立ち飲み屋で気楽にお酒を楽しむ
通りの左側にローカルチェーンの立ち飲み居酒屋がある。この店なら間違いはない。入ってみることにしよう。
カウンターが埋まっているようで、お店の人から入口にほど近いスタンディングテーブルに着くよう促される。席の一角を占め、とりあえず酎ハイをお願いする。
メニューを眺め、サービスメニューの刺身の5種盛りに、砂肝ねぎポン酢、イカと里芋煮を注文した。このくらいでひとまずは満足できるだろう。まぁ決して深く考えて決めたわけではない。これもシステム1思考の意思決定だ。
刺身に続いて肴がやってきた。安いのにどれもけっこう量がある。ちびちびとつまんでいくことにしよう。まずは刺身のハマチをいただく。美味い。格別に美味いということはないのだが何もいうことはない。
ともあれ本格的な冬を前に、保温性の高い高機能インナーを想定以上に揃えてしまったことになる。そういえば以前、バイクに乗っていた時には冬場のツーリングでは否応なく防寒には配慮しなければならなかった。
真冬にバイクで2時間も走っていると身体の芯まで冷え切ってくる。間違っても綿100%の肌着など着てはならない。少しでも汗を吸った綿100%の肌着は冬の冷気で冷え切ってしまうのだ。
数年前に冬場に山間をバイクでツーリングした時、一度温泉に入って身体を温めたのだが、まだポカポカと身体が温まった状態でバイクに乗ったところ、バイクジャケットの下の少し汗ばんだ綿の肌着が急激に冷え切ってしまいなかなか悲惨な思いをしたことが思い出されてくる。
何度か停まって自販機でホットの缶コーヒーを飲んだり、国道沿いの郊外型うどん店で温かいうどんを食べたりして乗り切ったものだ。幸いにも風邪をひいたりすることなくツーリングを無事に終えることができたのはよかった。
バイクツーリングも自分ではあまりプランを考えることなくシステム1思考で決めていたように思う。正確に言えば綿密に計画を立てている暇があるなら、まずは走り出したほうがいいというスタンスであったのだ。考えてばかりいれば日が暮れてしまってせっかくの休日が台無しになってしまう。特に冬場はもたもたしていればすぐに日没を迎えてしまうのだ。
里芋煮も美味しい。ありふれた料理だが一人暮らしではなかなか食べる機会もない。こうした何の変哲もないメニューが選べるのもシステム1思考のなせる業なのだろうか。もちろん考えるべき時はしっかりと考えなくてはならないが、気の向くままに今を楽しみたい時にはあまり細かいことは考えずにイージーに選んでしまって何の問題もないどころか、そのほうが気楽に楽しめそうではある。
文/仲田しんじ