会社を退職する際の挨拶の方法は主に「口頭で行う」「メールで伝える」「手紙を送る」の3種類です。それぞれの方法で挨拶する際に注意すべき点を例文とともに解説します。さらに退職までの手順や退職時に気を付けるべきことも併せて紹介します。
退職を決めたら実際に退職するまでにやること
退職する意思を固めたら実際に退職に至るまでにやるべき流れが決まっています。退職に伴いどのようなことをやる必要が出てくるかを紹介します。
退職の意思を会社に伝え、退職届を提出する
退職の意思を固めたら、退職予定の1~2カ月前に会社に対して退職の意思を伝えます。退職の意思は「直属の上司」に伝えましょう。慰留される可能性もありますが、しっかりと自分の意思を伝えることが必要です。退職が決まったら、次は会社側と相談して具体的な退職日を決めます。この際には、自分の業務を後任者へ引き継ぐ期間や有給消化期間への考慮も必要です。
就業規則で決まっていれば、退職日の2週間〜1カ月前に退職届を提出します。会社都合で退職する場合は退職届を出さないケースがほとんどですが、提出を求められる可能性もあります。その際には、退職理由を「一身上の都合」とはせず、「所属部署縮小のため」「退職勧奨に伴い」など、会社都合であることが分かる具体的な理由の記載が必要です。
後任者に業務を引き継ぐ
退職日が決定したら、対応している業務を後任者へ引き継ぎます。対応業務やプロジェクトの内容はもちろん、取引先の情報や過去に発生したトラブルについても、発生した理由やどう対処したかを含め、資料にまとめ後任者に伝えます。
後任者とともに取引先への挨拶回りが必要な場合は、どのような流れで進めるかを上司と相談の上、この期間に行いましょう。引き継ぎ内容をリスト化・進捗管理するなどして、業務に必要なことは漏れなく後任者に引き継ぎます。予定外の業務の発生などに備え、退社日の数日前には全ての引き継ぎが終わるようスケジュールを組むことが必要です。
口頭で行う退職の挨拶
送別会のような改まった場面に限らず、朝礼などでも退職に伴い口頭で挨拶する機会があります。口頭で退職の挨拶をする際の注意点を例文とともに紹介します。
必ずおさえたい基本マナー
退職の挨拶といっても特別意識する必要はなく、基本的には普段人前で話すときと同じようにゆっくりと分かりやすく伝えることを意識します。話を聞いている相手全体をまんべんなく見渡すように、視線を前後左右にゆっくりと動かします。
その上で、「本日付けで」「〇月△日付けで」と退職日をはっきり伝えましょう。また、退職の挨拶は感謝の意を示す場所でもあります。退職理由にかかわらず、感謝の気持ちを示すのが社会人としてのマナーといえます。
聞いてくれた人に好印象を残すコツ
退職の挨拶では、お世話になった会社の上司や同僚への感謝の気持ちを忘れずに、お互いが気持ちよく最後を迎えられるように、前向きな内容を話します。在職中に心に残ったエピソードや職場での経験を通じて学んだことなどを挨拶に交えると、聞いてくれた人たちに人柄が伝わり、好印象を残せます。
そして挨拶の最後には、会社の発展や社員全員の活躍を祈る言葉を添えることで、お互いに気持ちよく最後の時間を過ごせるでしょう。
やってはいけない挨拶
退職の挨拶も仕事の一環なので、ビジネスマナーを守り、聞いている人たちが不快にならないように留意することが必要です。仕事や会社に対する不満や悪口といったネガティブな発言は、引き続き働く同僚たちに失礼にあたるので避けるべきです。
退職の挨拶では明確な退職理由の言及は不要です。「一身上の都合により」といった当たり障りのない理由を伝えます。また、次の転職先についても触れる必要はありません。あくまで今までお世話になったことを伝える場であることを認識して、挨拶に臨みます。
退職挨拶の例文
口頭で挨拶するときの例文を以下に示します。
みなさま、お忙しいところ、私のためにお集まりいただきありがとうございます。既にご存じの方も多いかと思いますが、一身上の都合により、◯月◯日をもちまして株式会社〇△を退職いたします。
私は新卒で入社してから丸13年、こちらでお世話になりました。今思い出すのも恥ずかしいぐらい、入社当初は何もできず、周りのみなさまに大変ご迷惑をおかけしました。途中、なかなか思うような成果を出せず、苦しい時期もありましたが、みなさまからの温かいお言葉や厳しくも愛のあるご指導のおかげで、13年間続けられました。
特に配属直後に直接ご指導いただいた〇〇さんや△△さんをはじめとする先輩方には、感謝してもしきれません。社会人として、一人の人間として、多くのことを学ばせていただきました。
こちらで経験し身につけたことを今後も活かし、一つでも多くの成果を出すことがみなさまに対する恩返しになると信じ、これからも頑張っていきたいと思います。
