テレワークで通勤が不要になり、より効率的かつ快適な業務ができるようになったという声があがっている。
その一方で、テレワークには「退勤」という概念が存在しておらず、仕事の終わりのきっかけとなる行動が強制されないため、いつまでも仕事をし続けてしまうようなこともあるのではないだろうか。
そこでLASSIC(ラシック)が運営する「テレワーク・リモートワーク総合研究所(テレリモ総研)」は、テレワークにおける残業時間の変化について、2020年度と2021年度の調査結果を比較。その増減について理由を考察した。
テレワークによって残業の増減が二極化。原因は「生産性」と「コミュニケーション」
どちらの年度でも最も多かったのは「1日の残業時間は変わらない」という結果であったが、2020年度は54.13%だった数字が2021年度では49.3%にまで減少していた。
一方で、残業時間が1~3時間「減った」、あるいは「増えた」という人は、どちらも2020年から2021年にかけて増加。この原因として何があるのか、テレワークのメリット・デメリットのアンケート結果から考察していく。
はじめに、残業時間が減った原因だが、テレワークのメリットについて調査したアンケートを見ると、2020年から2021年にかけて大きくスコアを伸ばした項目は「通勤のストレスがなくなった」と「仕事に集中ができるので生産性が上がった」の2点。
この結果から考察すると、通勤時間がなくなったことによりストレスが軽減された、あるいはひとりで仕事にも集中できることから生産性が向上し、時間内に仕事を終えることが可能になった人が増えたのではないかと考えられる。
続いて、残業時間が増えた原因を考察する。テレワークのデメリットについて回答が増えている項目は「上司、同僚とのコミュニケーションが取りづらい、減った」と「社内の情報、ノウハウの共有が難しい、少なくなった」の2つであった。
オフィス内では隣にいる人へ簡単に話しかけられ、相談ができるという点に比べ、リモートでのコミュニケーションは非常に取りづらいと感じていることが増えているのがわかる。
コミュニケーションが不足した結果、情報共有が不足、あるいはコミュニケーションそのものにかかる負担が急増し、残業が増えてしまっているのではないだろうか。
テレワークに対する慣れの違いによって二極化の傾向が強まる可能性
テレワークに移行したことにより、通勤や周囲のノイズといったストレス要素が減ったことから業務に集中できるようになり、残業時間が減った人が徐々に増えているようだ。
だが、その一方で、コミュニケーション不足や遅延が起因となり、情報共有不足が発生し、結果として残業につながってしまうという事態が起きているのではないか、というのが今回の考察結果となった。
最終的にはテレワークに対する慣れの違いによって二極化の傾向がより強く出てくる可能性もある。
家庭内にいるはずが、いつまでも仕事が終わらないような状況を打破するためには、テレワークだからこそ上司や同僚といった仕事仲間とコミュニケーションをとれる状況にしておくことが重要なのかもしれない。
そのためには、こまめな情報共有、チャットツールをはじめとしたワークツールの導入などといった方法もあるので検討してみてほしい。とはいえ、ツールを増やしすぎても、情報共有に時間がとられ、残業が増えてしまっては元も子もない。
現場ごとに適正な塩梅を探すのは大変かもしれないが、残業のないストレスフリー、かつ生産的なテレワーク環境を構築するために、一度コミュニケーション環境を見直してみてはいかがだろうか。
調査概要
調査期間:2021年9月27日~2021年9月30日
調査対象:全国20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン男女1035名
調査方法:インターネット調査
構成/Ara