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1冊を3分で読める速読法を応用した「瞬読式ノート術」の効果を検証

2022.10.16

1冊3分で読む速読法を応用したノート術

読書スピードがアップする速読法は昔からあるが、最近登場して話題になったのが「瞬読」。「1冊3分で読めて99%忘れない」というキャッチフレーズで、2018年に刊行された解説書がベストセラーになったので、ご存知の方も多いだろう。

瞬読が、フォトリーディングといった他の速読法と違うのは、書かれている内容をイメージして読み取るという点。このやり方だと、読んだ内容がしっかり記憶に残るというメリットがある。

その瞬読を考案した山中恵美子さんが、これを応用してノート術に生かしたのが、今回紹介する「瞬読式ノート術」。

セミナーやカルチャースクールで学んだことなどを、記憶にとどめる効果があるという。そればかりではなく、ノートをとることによって脳が鍛えられ、思考力や集中力など、さまざまな能力も開花するそうだ。

山中さんの著書『1分見るだけで 頭が劇的によくなる 瞬読式ノート術』(SBクリエイティブ)には、株式投資で売りのタイミングの判断力がつき、投資収入が大幅にアップしたといった、驚くような体験談が綴られている。

瞬読式ノート術にチャレンジしてみる

世の中には、ビジネスパーソン向けの「ノート術」がたくさんあるが、正直な話、筆者はほとんど関心がもてなかった。

字が下手で面倒くささが先に立ったというのが大きいが、瞬読式ノート術の場合、イラストや図が主体。そのイラストも下手なもので全然OKだという。「これなら自分でも手軽に始められそう」ということでトライしてみた。

瞬読式ノート術で用意するのは、A5サイズのノートと筆記具だけ。ノートは、通常の横罫線でなく方眼。これが、ビジュアルの描きやすさの点からベストとのこと。

筆記具は、水性のサインペンといった、やや太めで、何色もの色があるものにする。文字だけは黒で書き、それ以外の色はイラストを書く際に使う。

A5サイズの方眼ノートと水性サインペンを用意

これまで何度か参加している、健康関連のオンライン講座が数日後にあったので、その日に瞬読式ノート術デビューすることに決定……で、当日は何を描けばいいのか?

本書には次のように説明がある。

1. 耳から情報をインプットする
2. 自分にとって最も必要な情報を選別する
3. 2の情報を要約し、イメージ化する
4. 3をノートにアウトプットする。

また、自分の「直感」を大事にする必要性も説かれている。

“瞬読式ノート術は話を聞いた時に受けたイメージをそのまま絵や短い言葉にすることに意味があります。このとき必要とされるのは直感です。直感を研ぎ澄ませて話を聞くからこそ、放出されたものが自分にとって価値あるものとなり、記憶に残ります。”

少年時代は、教師の板書をひたすら書き写していた筆者にとって、なんだかとってもハードルが高い気がする。

ただ、本書に出てくる実例を見てみると、本当にシンプルで、「これなら自分も描けそう」と励まされる。ノートを読み返すのは、自分ひとりなのだから、上手下手を気にする必要はないわけだ。

本書に掲載されている瞬読式ノート術の1例

事前に最低限のお絵描きの練習だけをして、講座にのぞんだ。オンライン講座は1時間。内容は、筆者の首がこっているということで、これをどうやってほぐすか。理論的な話と実践的なエクササイズからなるものであった。「自分にとって最も必要な情報を選別する」という視点から、

・頸椎の一番上から4つめまでが動きが悪い。
・寝た状態で、顎に1本の指を置き、指を押しながら頸椎を伸ばす。

をメインのポイントに、その他印象に残った情報をノートに描いていった。それが下の画像。

なにぶん初めての経験ゆえ「これじゃない感」があるが、できが悪いからといって、消したり描き直したりしないというルールがある。これについて、山中さんは次のように解説している。

“そもそもイラストに正解も不正解もないので、何をどう描いてもOKなんです。ところが、なぜか私たち「失敗してはいけない」「失敗はよくないこと」と思い込んでいますよね。

「失敗=ダメ!」というブロックができてしまっている。そのブロックが外れたとき、人は変われるし、本来持っている能力を発揮できるようになっていくのだと思います。”

山中さんの生徒の中にも、消せるようにとシャープペンシルなどで書く人が多いという。だが、慣れてくると消せない太いペンや筆ペンを使うようになっていくそうだ。

ところで、このノートを使い方。描きっぱなしで終わるのではなく、復習して知識を自分のものにするプロセスがある。復習といっても、やり方はノートを開いて「一瞥して記憶し直す」。

その時間はたったの数秒。最終的には、見開きページを1秒だけ見るのが理想とのこと。一度に長い時間をかけて見直すより、短時間で見る回数を多くした方が記憶の定着が確実で早いというのがその理由だ。

最初は軽く考えていたこのノート術。実は結構奥が深いし、資格の勉強や読書ノートなどいろいろ適用が可能だ。従来のビジネスパーソン向けノート術に飽き足らないと思った方なら、試してみる価値はある。

山中恵美子さん プロフィール
株式会社瞬読 代表取締役、株式会社ワイイーエス 代表取締役社長。1971年、大阪府生まれ。甲南大学法学部卒業。大学在学中に日本珠算連盟講師資格取得。そろばん塾を経て、2009年、学習塾SSゼミナールを開校。8年で30教室、約2万人の生徒が卒業。そこで学習効果を上げる方法の一環として、速読を取り入れる。

これが後の「瞬読」となり、生徒の成績が上がり、次々と難関校に合格。瞬読は保護者にも知られ、ビジネスパーソンにも広まり、現在受講生は3,400人を超える。

著書の『瞬読』『瞬読ドリル』(ともにSBクリエイティブ)、『瞬読式勉強法』『見るだけで脳がよくなる 1分間瞬読ドリル』(ともにダイヤモンド社)は、シリーズ累計20万部超えのベストセラーに。『1分見るだけで 頭が劇的によくなる 瞬読式ノート術』は最新の著作。
瞬読 公式サイト:https://syundoku.jp/

文/鈴木拓也(フリーライター)

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