占いと業界分析の、意外な共通点
——それじゃ少し突っ込んだ話を伺いますけども、「先が見えていた」というところで具体的に何が見えていたんですかね?
華月 簡単に答えると、当時流行っていたゲームの生配信は今後頭打ちになると思ったんですよ。だって、VTuberになったらまず「ゲーム配信」っていう雰囲気の中で、今後VTuberになる人の数も増えていけば、今よりコンテンツで差別化することが難しくなるのは目に見えていますよね?
——ふむふむ。たしかに、人気のゲームが発売されたらみんなで一斉に群がって配信するみたいな感じでしたもんね。発売日は皆平等ですから、そうなってしまうと既存のファンを多く抱えている大手配信者ばかりが視聴されてしまいますよね。だから、僕はエアリさんの「占い師」として「占い」をコンテンツの中心に据える戦略は大正解だと思っていますよ。
華月 あっ、その理由は聞いてみたい!
——まぁ、あくまでも僕の素人意見ですが、実はVTuberとして長生きするためにはコンテンツかキャラクターで差別化するしかない気がしていて……もちろんサムネイルやタイトルの技術も必要ですけど。
華月 実は、私もそう思っていて。当時、占いをメインコンテンツに据えているVTuberは片手で数えるほどしかいなかったので、もう振り切って「魔女」の姿で「占い師」としてVTuberとしてデビューした感じでした。
——今の話を聞いて、ちゃんと業界研究してVTuberになったんだなーってことがわかりました。あと僕と同じ認識で安心しました(笑)一気にバズることは少ないかもしれませんけど、独自のコンテンツを持つことは、早期に自分のポジションを確立することができて長く活躍できるというメリットもありますよね。
華月 業界研究は占いにも通じるところもあるかなと思います。広い視野を持って周囲の状況を的確に認識するところとか。やっぱり、相談に来られる方のお悩みも多種多様だから、できる限り寄り添ってお話を聞いてお気持ちを拾いながら、お悩みの全体像を把握する感じ……やっぱり全部を話せる人って少ないので。
——その丁寧な鑑定も人気の秘訣ですよね。実は鑑定スタイルも僕は独特だな〜と思っていて、エアリさんの配信を見ているとVTuberなのに実写の手が出てくるじゃないですか? あれはいつから?
華月 あれは最初からですね。私のこだわりの1つです。
華月エアリさんがYouTubeの配信で占い鑑定をしている様子。画面中央には普段華月さんが使用しているタロットが実際に映し出されている。魔女をイメージした衣装で行われる次元を超えた占い鑑定は、多数の視聴者からの好評を得ている。
——でも2020年当時のVTuber業界って、「VTuberは生身の姿を出すな!」みたいな風潮強かったじゃないですか? 僕も最初それを知らなくて軽く炎上したことがあったので……批判とかなかった感じですか?
華月 それが全くなくて(笑)今の話を聞いて申し訳ないなって感じるくらい。
——マジですか?! 僕はラーメンにピースしている写真乗っけただけでクレームきましたよ(笑)今の話を聞いてすごい羨ましいと感じました。
華月 うーん。たぶんタロットの占いのためという言い訳(正当性)があったのと、私自身も結構割り切って配信活動を始めた割には活動内容にはこだわりを持っていたからだと思います。これじゃないと自分の納得できる形にならない……というのが視聴者に伝わった、伝えることに成功したという言い方もできるかもしれません。
——なるほど、VTuberのルールに可能な限り寄り添いながらも、表現したいことを優先したんですね。実際、今VTuberでも配信中に手元や足元を映して配信される方も増えていますからね。
華月 そうですね。自分にできることを見極めて、やれることをやる。っていう感じで。おかげでたくさんの大手のVTuberさんとコラボすることができましたし、コラボをきっかけに多くの方に私の存在を知ってもらえて、家族やたくさんのファンの人にも支えてもらえて本当に今は「華月エアリ」が私の生きた証になっています。
——最近は北海道のご当地VTuberとしてイベントに参加したり、自作でアバターモデルを改良して展開されているシチュエーションASMRのチャンネルを作成したり、本当にお忙しそうですよね?
華月 やっぱり生きた証として「何かしなきゃ……」というのは強いです。だから最近は「占い」を軸にしつつ、いろんなコンテンツにも挑戦しています。今も活動の軸は「占い」なのは変わらないのですが、今後はYouTubeを超えた活動にも挑戦したいと思っています。
——ありがとうございます。それじゃ、最後に今後の「華月エアリ」さんの活動についてお話し伺えればと思います。