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企業ニュース

3か月前でないとダメ?雇用形態によって異なる退職を会社に伝える時期

2022.11.09

こんにちは。

弁護士の林孝匡です。

今回は「退職をいつまでに伝えればいいか」を解説します。

会社から、

「退職は3ヶ月前に言えよ!」
「就業規則に書いてるだろ!」

って言われてませんか?

3ヶ月って、なげぇよ…。

早く辞めてぇよ…。

ですよね。

この記事を要約すると、


●法律上、正社員なら2週間前に伝えればOK
●就業規則より法律の方が強い
●会社の「損害賠償請求するぞ!」はほぼ認められない


以下、詳しく解説します。

ブラック企業から、シュッと脱出しましょう。

退職を伝える時期

退職を伝えねばならない時期は、雇用形態によって異なるんです。以下の3種類の雇用形態でどうなってるかを解説します。


●正社員の方
●雇用期間が決まってる方
●年俸制の方


では、参ります。

(1)正社員の方

まずは正社員の方。正確に言えば雇用期間の定めがない方は、いつでも退職の意思を伝えることができます。そして、退職の意思を伝えてから、2週間が経過することで雇用契約が終了します。脱出です!

民法第627条1項

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

この「2週間」には、休日も祝日も含まれます。あなたに有利な運用となっています。

(2)雇用期間が決まってる方

次に、雇用期間が決まってる方です。一般的には、契約社員・嘱託社員・パート・アルバイトの方の多くが、雇用期間が決まっています。この場合は、原則として契約期間中に退職することはできません。ただし、やむを得ない事情があれば、直ちに契約を解除できます。

民法第628条

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる

「やむを得ない事由」って、何?って感じですよね。

法律には何も具体例が挙げられていないんですが、ご自身の病気・妊娠・出産・育児・介護、会社からパワハラを受けているなどの事情があれば、やむを得ない事由に当たる可能性が高いと考えられています。

もし、そのような事情があるにもかかわらず、会社が退職を認めてくれないときは、労働局や弁護士に相談してみましょう。最近は退職代行で辞める方も多いので、それを使うのも手です。

↓ 補足として。

雇用契約(労働契約)で1年を超える契約期間が定められていて、契約から1年が経過している場合は、一定の例外的な場合を除いて、いつでも退職できます。このような方は、やむを得ない事情がなかったとしても退職できます。

労働基準法附則137条

期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る)を締結した労働者(第44条第1項各号(専門職・高齢者の例外)に規定する労働者を除く)は、労働基準法の一部を改正する法律附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

(3)年俸制の方

年俸制で雇用されている方は、3か月前に退職の意思を伝える必要があるので、注意が必要です。

民法第627条3項

6ヶ月以上の期間ごとに報酬が定められている場合は、退職の3ヶ月以上前に退職の意思表明を行う義務がある。

以上のように、あなたの雇用形態によって、退職を伝えなければならない時期が異なります。どんな雇用形態かを、契約書や労働条件通知書で確認してみて下さい。労働条件通知書は、会社が必ずあなたに明示すべきものです。下記の条文をご覧ください。

労働基準法第15条

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない

もし、何も明示されていない場合は、上の条文を根拠に明示を求めましょう。

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