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IT業界の就職や転職でよく耳にする「SIer」って何のこと?

2022.12.15

エンジニアの就職先としてよく耳にするSIerとは、何をする会社なのでしょうか?SIerの特性から仕事の内容、働くメリット・デメリットについて解説します。就職・転職を検討中の人は、ぜひ参考にしましょう。

SIerとは

IT業界で就職・転職活動を行っていると、よく目にするのが『SIer』という言葉です。システム開発などを行う大手企業というイメージはあるものの、具体的に何をしている会社を指す言葉なのかが曖昧だという声も少なくはありません。まずはSIerに関する基本知識を確認しましょう。

システム開発を請け負う企業

SIerのSIは『System Integration』の略で、語尾に「〜する人」という意味の『er』が付いています。つまり、『システムインテグレーションを行う人・企業』という意味です。

システムインテグレーションとは、クライアントの抱える課題を吸い上げ、その課題を解決する手段としてシステム開発を請け負うサービスを指します。そのため、SIerとは『システム開発を請け負う開発企業』を意味することになります。

SESとの違いは?

一般的にSIerはエンジニアの就職・転職先となるケースが多いですが、SIerと混同しがちなのが『SES』です。システムやソフトウェアの開発から保守・運用業務までを一貫して請け負うという委託契約である点は、SIerとSES(System Engineering Service)は共通しています。しかし契約形態という点で、両者は異なるのです。

システム開発に関する契約は、主に以下のいずれかの形態で締結されます。

  1. クライアントから依頼されたシステムの完成品を納品して、納品物の対価を受け取る
  2. 技術力を提供して、その労働力の対価を受け取る

SESは『クライアント先にシステムエンジニアの技術力を提供するサービス』であるため、上記のうち2にあたります。一方でSIerは、完成したシステムなどの成果物に対して料金が発生するため、契約形態は1に該当するのです。

ただし大手SIerとなると、完成品の納品で完了ではなく、その後の運用から保守までワンストップで請け負う企業も多く、SIerの中にSES部門があるケースも少なくありません。

SIer企業の種類と仕事内容

タイピングする手元

(出典) photo-ac.com

SIerは、企業設立の経緯や展開している事業の内容などによって、大きく五つに分類できます。代表的な5種類のSIerの特徴について確認しましょう。

SIer企業は5種類に分類できる

SIer企業は以下の5種類に分類できます。

  • ユーザー系SIer:企業内にあった情報システム部門が独立し、子会社化されたSIerで、NTTデータや伊藤忠テクノソリューションズ、三菱総合研究所などがその代表。商社や金融系企業が親会社のケースが多く、親会社からの案件が確保されているため安定経営という強みがある
  • メーカー系SIer:ハードウェアのメーカー企業内の情報システム部門が独立・子会社化したSIerで、NECや富士通、日本IBMなどが挙げられる。ユーザー系SIer同様、親会社の存在により安定経営が強みのSIer
  • 独立系SIer:親会社を持たないSIerで、大塚商会やISID、富士ソフトなどがその代表。クライアント企業が限定されず、さまざまな案件を経験できるというメリットがある
  • コンサル系SIer:クライアントのニーズや課題、経営状況に応じて策定される経営戦略の一環としてシステム構築を行うSIerで、野村総合研究所やフューチャーアーキテクトが代表。システム開発だけでなくIT技術の導入やシステムを活用した業務フローの改善など、総合的な視点からクライアントの課題解決を目指すのが特徴
  • 外資系SIer:海外資本のSIerで、日本オラクルやアクセンチュア、SAPジャパンなどが代表。成果主義の企業風土により、自分の頑張り次第で待遇だけでなくグローバルな市場価値を高め、活躍を目指せるのがメリット

幅広い仕事内容

SIerが請け負う仕事の内容は、実に広範囲です。クライアントへのヒアリングから始まり、その結果をもとにシステムの導入計画を立案、システムを設計・開発し、完成後も運用から保守・点検まで請け負います。

ほかにも、システム導入に付随して必要となるハードウェアやソフトウェアの選定から、インフラ構築、社内管理システムの構築まで含めて請け負うケースも少なくありません。

SIerが対応するシステムの種類も多様で、社内システムであればHR、CRM、SFA領域から、在庫管理や営業管理などのシステムに対応します。

大手企業や官公庁からは、『ERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務システム)』と呼ばれる、クライアントに関するすべてのデータを一元管理する大規模システムの開発案件依頼が来るケースがあります。

こういった案件に関しては大手SIer以外が請け負うのは現実的に困難であり、そこが大手SIerの強みです。

SIer企業で働くメリット・デメリット

ノートパソコンのキーボード

(出典) photo-ac.com

システム開発を軸としたトータルソリューションカンパニーといえるSIerで働くに際しては、一般的なシステム開発会社で働く場合とは異なるメリットやデメリットがあります。SIerで働くメリット・デメリットについて確認しましょう。

メリットは安定性・技術・市場価値

先述のメーカー系やユーザー系SIerのように、SIerには経営母体がしっかりしている企業が数多く存在します。

またSIerでは、ERPの案件や海外での案件に携わる機会も多く、最新のIT技術を用いた大規模プロジェクトの実績を積み上げられる可能性も高いでしょう。

安定的に案件を獲得でき、経営が不安定になるリスクが低いSIerで働く中で、自分の技術力や市場価値を効率的に高めていける点は、SIerで働くことで得られる大きなメリットです。

デメリットは企業風土

安定的に案件を獲得できるというSIerの強みによって醸成された企業風土が、かえって働く上でのデメリットとなるケースもあります。

大手SIerでは、下流工程を下請け企業に外注するケースがほとんどです。そのため、開発の全工程のうちスキルを身につけられない、高められない部分が生じるリスクが考えられます。

また外資系SIerを除いた国内大手SIerでは、年功序列や縦割り組織など、日本独自の企業風土が根強く残っているケースがまだ多いでしょう。そのような環境では、新しい技術や考え方を取り入れることが難しく、若い世代にとっては成長を期待できないと感じてしまうかもしれません。

加えて、下請けによる受注に頼っている中小SIerであれば、なかなか給料が上がりにくいといった問題もデメリットといえます。

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