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なぜ人は何かを始める前に「めんどくさい」と思ってしまうのか?

2022.09.21

「めんどくさい」は性格からくるものではない!?

もしかすると、ビジネスパーソン最大の敵は、「めんどくさい」という感情かもしれない。

重要な案件があるのに、なかなか手がつかない。返信すべきメールがあるのに、なぜかSNSをながめてしまう等々…みんな「めんどくさい」のしわざだ。

意外にもこれは、根っからの性格からくるものではない。つまり、後天的に改善することができるという―そう説くのは、作業療法士の菅原洋平さん。

作業療法士は、病院で患者のリハビリに従事する人…というイメージしかなかったが、「人間が行なうあらゆる作業をうまくやるための戦略を立てるのが仕事」なのだそうだ。

例えば、呼吸力が弱っている人には、「呼吸筋と肋骨の関節の状態を改善させて、脳の呼吸中枢に伝達される情報を変えて、呼吸を深くする」というふうに、脳の神経回路にアプローチするスキルを持っている。

菅原さんは、「脳に通じる命令を使えば、めんどくさいは消えます」と解説。著書『「めんどくさい」が消える脳の使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)では、そのメソッドが多数記されている。

今回はそのいくつかを、前編・後編に分けて紹介していこう。

■朝イチのメールチェックの代わりにすべきこと

デスクワークで、その日の最初に行なう仕事が、「メールのチェック」と決めている人は多い。しかし、菅原さんはこれには否定的。

逆に推奨するのは、「その日に最もやりたいことを取り組む」だ。その理由を、菅原さんはこう述べる。

“私たちの脳は、目覚めてすぐが一番行動力が高く、夜眠る前が一番「めんどくさい」と感じるリズムを持っています。”

言われてみれば、経験的にもそのとおり。だが、企業の業務改善の場で菅原さんは、朝イチのメールチェックをやめるようアドバイスすると、「それはできない。緊急の連絡が来ているかもしれないから」とネガティブな反応が多いという。

そこで菅原さんは、本当に朝イチのメールチェックをしないと困るかどうか、実験的にやらせてみるそうだ。するとその企業の担当者は、「別に困らなかった。確かにはかどるような気がする」と言ってくるとか。

出勤→パソコンを起動→メールチェックのように自動タスク化された行動は、ラクかもしれないが、「生産性向上のためには非効率」なのだという。

そこで、別の行動を脳に組み込むことが重要になる。つまり、自動化された行動を一旦リセットし、別の行動を組み入れる。どうせやるなら、その日に最もやりたいことを、行動力が高い朝のうちに行なうという流れだ。

■別々の物を持っての作業の問題

左手でスマホを持って通話し、右手はマウスでパソコンの作業をしている、というような、一見かっこよく見える仕事の進め方。菅原さんによれば、「自分はめんどくさがり」と相談してくる人に、こうした「両手に別々の物を持つ」作業をする人が多いという。

実はこれ、脳の機能からみればNG。「今どっちの作業をしようとしているのかわからない」と、脳を混乱させるからだ。

“私たち生物の生存戦略は「省エネ」で、基本的には1つのタスクしかこなすことができません。ですから、何かを手に持っているときに、別の作業を思いついたとしても、両手に物を持たないようにしてみましょう。”

さらに脳には、思いついたことは「緊急度の高い」仕事だと感じるクセがある。最初は片手でタスクをしていて、思いついて別のモノをもう片手に持って仕事をすれば、緊急度の高い作業がいっぱいあるという感覚に陥る。

このときは、「交感神経の活動が高まり、視野が狭くなる」ため、「そもそもこの作業は必要なのか?」という判断もできなくなる。

こうしていつの間にか、必ずしもやらなくてもいい仕事が増え、めんどくさいと感じる場面も増えてくる。くれぐれも、両手に別々のものを持ってのマルチタスクは、しないよう心がけたい。

■起床時間11時間後にすべきこと

菅原さんによれば、我々は脳とは別の問題から、めんどくささにとらわれることがあるという。

それは、体内の温度である「深部体温」。人体は基本的に、深部体温が高ければ体のパフォーマンスが上がる仕組みになっている。もうおわかりのように、深部体温が低いと、何をするにもめんどくさくなりやすい。

通常なら深部体温は、起床時間の11時後に最高になる。つまり、朝起きれば、夕方は絶好調になっているはず。なのにその時間は、なにかとめんどくさく感じるのはなぜか?

“起床11時間後に、椅子に座りっぱなしで動かない、または眠気を感じたり、居眠りをしたりすることはありますか?多くの人は夕方から夜の早い時間帯に当たると思います。この時間帯にあまり動かないということは、深部体温が上がらないということ。ましてや眠ってしまうと深部体温は下がってしまいます。”

問題なのは、このサイクルが日常化してしまうと、夜寝る前に深部体温が下がらなくなり、翌朝は深部体温が上がらなくなることだ。すると、夜になっても眠くならず、朝目覚めても元気がないという悪循環にはまってしまう。

それなら、夕方にいったん会社を出て、ジム通いすべき?実は、そこまでやる必要はない。必要なのは、たった10回のスクワット。これを起床時間の11時間後あたりのタイミングで行なう。これを週に4日以上頑張れば、3週間後には深部体温が上がって、本来のパフォーマンスを取り戻せるそうだ。

後編につづく。

菅原洋平さん プロフィール
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学を卒業後、作業療法士の免許を取得。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に行うベスリクリニックで、薬に頼らない睡眠外来を担当するかたわら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。著書に、ベストセラーとなった『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)や『すぐやる! 行動力を高める科学的な方法』(文響社)など多数。

文/鈴木拓也(フリーライター)

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