最後にお世話になったみなさまの益々のご活躍と株式会社〇△の発展をお祈りし、私の挨拶といたします。本当にありがとうございました。
メールで伝える退職の挨拶
社内・社外を問わず、退職する際にはメールで挨拶する機会があります。社内の人向けと社外の人向けを分けて、退職挨拶メールを送る際の注意点と例文を紹介します。
社内の人に退職挨拶のメールを送る際の注意点
社内の人に送る退職挨拶メールは、お世話になった人たちへの「最後の挨拶」の意味合いが大きいので、タイミングに気をつけます。会社によってどのタイミングで送るのが適切かは異なるので、過去に受け取った退職挨拶メールを参考に送信時間を決めます。一般的には、出社最終日の夕方に送ることが多いです。
また、同じ文面を社内に一斉送信する際には、相手先をBCCにする気遣いが必要です。メールを受け取った相手と今後も連絡を取りたいと思えば、メールの最後に私用の電話番号・メールアドレスを記載しても構いません。
社内向け退職挨拶メール(一斉送信)の例文
メールで退職挨拶を送るときの例文を順番に紹介します。
件名:
退職のご挨拶(氏名)本文:
お疲れ様です。○○課の△△(名前)です。一身上の都合により、本日をもちまして退職することになりました。
本来なら直接挨拶すべきところですが、メールにて失礼いたします。これまで大変お世話になりました。
私に至らない点があったばかりに、みなさまには数々のご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした。
そんな私を見捨てることなく、時に厳しく時にやさしくご指導いただきありがとうございました。おかげさまで大変多くのことを学べました。
この会社で学んだこと経験したことを今後も活かしていく所存です。退職後の連絡先は下記の通りです。お気軽にご連絡いただければ幸いです。
・電話番号:○○○-○○○○-○○○○
・メールアドレス:△△△△△@△△△最後になりましたが、みなさまの益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
ありがとうございました。
社内向け退職挨拶メール(親しい人・直属の上司宛)の例文
件名:
退職のご挨拶(氏名)本文:
○○課長お疲れ様です。△△(名前)です。
一身上の都合により、〇月△日付けで退職することになり、本日が出社最終日となりました。
○○課長には、数々のご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。
思うように成果があげられないときには励ましの言葉をいただき、□□の案件では夜遅くまで資料作成をご指導いただき、誠にありがとうございました。
○○課長や□○さんと毎週のように行っていた居酒屋での夜の会議も楽しい思い出です。○○課長に教えていただいたことを次の職場でも活かし、これまで以上に頑張っていきたいと思います。
最後になりましたが、○○課長のご健勝と益々のご活躍をお祈り申し上げます。
ありがとうございました。
社外の人に退職挨拶のメールを送る際の注意点
社外の人に送る退職挨拶メールには、これまでの付き合いについての感謝の気持ちを伝えるのはもちろん、今後も取引がしっかりできるよう必要な情報を伝えなければなりません。具体的には自分の最終出社日や後任者(氏名・連絡先)の情報を伝えます。後任者への引き継ぎ期間も考慮して遅くとも最終出社日の2~3週間前には退職挨拶メールを送るべきです。
退職に伴い直接挨拶ができない場合には、「直接挨拶できず申し訳ない」という旨の一文を添えると先方に丁寧な印象を与えられます。また、メールの最後には先方の活躍を祈る言葉で締めるのが一般的です。
社外向け退職挨拶メールの例文
件名:
退職のご挨拶(株式会社○○ △△(氏名))本文:
●●株式会社 □□様お世話になっております。株式会社○○の△△です。
突然のお知らせで恐縮ですが、◯月◯日をもちまして株式会社△△を退職することとなりましたので、報告いたします。なお、最終出社日は△月△日となります。
□□様には〇〇年よりお付き合いさせていただき、大変お世話になりました。
□年間にわたりありがとうございました。後任者は同じ部署の✕✕になります。
後日あらためて✕✕より連絡いたします。—–
・後任者:株式会社△△ ▲▲部 ✕✕
・電話番号:○○○-○○○○-○○○○
・メールアドレス:△△△△△@△△△
—–本来であれば✕✕と一緒にご挨拶に伺うべきところですが、メールでの挨拶となりますことをお詫び申し上げます。
今後とも弊社との変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
最後になりましたが、貴社のご発展と□□様のご活躍を心よりお祈り申し上げます。