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Twitter社における大規模なレイオフは日本の法律で認められているのか?

2022.11.22

イーロン・マスク氏による買収を機に、Twitter社において大規模なレイオフが行われたことが報道されました。

日本法人であるTwitter Japan株式会社も、今回のレイオフの対象となったことが一部で報道されています。しかし、日本の労働法では解雇が厳しく制限されているため、会社による一方的なレイオフは違法の可能性があります。

今回は、日本においてレイオフは認められるのかどうかについて、法的な観点からまとめました。

1. レイオフとは

「レイオフ(layoff)」とは本来、人員整理を目的として行われる一時的な解雇のことです。

レイオフ期間中は、従業員としての身分を失い無給となりますが、業績回復などに伴って人員採用を行う際には、優先的に再雇用が約束されます。

ただし近年では、本来の意味でのレイオフが行われるケースは少なくなっています。実際に「レイオフ」として報道されるケースの多くは、再雇用を想定しない整理解雇を意味しているのが実情です。

2. 日本における整理解雇規制の概要

使用者による一方的な解雇が厳しく制限されている日本でも、人員整理を目的とする整理解雇が一切認められないわけではありません。

しかし、整理解雇の適法性は、以下の4つの要件を満たしているか否かを考慮して、厳格に判断されます。

(1)人員整理の必要性

業績が著しく不振であり、整理解雇を行わなければ経営破綻の危機が現実化するなど、人員整理の必要性が高度に認められる場合でなければなりません。

(2)解雇回避努力義務の履行

整理解雇はあくまでも最終手段であり、その前に他の手段によって経営改善の努力を尽くす必要があります。

整理解雇の前に講ずべき経営改善策の具体例は、役員報酬の削減・新規採用の抑制・退職勧奨・配置転換などです。

(3)被解雇者選定の合理性

誰を整理解雇するかについては、合理的な選定基準を策定したうえで、それを適切に運用して決定しなければなりません。

(4)解雇手続きの妥当性

整理解雇の必要性などについて、対象者本人や労働組合への説明を尽くし、納得を得るよう努める必要があります。

たとえば今回のTwitter社のケースでは、「レイオフ」が経営権の移動に伴って行われたことが明白です。しかし、経営権の移動のみを理由とした整理解雇は、人員整理の必要性をはじめとした上記各要件を満たさず、日本では違法と考えられます。

したがって、少なくとも日本法人であるTwitter Japan株式会社においては、整理解雇の形で「レイオフ」を適法に行うことは困難だったものと思われます。

3. 労働契約の準拠法が外国法とされている場合の取り扱い

外資系企業の場合、労働契約は外国法人である本社などと締結していて、準拠法も外国法が指定されているケースがあります。

しかし、労働契約の準拠法が外国法であっても、日本法人で働く従業員は、日本法に基づく解雇規制の保護を受けられます。

「法の適用に関する通則法」12条1項に基づき、「労働契約に最も密接な関係がある地の法」における「強行規定」として、日本法における解雇規制の適用を主張できるからです。

今回のTwitter社のケースにおいて、Twitter Japan株式会社と日本の従業員が締結する労働契約の準拠法が、日本法・海外法のいずれであったかは定かではありません。

しかし、仮に海外法が準拠法であったとしても、従業員側が日本法に基づく解雇規制の適用を主張すれば、一方的な整理解雇は違法・無効となる可能性が高いです。

4. 労働者の同意があれば、解雇ではなく「合意解約」

退職について労働者が同意している場合は、解雇ではなく労働契約の「合意解約」として取り扱われます。

合意解約には解雇規制が適用されないため、従業員を適法に退職させることが可能です。

4-1. 外資系企業でよく見られる「退職パッケージ」

外資系企業では、退職させたい従業員に対して退職勧奨を行う際、「パッケージ」の提供を提案するケースがよく見られます。

パッケージとは、退職に関する同意の見返りとして、会社が退職者に提供する経済的利益の総称です。

多くの場合、賃金の6か月分から2年分程度の上乗せ退職金という形で、会社側からパッケージが提案されます。パッケージの金額については、従業員側からの要求によって引き上げられることもあります。

Twitter社のケースでも、内情は定かではありませんが、パッケージの提供を条件に従業員の退職同意を得たのかもしれません。仮にそうだとすれば、労働契約の合意解約として取り扱われるため、日本における厳格な解雇規制を回避できます。

4-2. 事実上の強制が行われた場合は、解雇扱いになる

ただし、労働契約を合意解約する場合、従業員側の同意は真の意思に基づくものでなければなりません。

たとえば、圧迫面談で無理やり同意を迫る、オフィスから強制的に締め出すといった会社側の行為が認められる場合は、従業員に対して事実上退職を強制していると評価されます。

この場合、実質的な解雇として解雇規制が適用され、従業員の退職が無効となる可能性がある点にご留意ください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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