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転職エージェントが相手にしない「人材ジャンク品」の闇

2022.12.02

みなさん、こんにちは。株式会社ブルーブレイズ代表の都築と申します。本連載では、40代・50代のビジネスパーソンに向けて、転職、複業、リスキリング、定年後のセカンドキャリアなど、人生後半のキャリア形成のヒントをお届けしていきます。

当社が運営する、45歳からの実践型キャリアスクール「ライフシフトラボ」では、人生後半も活躍し続けたいミドルシニアに、転職や複業のパーソナルトレーニングを提供しています。これまで500人以上の方をマンツーマンで支援する中で培った、キャリア形成ノウハウや中高年の人材マーケット概況などをお伝えしますので、ぜひみなさんの新たな一歩を後押しできれば幸いです。

転職エージェントの闇

応募書類の添削や求人紹介を行ってくれる転職エージェントは、転職の際にとても頼りになる存在です。利用したことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、ほとんどの40代・50代転職希望者は、一部の転職エージェントの間で「ジャンク品」と呼ばれ相手にされないことをご存じの方はわずかでしょう。連載1回目の今回は、そんなショッキングな話からスタートします。

大前提として、人をジャンク品呼ばわりするのは容認できることではありません。しかし「許せない!」と切り捨てるのではなく、こうした業界の闇が生まれる人材ビジネスの構造に目を向けることによって得られる、キャリア形成のヒントがあると思うのです。

転職エージェントのビジネスモデルを知っていますか?

利用したことがある方はご存知だと思いますが、転職エージェントへの相談は無料です。求職者は通常、自己分析や職務経歴書の添削、求人紹介、面接対策、内定した企業との条件交渉などの手厚いサービスを受けられますが、はて、どうして無料なのでしょうか。

それは、転職エージェントは求職者ではなく、人材を採用する企業から報酬をもらって成り立つBtoBのビジネスモデルだからです。人材を採用したい企業は「こういう条件に合致する人材を紹介してほしい」という求人を転職エージェントにリクエストします。転職エージェントは求人条件に該当する採用候補者を探して企業に紹介。企業が選考を経てその人材を採用し、入社に至ると、晴れて転職エージェントはその企業から成果報酬を受け取れる仕組みになっています。報酬額は求人の採用難易度や市況などによって上下しますが、直近はおおむね採用した人材の理論年収の30%から35%で推移しています。転職エージェントが紹介した人材の理論年収が1,000万円のとき、人材紹介業者の売上は300万円から350万円となるわけです。

さて、ここで転職エージェント側の立場に立つと、このようなビジネスモデルのもとで売上を増やすには、

・できる限り企業に高く評価され、選考に通りやすいこと
・できる限り入社時の年収が高いこと

の2点を満たす人材を紹介すべきという構造に気付くでしょう。

転職エージェントは、企業が人材を採用したときにはじめて売上が立つ、完全成果報酬型のビジネスです。転職エージェントにとって求職者との面談は、顧客である企業に自信を持って紹介できる採用候補者を品定めする「仕入れ」の場という性質があります。

転職エージェントが100人の人材と面談して企業に紹介しても、ひとりも内定に至らなかったら、転職エージェントの売上はゼロ。面談に使った時間はパーになってしまいます。「もっと優秀な人を紹介してくださいよ」と、企業からクレームすら来かねません。転職エージェントとしては「内定する確率が高い人材とだけ面談したい」と考えるのは道理です。さらに、売上は内定した人材の年収に比例するので、どうせ同じ時間を使うのなら年収の低い人よりも高い人が優先されるというわけです。

もちろん、同業者間での差別化のために、1人あたりの採用成果報酬は少なくても、募集人数が多い低年収層にあえて特化する「薄利多売戦略」をとる転職エージェントもありますが、上記のようなビジネス構造が原理原則として存在していることに変わりはありません。

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