一つの会社で定年まで勤めあげるか、転職を繰り返してキャリアアップを図るか……どちらの道を選ぶかは人それぞれ。
では、転職経験がある人と一度も転職経験がない人では、どちらが多いのだろうか?
リクルートはこのほど、「就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022」を実施。本稿では調査結果の一部を紹介する。
両極化してきた可能性がある日本の転職市場
2022年3月時点における、20~50代正社員・正職員就業者の転職経験状況を見ていく。
転職経験者の割合は20代ですでに4割弱を、そして30代で半数を超えている。40代、50代では6割弱と安定しているので、日本の正社員では40歳くらいまでに転職活動を終え、おおむね6割程度が転職を経験してきたと要約できる。
また、転職はしていないが転職活動はしていた者もいる。たとえば、20代の62.6%が転職未経験者だが、そのうち19.9%は転職活動を経験している。逆にいえば、全く転職活動をしなかったのは4割強にとどまる。
20代から30代にかけて、転職経験者の割合が15.5ポイント増加するのに対して、転職未活動者の割合は7.3ポイント減少するに過ぎない。つまり、30代になって新たに転職経験者が増えるのは、20代のうちに転職活動をしていた者が転職する事例が増えることが主な要因で、20代でそもそも転職する意志さえ持たなかった者が、にわかに転職活動を活発化させるのは二次的要因であることを示唆している。
転職活動すらしたことがない割合は、40代、50代でも3割台と根強く安定している一方、転職経験者は転職を重ねる傾向がある。20代では転職1回が転職経験者の62.6%を占めるのに対して、50代では3回以上が約半数を占める。
50代では転職経験者が58.0%なので、3回以上の転職経験者は50代のうちおよそ28%と算出される。転職活動を全くしてこなかったおよそ36%と比較しても遜色ない。日本の転職市場は両極化してきている可能性がある。
年代別では50代も約4割が転職を考えている
2022年3月現在、正社員・正職員の20~50代就業者において、今後の転職意向を年代別に見ると、年代が高くなるほど転職意向は低くなっている。
20代の転職意向は6割を超えており、現在活動中も約3割。
30代の転職意向は約6割で、現在活動中は2割強。
40代の転職意向は約半数で、現在活動中は15.8%。
50代においても、約4割が転職意向がある。現在活動中は約1割。
転職経験状況で転職意向状況を見ると、総じて、転職未経験者よりも転職経験者の方が転職意向は高い傾向が見られる。
出典元:株式会社リクルート
構成/こじへい