ビジネスにおいては、職場の同僚・上司や取引先の担当者と、気持ちの良いコミュニケーションを取ることが求められる。円滑な関係構築のためには、ある程度、ビジネスマナーを踏襲することが大事となるわけだが、とはいえ、メール文におけるビジネスマナーに関しては、面倒に感じている人も多いのではないだろうか?
Chatworkはこのほど、東京・神奈川・千葉・埼玉の20~50代の男女884名を対象に、ビジネスコミュニケーションに関する実態調査を実施し、その結果を発表した。
普段利用しているコミュニケーションツールは「メール」が最多
「普段、仕事で利用しているコミュニケーションツールを教えてください」という設問に対し、「メール」という回答が最も多く77.6%、次いで「電話」が74.7%となった。また、「ビジネスチャット」は46.4%で、約半数の人は電話やメールといった従来のコミュニケーションを利用しながらも、新たなツールとしてビジネスチャットを導入していることが伺える結果となった。
さらに、「利用頻度が最も高いツールは何ですか」という設問では、「メール」が約半数を占めているが、「ビジネスチャット」でも約5人に1人(19.5%)となり、新たなツールの定着も進んでいることが伺える。
83.6%が「メールを送る際にビジネスマナーの定型文を使用している」
「メールを送る際、『お世話になっております』や『よろしくお願いいたします』などの定型文を使用しますか」という設問では、「使っている」という回答が83.6%を占めた。
また、「メールを送る際に使う定型文、作業を選んでください」という設問に対し、「『お世話になっております』などの冒頭文を入れる」という人は76.9%となり、8割近くの人が使用していることがわかった。
次いで、「よろしくお願いいたします」などの結びの文を入れる人が68.1%、「会社名を入れた宛名書き」が54.1%と続き、メールを送る際に決まった形式が複数あることが伺える結果となった。
さらに、「お世話になっております」を使用している人のうち、それを面倒だと感じている人は半数の50%もいることが判明。同様に、「よろしくお願いします」を使用している人の約4割(39.5%)がそれを面倒だと感じていることもわかった。これまで当たり前のように使用している挨拶や形式であっても、面倒なビジネスマナーと感じている人が多いことがわかった。
メールでのビジネスマナーを面倒と思いつつやめられない理由は「慣習だから」
宛名や「お世話になっております」などの冒頭文、「よろしくお願いいたします」などの結びの文や署名などといったメールにおける「面倒なビジネスマナー」について、「やめられない/やめない理由」として、最も多い回答は「慣習だから」が68.6%となった。
その他に「社内の人から失礼だと思われたくない」(49.0%)が、「社外の人から失礼だと思われたくない」(42.5%)を上回り、面倒だと思っていながらも体裁のためにやめられないという葛藤が垣間見えた。
慣習でやっているビジネスマナー、メールを受信する側の約7割は「省略されても気にしていない」
メールでの定型文や形式など、先の設問では「面倒に思っている」ことが判明したビジネスマナーについて、それぞれやり取りしている相手から省略された場合、「受け手として不快に思うか」を問う設問では、すべての項目で「不快に思わない」「あまり不快には思わない」を足すと7割近くにのぼった。
送り手は、体裁を気にして使用しているビジネスマナーであっても、受け手の立場になった場合にはあまり気にされていないことから、ムダなビジネスコミュニケーションになっているのではないかと考えられる。
「お世話になっております」などの定型文は、1時間に5回程度送信している人が最多(54.7%)
メール送信時の定型文(「お世話になっております。」「よろしくお願いいたします。」など)を使用する頻度は、1時間に「1~5回」が最も多い回答となった。標準的と言われているタイピング“1分100文字”と照らし合わせ、この定型文25文字を打つのに15秒かかると仮定すると、面倒だと感じているムダなマナーに、1日あたり約10分も割かれていることがわかった。
さらに、これを全国就業人口(*1)に本調査で得られたメール使用率を掛け合わせ、全国平均時給(*2)で換算すると、1日で最大81億2900万円が「お世話になっております。」「よろしくお願いいたします。」の定型文を入力する時間に対し支払われている想定になった。
(*1) 2022年7月公表 総務省統計局:6759万人
(*2) 2021年10月1日発行 厚生労働省:930円
メールの作業で最も多い失敗談は「ファイルの添付忘れ」で、約半数の人が失敗を経験
「メールのやり取りにおいて面倒な作業はありますか」という設問では、「送信時のメールアドレスの入力」が最も多い回答で41.8%となった。次いで多いのが「過去のメールを遡って確認/そのためのメール探し」が40.1%だった。メール送信の必須作業であるアドレス入力に、約4割もの人が面倒を感じている現状がわかった。
さらに、日々頻出する「受信済みの多くのメールから、目的のメールを見返す/探し出す」という作業も、ストレスになっていることが伺える。
また「メールでの失敗談はありますか」という設問では、「送信時の添付ファイルの付け忘れ」が最も多く、47.3%と約半数もの人が経験していることが判明した。
メールとチャットの印象では、送受信ともに メールは「丁寧/かしこまって感じる」、チャットは「気楽/身近に感じる」が約半数
「メール/チャットを送受信する際の印象をお聞かせください」という設問において、メールは「丁寧/かしこまって感じる」、チャットは「気楽/身近に感じる」という、印象の違いがはっきりと分かれる結果となった。
送信する側も受信する側もメールよりチャットの方がより気楽で身近に感じながら利用できることや、メールの非効率性も鑑みると、働き方の変化や使用するシーンによって、最適なコミュニケーションツールを選択できる環境づくりが必要ではないだろうか。
<調査概要>
調査名:ビジネスコミュニケーション最新調査
調査方法:インターネット
調査地域:東京都/神奈川県/千葉県/埼玉県
調査期間:2022年7月29日~7月31日
調査対象:20歳代~50歳代の男女
回答総数:884名
調査主体:Chatwork株式会社
出典元:Chatwork株式会社「2022年ビジネスコミュニケーション最新調査」
構成/こじへい