火災保険の注意点
火災保険に関するちょっとした知識がないだけで、余分な保険料を支払ってしまったり、十分な補償を受け取れない事態を引き起こしたりする可能性があります。火災保険に加入する際に注意するべき二つのポイントを紹介します。
もらい火による火災も自分の火災保険で備える
隣家などの火災が原因で自宅が火災になった場合には、「失火の責任に関する法律(失火責任法)」により、火元に故意や重大な過失がなければ火元への損害賠償請求はできません。重大な過失の一例としては、「天ぷら油の入った鍋を火にかけたままその場を離れて出火する」というケースが挙げられます。
もらい火による火災も、自分が加入している火災保険によって補償されます。自分自身が原因の火災はもちろん、もらい火に対応するためにも火災保険に加入することが重要です。
適切な保険金額設定で「超過保険」と「一部保険」を防ぐ
建物の評価額以上の保険料を支払うことを、「超過保険」といいます。この状態で災害を被っても受け取れる金額の上限は建物の評価額です。つまり、「超過保険」は保険料を無駄に支払っている状態です。
反対に、建物の評価額に満たない保険料を支払うことを「一部保険」といいます。この状態で実際に被害にあったときには、建物をもとの状態に戻すために十分な保険金を受け取れない可能性があります。「超過保険」「一部保険」のどちらの状態にもならないよう、建物の評価額を正確に把握し、適切な保険料を支払うことが重要です。
火災保険と地震保険の関係
火災保険と同様に、災害に備える保険として有名なのが地震保険です。地震保険の基礎知識や火災保険と地震保険の密接な関係性について解説します。
地震保険とは?
地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災などの損害を補償する保険です。地震が多い日本では、万が一の際に心強い味方となってくれます。地震保険は火災保険とセットでの加入が必須なので、地震保険単体での加入はできません。一般的には、火災保険の申込用紙にオプションのような形で地震保険についても加入の有無を記載する箇所があります。
地震保険の特徴は、日本政府と保険会社が共同で運営していることです。このような運営方式のため補償内容・保険料はどの保険会社で加入しても同様です。つまり、地震保険の内容で保険会社を比較する必要はありません。
火災保険の保険金額により地震保険の保険金額が決まる
火災保険で設定した保険金額の30〜50%の範囲で、地震保険の保険金額を設定します。この際、建物の上限金額は5,000万円、家財の上限金額は1,000万円となります。保険会社の中には火災保険に「上乗せ特約」を設定しており、この特約を利用することで地震保険の保険金額を火災保険金額の100%に設定することも可能です。
実際に被災したときの支払い金額は、建物の損害状況を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の四つに区分し、それぞれに設定された補償金額に基づいて支払われます。「全損」なら地震保険金額の100%、「大半損」なら60%、「小半損」なら30%、「一部損」なら5%と定められています。
構成/編集部