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ビックカメラ秋保徹新社長に聞く自社ブランドで宅配水サービスに新規参入した理由

2022.09.08

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

店舗、自社ブランドを含む商品力の強化に加え、新たな収益源の開拓にも取り組む

ビックカメラは、9月1日付で木村一義社長が取締役に退き、秋保徹取締役専務執行役員が代表取締役社長に昇格した。秋保氏は1997年にビックカメラに入社、取締役常務執行役員などを経て、2020年9月から取締役専務執行役員に。商品部長として商品力の強化、EC本部長としてネット通販の拡大に携わり、社長就任前はマーケティング本部長として業績向上に取り組んできた。

社長就任初日に行われた、ビックカメラが新規参入する宅配水サービス「puhha(プッハ)」の発表会に秋保新社長が登壇。ビックカメラの成長戦略について語った。

「小売業の競争力の源泉はお客様目線に立った商品を提供する商品力、価値を訴求する販売力だと考えています。成長戦略として、垂直では既存事業の進化と深掘り、水平では新規事業の展開という2軸で強力に推し進めていきます。

既存事業の進化と深堀りについては、ビックカメラらしい魅力的な店舗をさらに追求し、お客様に信頼され、またビックカメラに行きたいと思ってもらえる店舗を時代の変化とともに進化させていきます。

EC・ロジスティクスの一体強化として、デジタルとテクノロジーを活用し、顧客ロイヤリティー向上のため配送・設置ネットワークの差別化に取り組んでいきます。具体的にはビックカメラの企業理念である『こだわりの専門店の集合体』を体現する、専門人材育成の組織、制度を編成します。

新規事業の展開では、事業領域の拡大に取り組みます。PB商品開発では、機能やデザインにより一層こだわり、消費者ニーズをとらえた開発を推進。また、宅配水ビジネスへの参入によってリカーリング事業を開発し、自社ブランドの強化に取り組みます。

すでに実施しているソフマップにおけるデジタル製品のサービスサポートや、修理、買取りのサービスを拡大して、グループ内での買取り、下取りを強化しリユース、リサイクルの創出を行います。修理やサポートといったアフターサービスを充実させることで、ロイヤルカスタマーの拡大を行い、グループ一体のサーキュラーエコノミーを実現します」(秋保氏)

宅配水ビジネスへ参入したリカーリングサービスの開発の背景として、成長が頭打ちとなっている国内の家電市場や、人口の減少や消費者のニーズの変化といった小売家電市場の課題と、新型コロナウイルスの影響によるインバウンド需要の消滅、ECの台頭といった課題を挙げた。

「収益を高めていくには、販売して終わりではなく、販売した後もお客様とつながることができるビジネスモデルの確立が必要と考え、リカーリングサービスの開発に力を入れることにいたしました。

ビックカメラが宅配水サービスに参入する意図は3点あります。ひとつは生活に不可欠な水でくらし応援する、ということ。こだわりの専門店の集合体というビックカメラならではのビジネスモデルを通して、コロナ禍で外出を控えている方や子育て世代などに、リーズナブルで安心・安全な水がいつでもそばにある豊かな生活を提供します。

2つめは年々市場規模を拡大する宅配水市場です。2021年の市場規模は1816億円と、コロナ禍においても成長率は約105%となっており、生活の変化、健康志向、利便性から、より身近な存在として注目されるのが宅配水です。

3つめは顧客接点の最大化。店舗網と販売員がいて直接お客様と接点を持っていることが他社とは違うビックカメラ最大の強みです。販売チャネルを活かした契約の受付、物流の活用を進め、稼働開始から5年での黒字化が目標としています」(秋保氏)

月々の支払いは水代のみの3350円で、飲み切れなければスキップも可能

宅配水サービスの新規参入にあたって、製造からサーバーの企画開発、宅配水事業のサービス設計までを担うのがグループ会社の「ビックライフソリューション」。

山梨県富士吉田市に総工費約26億円をかけて採水工場を建設し、メーカーとしてボトルやウォーターサーバーを自社で企画開発を行い、ものを作る領域、リカーリングサービス領域の両軸で拡大を図る。

70年以上の長い年月をかけて富士山の火山岩の一種である玄武岩地層を通り抜け、じっくりと磨き上げられた希少ミネラルが含まれた富士山のナチュラルミネラルウォーター(天然水)で、ミネラル豊富で口あたりの良い軟水。

採水している原水は地下深くにある洗浄度の高い地下天然水で、標高910mにある採水地より直接地下から汲み上げ、地表に露出している水系からは一切利用していない。採水工場の

最大生産能力は、9.5Lボトルで月間80万本。

自社開発製品のウォーターサーバーは、前面部サイドをカットし、柔らかなフォルムでジェンダーレスに仕上げている。表面はマットカラー仕上げにし、存在感を出し過ぎずインテリアに馴染む。マットホワイト、マットブラックの2色。ボトルカバー、トレー含むサイズは、W29×D30×H120㎝、重量は約17kg。タンク容量は冷水1.6L、温水1.6L。

だれもが安心で使いやすいデザインにこだわり、女性でも無理なくボトル交換できる高さの110㎝に設定。タッチボタンの高さは乳幼児の視界を回避し、パネルに傾斜をつけることで操作性、安全性を向上させている。

ボトルは女性やシニア世代でも持ちやすい9.5Lボトル。使用後はつぶれてコンパクトにできるのでリサイクルしやすい。サーバーはボタンで簡単に取水でき、5段階の水温設定、手元が明るいLEDライト、操作パネル・注水口キャップは抗菌仕様など、使う人に配慮した機能になっている。

「月々のお支払いはお水代のみで3350円。サーバーレンタル、配送料、入会金はすべて0円で、9.5Lボトル2本を毎月、お客様の指定日や曜日に届けます。飲み切れなかった場合、配達から60日未満であれば、0円でスキップが可能です。

以前は私自身も売場で接客をしていましたが、売場では『ウォーターサーバーの水が飲み切れない』という声も多かったことから、お客様の要望に沿った料金体系にしています。

また、ビックグループのポイント制度もpuhhaに活用し、毎月の使用料でビックポイントを付与します。溜まったポイントはビックカメラグループの店舗やネットで利用できます」(ビックライフソリューション 代表取締役社長 西山佳孝氏)

配送エリアは26都府県からスタート。徐々に配送エリアは拡大していく予定。取扱店舗はビックカメラ37店舗、コジマ123店舗。

【AJの読み】若い秋保氏の起用で収益力の強化を図る

前社長の木村氏より31歳若い47歳の秋保氏の起用で収益力強化を図るビックカメラでは、今回発表された宅配水サービス「puhha」で、独自性の高いPB商品開発と新領域のリカーリングサービスの組み合わせにより、新たな収益源の開拓に取り組む。

ウォーターサーバーに使われる水は「天然水」と、フィルターで不純物を除去した「RO水」の2タイプがある。puhhaの水は、特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的、化学的処理を行わないナチュラルウォーターの中でも、地下を移動中や地下に滞留中にカルシウムやマグネシウムといった、天然成分のミネラル成分が溶け込んだ地下水の「ナチュラルミネラルウォーター(天然水)」だ。

秋保社長にコメントにもあったように、ウォーターサーバー市場は活況で、各社が同じような価格帯で展開しており、どう差別化するのかが課題だが、採水地が明確にされているpuhhaは、より自然なおいしい水を求めているユーザーにとっても魅力的で、乗り換え需要も見込めるのではないかと思われる。

文/阿部純子

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