柔軟剤のイメージを大きく変える新しい柔軟剤を開発
「柔軟剤」と聞いて、どんなものを思い出すだろうか。一般的には、色の付いた粘度の高い液体を思い浮かべるのではないだろうか。
そんな柔軟剤のイメージを大きく変える、新しい柔軟剤をライオンが開発した。商品名は「ソフラン Airis.」(以下エアリス)。その発表会が開催された。
■柔軟剤ではない。ランドリーウォーターだ
ライオン株式会社 代表取締役 社長執行役員 最高経営責任者 掬川正純(きくかわまさずみ)氏
創業131年のライオンは、石鹸や歯磨き粉、食器用洗剤や洗濯用洗剤などなど、生活に欠かせない衛生用品を中心に開発・販売を行なってきた。
柔軟剤は1962年に日本に初登場。ライオンは1966年に同社初の柔軟剤「ライオンソフター」を発売。柔軟剤だけでも60年の歴史を持つメーカーなのだ。
そのライオンが今回発表したエアリスは、柔軟剤ではなく「ランドリーウォーター」と銘打っている。これまでの柔軟剤のイメージを大きく覆す新ジャンルと言ってもいい製品だ。
■エアリスは視覚・聴覚・触覚すべて新技術を採用
エアリスは視覚・嗅覚・触覚のすべての面で新しいものとなっている。
ボトルおよび詰め変え用パウチは透明パッケージ。柔軟剤も透明な液体となっていて従来の柔軟剤とは異なる
まず視覚。柔軟剤のあのイメージとはほど遠い、透明でさらっとした液体。ボトルも詰め替え用パウチも透明で、とてもクリアな印象を受ける。まさにラウンドリー“ウォーター”なのだ。
嗅覚に関しては、自然界にある植物が放つ香りをそのまま捕集する技術である「ネイチャーエアー製法」を採用。これにより、いかにも「植物から抽出しました!」といった強めの香りではなく、ふわっと部屋中に広がるような香りを実現している。
また、「エアリーブルーミング」という技術を採用し、洗濯中、そして洗濯後に洗濯機を開けたときに香りが空気中に素早く広がります。通常20秒ほどかかるところが、4秒で空気中に香りが広がるので、あっという間にAirisの香りに包まれるというわけ。
触覚に関しては、「エアリーフィール」という技術を採用。これは主成分を抜本から見直し、特殊シリコンを採用することで、洗濯物のサラサラ感が大幅にアップ。少々汗をかいた状態でも、サラサラ感が持続する。
見た目から効果まで、これまでの柔軟剤のイメージとは大きく異なるものとなっている。3年の開発期間は伊達ではないというところか。
■柔軟剤のコモディティ化を打破
ライオン株式会社 ヘルス&ホームケア事業本部 ファブリックケア事業部長 横手弘宣(よこてひろのぶ)氏
なぜ、ライオンはこれまでの柔軟剤の枠を超えた「ランドリーウォーター」というカテゴリーの製品を開発したのか。それは柔軟剤のコモディティ化を憂う気持ちがあったからだ。
現在、約8割の家庭が柔軟剤を使っている。しかし消費者が柔軟剤を選ぶ基準は「防臭」または「高残香(香り)の二極化となっている。
柔軟剤市場は1500億円規模と言われているが、その勢いもコモディティ化に伴い鈍化。これを打破するために、ライオンは消費者の潜在的な期待に応えるべく、新しい柔軟剤の開発に至ったという。
ライオンは「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」をパーパスに掲げ、暮らしの中で生活者も気付いていない新たな課題を発見して「Positive Habits」(よりよい習慣)に変えていくことを命題としている。
日本における歯磨きの市場規模は2020年に1390億円だが、2030年には1330億円に縮小すると予想されている。しかし、ここにPositive Habitsを持ち込み、歯磨きの購入や歯磨き習慣を生活者が取り入れることで、2030年には2040億円になると予測しているというのだ。
つまり、今我々消費者が気付いていないが、潜在的に欲している何かをPositive Habitsとして製品に取り入れていくことで、経済価値を大きく上げることができるということなのだ。
エアリスに関しては、従来の柔軟剤にはない新しい選択肢として、Positive Habitsを提供することで、柔軟剤市場そのものの活性化を促していこうという考えがあるのだ。
■3種類のエアリスを使い分ければ毎日の洗濯が楽しくなるかも
発表会にはタレントの小堺一機さんと関根麻里さんが登場。実際にエアリスを使った洗濯プロセスの疑似体験をした
柔軟剤は、あまりにも当たり前の存在になってしまい、一度気に入ったものをそのまま使い続けているという人も多いはずだ。
左からパティオ、バルコニー、プールサイド。香りそのものではなく、シチュエーションが名称となっているのが興味深い
しかし、エアリスは3種類の香りが用意されており、それぞれシーン別の香りの名称が付けられている。ライオンによれば、「気分によって使い分けてもらえれば」ということだったが、いつも同じ柔軟剤を使っているこちらとしては、「気分によって柔軟剤を使い分けるなんて!」と新鮮な気持ちになった。これがPositive Habitsなのか…。
柔軟剤の新しい波、「ソフラン Airis」は、2023年4月6日発売予定。価格はオープンとなっている。新機軸のランドリーウォーターが、消費者にどのように受け入れられるのか、今から興味津々だ。
取材・文・撮影/三浦 一紀