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【深層心理の謎】人間が迅速で安易な意思決定を繰り返してしまう理由

2022.10.27

 毎年毎年、夏が来てから夏の過酷な猛暑を思い出し、冬が来てから冬の凍てつく寒さを思い出す。1年前のことなど普段は頭にないのは、無理からぬことだとは思うが……。

肌寒さを感じる季節になるとつい買ってしまうもの

 コロナ禍で毎年の恒例行事というのが1度リセットされてしまった感もあるが、ニュースでハロウィンについての話題を耳目にすると、そういえば今年もそんな季節がやって来たのだと実感するものだ。

 クリスマスや師走の気分にはまだ遠い10月末というのは何とも中途半端であまり気にすることはなさそうな時期であるが、ハロウィンの話が聞こえてくると今年もこの季節になったかと不意打ちされた思いにもなる。

※筆者撮影

 高円寺駅の北口界隈を歩いていた。夜7時半になろうとしている。日が暮れるとすっかり肌寒くなってきた。冷え込みのせいか駅前ロータリーに囲まれた広場には人も少ない。

 前を歩いている女性の手には某衣料品ブランドの紙袋が提がっていた。紙袋のブランドロゴを見ると、つい先日の苦い体験がよみがえってくる。

 その紙袋のブランドの通販サイトで先日買い物をしたのだが、朝晩は肌寒くなってきたこともあり、セーターと共に誰もが知るあの冬用インナーを2枚購入したのだ。

 荷物はすぐに届き、すぐには着ないのでしばらく放置していたのだが、つい一昨日、ささやかな衣替えをしようと秋冬物の服をチェックしたところ、まだ袋から出していない新品の冬用インナーが3枚も出てきたのだ。確かに去年もこのインナーを買ったのだが、それまで着ていたものがまだ使えたので、1着しか使っていなかったのである。どうやら昨年はこのインナーを4枚も買っていたのだ。この1年前の買い物をすっかり忘れていた。

 毎年肌寒さを感じるようになるとこのインナーを買うことが半ば条件反射的に思い浮かんでくるのだが、手持ちの物を一度チェックしてから買うべきであった。しかし仕事のことに気をとられている中では、ネット通販とはいえ細かいところには気が回らずになるべく早く買い物を済ませてしまいたくなってしまう。また思い立ったその時に買わないと結局買うのを忘れてしまったりもする。

 新たに買ってしまったインナーは来年に回すしかない。しかし来年の今頃になって肌寒さを感じると何も考えずにまた同じもの買ってしまうかもしれない。往々にして夏の暑さも冬の寒さも、実際にその季節になるまではすっかり忘れているものだ。

人々は「システム1思考」に過度に依存する傾向がある

※筆者撮影

 一年前の暑さ寒さを忘れてしまうがゆえに、一年前と同じことをしている自分がいることになる。購入する前に立ち止まってよく考えることができていれば、去年買ったインナーの存在に気づけたかもしれないが、あまり深く考えずに安易な判断をすることで去年と同じことをしてしまった。

 最新の研究ではそうした迅速ではあるが直感的で感情的な意思決定に繋がる安易な考えを「システム1思考」と呼び、特にジャーナリストがツイッターの書き込みにおいてこの思考に陥りやすいことが報告されていて興味深い。


 この研究では、心、記憶、言語の理論からの洞察に基づいて、認知バイアスがさまざまなメディアのジャーナリズム仕事にどのように組み込まれているかを探ります。

 2016年の米国大統領選挙で73人の選挙運動記者が1年間に作成した22万件を超えるニュース記事、放送のトランスクリプト、およびツイートで構成されるテキストコーパスの大規模なデータセットを構築しました。

 選挙キャンペーンシーズンからのジャーナリスティックなアウトプットのこのユニークなデータセットを活用して、自動化されたテキスト分析を実施しました。

 結果は、ヒューリスティックと直感的思考がツイッターのコンテンツの生成に重要な役割を果たしたことを示唆しています。

※「PLOS ONE」より引用


 スタンフォード大学の研究チームが2022年3月に「PLOS ONE」で発表した研究では、ジャーナリストはソーシャルメディアのツイッターにコンテンツを投稿する際、迅速で労力の少ない安易な認知プロセスに頼る傾向があることが報告されている。

 研究チームによれば、人は慣れ親しんだ状況に直面した時や、またはあまり考える必要がない意思決定の際には、安易な「システム1思考」を使用しており、一方で「システム2思考」はより労力と注意を集中する必要があり、新しい状況や困難な状況に直面している場合に使用されていると説明している。

 システム1思考もシステム2思考も利点があるのだが、調査によると往々にして人々はシステム1思考に過度に依存する傾向があり、それがゆえに判断ミスにつながる可能性を高めているということだ。

 研究チームは2016年のアメリカ大統領選挙キャンペーン中の73人の記者のニュース記事、放送コメント、およびツイッターでのツイートの22万件を超える言説を自動テキスト分析ツールを使用して分析した。

 分析の結果、ニュース記事を書く際と比較して、記者がツイッターに書き込む時により感情的な言葉を使う傾向があることが浮き彫りになった。また記者のつぶやきは現在に焦点を当て、より確実性に重きを置き、より非公式な言葉を使用する傾向があったが、使用する分析用語や数値用語は少なくなっていた。これはシステム1思考でツイートをしていることに起因しているという。特に過去に選挙報道を経験している記者は、前回の選挙報道を思い出して踏襲し、深く考えずに書き込みをする傾向が強まるということだ。

 冬が近づくとほとんど何も考えずにインナーを買ってしまう自分もまたシステム1思考で意思決定をしてしまったことになる。もちろん何を選ぼうが大差ない些末な意思決定にはシステム1思考は便利で“省エネ”なのだが、時間の許す限りは念のためにチェックしたり検証してみることも必要なのだろう。


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