スケジュールアプリの普及により、手帳の役割が未来の予定を管理するモノから、過去を記録として残していくモノに変化。手帳にその日にやったこと、食べたもの、感じたことなどを、ライフログとして書き込む人が増えている。その一環として注目されているのが、ジャーナリングを採り入れた手帳術だ。コクヨの吉村茉莉さんに聞いた。
マインドフルネス瞑想と同じ効果が期待できるジャーナリング
今の社会人は多くのストレスを抱えている。新型コロナに感染する不安や値上げによる家計の圧迫、人生100年時代の将来の備えなど、挙げ始めたらキリがない。
そんな日々、感じている心配事や不安を鎮めて、自分の内面に意識を向けて今の自分を感じる。それがマインドフルネスだ。効果としては、心身のコンディションが整えられる、集中力が高められる、思考がネガティブからポジティブになることなどが挙げられる。定番の方法がマインドフルネス瞑想で、呼吸に意識を集中して無心になるのだが、その境地にたどり着くには、指導者がいないとなかなか難しい。
そこで注目されているのが“ジャーナリング”だ。一定時間、頭に思い浮かぶことをひたすら書いていくもので、書くことに集中することで、マインドフルネス瞑想と同じような安らぎが感じられるという。
「何も思い付かなければ“書くことがない”と書いてもいいんです。自分が無心になって書いた内容を、後で読み返すことができるのもジャーナリングの魅力です」と吉村さん。
ジャーナリングの方法は、好きなノートと筆記具を用意するだけ。そして5分間など時間を決めてただひたすら書く。何も思い浮かばなくて書き出せないという場合は、仕事について、将来についてなど、テーマを決めることで書きやすくなる。集中できる時間と場所を確保して、誤字脱字、字のキレイさ、文章の上手さなどを気にせず、ひたすら書くことが大切だ。
吉村さんは毎日の振り返りとして夜、寝る前に、1日1ページの手帳を文字で埋めるまで、ジャーナリングをしているそう。時間にして4~5分。それによって、様々な気付きや発見があったという。
「“実はこんなことを感じていたのか”という気付きがあったり、書き出した内容を第三者的な視点で見ることで、解決法が見えてきたこともありました。自分が感じているストレスの本質がわかることで、意外と簡単に問題解決できることもあります」とジャーナリングの効果について語る。