止するという異例の出来事が起こりました。排出ガス劣化耐久試験に関する不正行為が発覚したためです。

不正が行われていた背景の一つとして、組織的に問題解決能力が失われたことが挙がっています。何らかの問題が起こった際、担当者は他部署の関係者が集う会議の場で説明を求められ、晒しものにされていたといいます。一部の社員はこれを「お立ち台」と呼んで毛嫌いしていました。

つまり、晒しものにされるぐらいなら問題を指摘しない方が良いと考えてしまうのです。日野自動車のような大規模な不正行為が、経営陣や管理職の命令のもとに行われることはほとんどありません。企業文化や組織風土が不正を醸成してしまうのです。

また、日野自動車の代表は親会社であるトヨタ自動車から送り込まれるのが通例。組織改革や経営改革が起こりづらくなっていました。

現状維持で組織を推進することのリスクを露呈しました。

取材・文/不破 聡

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