21世紀の漁業の鍵をにぎる養殖ビジネスに、新しいアプローチで挑むさかなファーム社。研究機関と生産者、そして料理人をも巻き込んで、根本的に課題を解決するモデルが興味深い。
食文化が育んだ日本人の強みとは?
「陸上養殖なら、世界中どこでも魚を地産地消できる」とは、同社代表の原氏。輸送が必要なくなるので、最終的な価格も下げられる。
生産量は安定するし、陸上で育った魚が、海面養殖の魚と同等の価格で流通する時代が、遠からず訪れるはず。2022年12月には、アトランティックサーモンの国内最大級の陸上養殖施設「富士小山養殖場」が静岡県小山町で操業を始めた。卵から育てて2024年半ばから出荷、2027年には年間5300トンの生産を見込む。
そんななかでも、陸上養殖魚のブランド化にこだわるさかなファームは特異な存在。目指すのは、養殖技術の輸出だ。
「日本人は美味しい魚をつくるのがうまい」と原氏。顧客の舌が肥え、評価が厳しい日本のマーケットで受け入れられた商品は、世界にも通用する。それらを砂漠の大地でも、極寒の森でも、育てられるようになるわけだ。
同社は生産者向けに養殖生産管理アプリ「sakanafarm」を提供しており、データに基づいた再現性の高い生産の仕組みも用意する。商品そのものや、プラントなどのハードではなく、魚食文化という日本のソフトを持って、世界へ進出していく。
取材・文/ソルバ!
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