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円安の恩恵を受けている企業はどれくらい存在するのか

2022.09.23

資源高や原材料高が続くなか、2021年後半から急速な円安が進んでいる。2022年7月14日には一時1ドル=139円台まで円安が進行。8月15日では133円台をつけている。

さらに各国との貿易額やインフレ率を加味した実質実効為替レートは、固定為替レート制度だった1971年以来となる円安水準を記録した。また企業の想定レートと実勢レートの乖離がみられるなかで、円安にともなう企業業績への影響が懸念される。

こうした中、帝国データバンクは円安による企業業績への影響について調査を実施し、その結果を発表した。

円安により6割超の企業が「業績はマイナスに」

円安が自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、『プラス』計(「大いにプラス」「どちらかといえばプラス」の合計)は4.6%にとどまった。

一方、『マイナス』計(「大いにマイナス」「どちらかといえばマイナス」の合計)は61.7%となり、企業の6割超が円安を自社業績にマイナスの影響があると考えていた。また、「どちらともいえない(プラスとマイナス両方で相殺)」は7.9%、「為替は業績には影響しない」は13.5%、「分からない」は12.3%だった。

業績へマイナス影響がある主な業種では、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(87.6%)や「専門商品小売」(83.9%)、「飲食料品・飼料製造」(83.3%)、「飲食店」(83.0%)、「飲食料品卸売」(82.4%)などが8割を超えており、特にアパレル関連や飲食料品関連の業種でマイナスの影響を与えている。

さらに、「運輸・倉庫」も7割を超えており、「値上げは荷主企業自体も業績悪化しているため、容認されにくい。また燃料を始めとする物価高で収益が悪化しており、打ち手がないのが現状」(一般貨物自動車運送、茨城県)などの声が聞かれた。円安による悪影響がバリューチェーン全体に広がっている様子がうかがえる。

企業から寄せられた主な声は次の通り。

・値上げは荷主企業自体も業績悪化しているため、容認されにくい。また燃料を始めとする物価高で収益が悪化しており、打ち手がないのが現状」(一般貨物自動車運送、茨城県)
・新型コロナ禍で収益性が悪化した得意先企業は、円安でコストアップした輸入製品を受け入れる余力がない(婦人・子供服卸売、広島県)
・光熱費、電力料の価格上昇、円安による原材料費の価格上昇のダブルパンチで収益への圧迫が厳しい(水産食料品製造、北海道)
・現在の円安で海外富裕層の高額物件購入はしばらく続くと見込んでいる(建物売買、京都府)

マイナスの理由、原材料価格などをはじめとする「コスト負担増」が約8割

円安が自社の業績に「マイナス」の影響を与える企業にその理由を尋ねたところ、「原材料価格の上昇でコスト負担が増えた」が79.2%と約8割に達し最も高かった(複数回答、以下同)。さらに「燃料・エネルギー価格の上昇でコスト負担が増えた」(72.6%)も7割を超えており、原材料価格や燃料・エネルギー価格の上昇をあげる企業がいずれも7割台にのぼるなど、突出して高かった。

次いで、約4割の企業が「コストを販売・受注価格に転嫁できず収益が悪化した」(38.7%)を理由にあげ、不十分な価格転嫁が収益の悪化につながっていた。一方で、「コストを販売価格に転嫁して売り上げ・受注が減った」(9.1%)も1割近くとなっており、価格転嫁を進めたことによる売り上げ等の減少に直面している様子もうかがえる。

企業からは、「外国人実習生受け入れに対して応募者の確保が難しくなってきている」(建設、茨城県)や「海外子会社への送金で、為替差損が発生している」(金型・同部品等製造、神奈川県)、「消費者心理の冷え込みで売り上げが減った」(医薬品製剤製造、東京都)といった意見があがっており、原油・原材料のコスト増や価格転嫁の影響に加えて、外国人材の確保や為替差損、マインドの低下なども下押し要因となっている。

プラスの理由、4社に1社が「海外での販売価格低下で売り上げ増」

円安が自社の業績に「プラス」の影響を与える企業にその理由を尋ねたところ、「海外での販売価格(現地通貨ベース)が下がり売り上げが増えた」が26.3%とトップとなった(複数回答、以下同)。

企業の4社に1社が、円安による海外での販売価格の低下を業績のプラス要因として実感している様子がうかがえる。以下、「海外事業の円ベース利益が増えた」(22.7%)、「取引先の業績が改善した」(20.5%)、「輸出競争力が高まり輸出が増えた」(20.3%)が続いた。

ただし、プラスの影響であげる理由は企業規模による差が大きく、特に「海外事業の円ベース利益が増えた」と「海外での販売価格が下がり売り上げが増えた」は顕著に表れていた。「海外事業の円ベース利益が増えた」は「大企業」(44.6%)は「中小企業」(18.2%)の2.5倍も高い。

また「海外での販売価格が下がり売り上げが増えた」は、「大企業」(32.6%)が「中小企業」(25.0%)を7.6ポイント、「小規模企業」(18.1%)を14.5ポイント上回った。海外での販売や海外事業の円ベースの利益増は「大企業」を中心に表れている。

まとめ

従来、円安は輸出を促す効果を持つことから日本経済にはプラスの影響があると捉えられてきた。しかし現在では、輸出企業は海外での現地生産を進め、円安による輸出拡大はかつてほどの効果がみられなくなっている。むしろ、輸入物価を押し上げ、日本の実質購買力を悪化させるマイナスの側面が重くのしかかるようになってきたが、政府が為替市場に直接影響力を及ぼすことは難しい。

2022年に入ってからの為替相場は日本と諸外国との金利差でその多くを説明できていたが、今後の為替動向は地政学リスクや欧米の景気の行方も含め不透明感が高まっている。

一方で、燃料・エネルギー価格、原材料価格は今後も高水準で推移することが想定される。なかでも昨今の円安で、アパレルや食品関係の卸売業、小売業や飲食店におけるマイナスの影響が大きくなっている。

メーカーや卸売、小売を結ぶ運輸業も大きく影響を受けるなどバリューチェーン全体への影響が見られており、結果、商品・サービスの値上げにつながり、消費者にも大きな影響が避けられない見通しである。企業においても仕入価格の上昇を要因とした倒産の件数も増加傾向となっており、今後もその傾向が継続することが懸念される。

しかし、政府は市場の急変を落ち着かせる環境を整えることや、企業が受ける悪影響を緩和させる措置を取ることは可能である。輸入物価の上昇に対しては、減税や補助金の適用条件の緩和など、財政政策で対処することが重要となろう。

<調査概要>
調査期間は2022年7月15日~7月31日、調査対象は全国2万5,723社で、有効回答企業数は1万1,503社(回答率44.7%)。調査はインターネットで実施。

出典元:株式会社帝国データバンク

構成/こじへい


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