AIの進化で実現した「顔認証」と「ボケ補正」
その顔認証は、Tensor G2によって実現した機能の1つだ。顔認証は、大きく2つに分かれる。1つが、iPhoneのFace IDのように顔を3Dとして捉えるもの。もう1つが、画像として平面的に顔を照合するものだ。当然、3Dで情報量が多いぶん、前者の方が安全で誤認識も少なくなる。一方で、後者は平面的な情報しかなく、認証の強度は下がる。「Pixel 4」「Pixel 4 XL」では3Dの顔認証機能を搭載していたが、以降のモデルでは採用が見送られていた。
Pixel 7 Proの顔認証は、AIでその安全性を高めている。ただし、顔認証は単独では利用できず、あくまで指紋認証と併用する形を取る。また、顔認証に対応しているのは、画面のロック解除のみ。決済での利用やWebのパスワード入力の際には、指紋認証が必要になる。シーン限定とは言え、指紋認証と顔認証がシームレスに連携したことで、ロック解除の操作性は大きく上がっている。わかりやすいのは、そのユーザーインターフェイスだ。
Pixel 4シリーズ以来となる顔認証に対応。ただし、その方式は異なり、画面ロック解除以外には利用できない
ディスプレイを点灯させると顔認証が自動的に始まり、ロックが解除されると画面上には鍵が開いたマークが表示される。このマークの位置は、指紋センサーと同じだ。ユーザーにとっては、顔認証だろうが、指紋認証だろうが、画面の同じ場所をタップすればロックが解除できるというわけだ。指紋認証と顔認証に両対応しているモデルはほかにも多いが、指紋認証との統合のうまさではPixel 7 Proに軍配が上がる。
顔認証が指紋認証を先回りする形でロックが外れる。あとはアイコンをタップするだけだ
AIの処理能力を向上させたことで実現した、もう1つの注目機能がボケ補正だ。これは、Googleフォトに実装された機能。Googleフォトといえば、クラウド上での正確な被写体認識や写真の自動処理が有名だが、ボケ補正はPixel 7 Proの端末内部で処理を行っている。ゆえに、Googleフォトに実装されているからといって、ほかの端末では利用できない。
ボケ補正は、Googleフォトの新機能。ただし、処理はローカルで行うため、Pixel 7シリーズでしか利用できない
“ボケ”と銘打たれてはいるものの、実際には被写体ブレや手ブレを補正する機能に近い。ボケ補正は、こうした“失敗写真”を、クッキリと補正する。ただし、効き具合は写真次第といったところ。拡大するとディテールが甘くなっている写真がシャキッとすることもあれば、あまり変化がないようなこともある。いずれにせよ、被写体ブレが激しすぎる写真はさすがに補正しきれない。過度な期待は禁物だが、あると便利な機能だ。こうした機能の位置づけは、Pixel 6/6 Proの際に実装された「消しゴムマジック」に近いかもしれない。
ボケがうまく補正できたケース。クッキリした写真に仕上がっている