副業といえばアルバイトやブログ作成など幅広いジャンルがあるなか、自身のスキルを活かして何かを教えたり、相談に乗ったりと、人とのコミュニケーションを取りながら人に役立つ働き方もある。オンライン上で「自分の時間を売る」ことは容易にできるようになってきた。
ビジネスパーソンが副業としてトライしたいと考える場合、どのようなポイントがあるだろうか。実際に自分の時間を売っている達人に体験談とコツを聞いた。
時間売りの達人に聞く 効率的な時間売りのコツ
1. 副業・独立アドバイザーの場合
一人目は、「副業・独立アドバイザー」として活動し、ファイナンシャルプランナーの資格を持つ、でめきん先生。「タイムチケット」という自分の時間を売り買いできる空き時間のシェアリングエコノミーサービスを利用し、活動している。初心者でも稼げる再現性の高い副業ノウハウの開発や、家計簿相談といった個別コンサルティングなどを行っている。
タイムチケット内では、全期間人気チケットランキング2位、年間人気チケットランキング3位にランクイン(2022年8月中旬時点)するなどの人気ぶりだ。
【取材協力】
でめきん先生
20代前半で借金4,000万を背負い、完全なブラックリスト状態になった後、ゼロからできる事業を数々開発。現在はその経験を活かして困窮者の相談事業やマーケティングの塾を運営中。総合ランキング1位になったタイムチケットの戦略ノウハウをブログで無料公開している。
「タイムチケット」ページ
「タイムチケット戦略ブログ」
●「自分の時間を売る」ことを始めたきっかけ
でめきん先生が、「自分の時間を売る」ことを始めたのには、どんなきっかけがあるのだろうか?
「会社員時代に20代で詐欺に遭い、4,000万の借金を背負っていたので、副業をせざるを得ない状態でした。資金がなくても稼ぐ方法を確立させなければならない状況に陥り、様々な事業や副業を開発しました。その経験を活かしてコンサル業を開始。ただ、コンサル代金は高額で払えないという方が多い状況でした。
私も副業したくても活動資金や情報代を捻出できないという同じような苦い経験があったので、最初に資金を得るためのノウハウや現状打破の相談を手軽にできるよう、安価で相談時間を提供できるタイムチケットに登録し、始めました」
●「自分の時間を売る」働き方のメリット
「自分の時間を売る」という働き方には、どんなメリットがあるだろうか?
「自分の時間を売るということは、相手からの問い合わせや相談に必ず受けないといけないという強制力が働きます。
副業や事業で成功したい場合は、必ず強制力が必要になると考えます。例えば副業の選択肢の一つであるアルバイトは、勤務をサボると給料をもらえない、最悪クビになるという『強制力』があるので、成功しやすいのです。
ただ、アルバイトは時間や体力面などの物理的な制約があるため、サラリーマンの方などは、なかなかむずかしいと思います。その点、自分の時間を売るのはアルバイトと違って、時間は自分で決められますし、場所もWebでどこでもできるので、サラリーマンの方にもおすすめの副業だと思います」
●「自分の時間を売る」ことを始めたい人へ
これから「自分の時間を売る」働き方を始めたい人に向け、始め方を教えてもらった。
(1)人生そのものが経験になる
「自分にはスキルも経験もないと思われる方も多いですが、すでに何十年と人生を歩んできているので、その人生こそがあなたの経験になります。まずはご自身の経歴を箇条書きにしてみてください。コンプレックスも非常にいい題材になります」
(2)同じ題材ですでに発信している人がいるかリサーチする
「題材が決まったら、同じテーマで発信している人がすでにいるかリサーチしてみてください。たとえ、すでに発信している人が多くいても問題ありません」
(3)自分だけができるポジショニングを設定する
「おそらくはどのようなテーマでも既に先駆者がいると思います。そこで、自分だけが発信できるテーマを作って優位なポジションを取る方法をお伝えします。
一番簡単な方法は、経験やコンプレックスの組み合わせです。一つのテーマはすでに先駆者がいても、組み合わせることによって自分だけができるテーマに生まれ変わらせることができます。
例えば、経歴は一般の大学出身で、ごく普通の会社員、コンプレックスは低身長である場合、『普通学歴で低身長でも自信を持って就活する方法』というテーマを作成できます。これから就活をするけどコンプレックスもあって自信がない人にとっては、これ以上ない相談相手になります」
2.WEBエンジニアの場合
続いては、WEBエンジニアのToshi Seito氏。同じくタイムチケットで活動しており、WordPressテーマ制作、WEBアプリ制作などの受注のほか、勉強会も開催している。
タイムチケット内で開催の「タイムチケットアワード」というタイムチケットの活動に貢献したユーザーを表彰するイベントで、2017年、2018年、2019年、2020年の4回受賞するなど活発な活動を行っている。
【取材協力】
Toshi Seito氏
30歳のとき海外での仕事に憧れ、カナダのバンクーバーにワーホリに行く。現地で募集していたアメリカ人フリーランスの元でWEBサービスの運営に従事。WEBの可能性を肌で感じ帰国後、未経験で都内WEB制作会社に勤める。現在はフリーランスとしてWordPressに特化した事業を展開している。
「タイムチケット」ページ
●「自分の時間を売る」ことを始めたきっかけ
Seito氏は、どんなきっかけで自分の時間を売ることを始めたのだろうか?
「タイムチケットを始めた当時は、WEBエンジニアの仕事に就いて2ヵ月ほどでした。副業という意識もありましたが、どちらかというと実力試しのつもりで、WordPressについて、できる範囲で使い方を教えるなど、技術面でお手伝いできたらなと思って始めました」
●「自分の時間を売る」働き方のメリット
「自分の時間を売る」働き方には、どんなメリットがあるだろうか。
「私の経験をお話ししますと、お客さんが困っていることを解決したときに、自分がまだ知らない技術などを相談されたことがきっかけで、新しい技術を身につけることができたこと、そして、その業界における需要を知ることができたこともメリットに感じました。
また、サラリーマンが副業として行う場合、勤めている会社とは関係なく、個人として評価されること、自分自身でお客さんを集客する力が養えることもメリットだと思います」
●「自分の時間を売る」ことを始めたい人へ
これから「自分の時間を売る」働き方を始めたい人に向け、伝えておきたいことを3つ挙げてもらった。
(1)スキル以上に接客するという意識が大事
「スキルシェアサービスを利用する場合、もちろんスキルがあって初めて行えますが、それ以前にお客さんと直接やりとりするため、メールのやり取りも含めて接客の技術も必要です。対面式のスキルシェアの場合は特に求められます。
接客の技術といっても、始まりの挨拶を元気よくする、お客さんが困っていることをしっかり聴いて、依頼の完了まで気持ちよく時間を過ごしてもらうといった当たり前のことが大切だと考えます。私自身が購入する側として利用したときに、この当たり前の事ができていない人もいました。スキルさえあれば大丈夫という考え方だと、評価は伸びにくいかと思います」
(2)初めからスキルは満点である必要はない
「私がそうであったように、始めからプロである必要はなく、サービスを通じて場数を踏んでプロになっていけば良いと思っています。初めのうちは自分のできる範囲のスキルで、金額設定を安くして購入してもらう機会を増やす。そして、経験を積んでスキルアップしていくのが良いと思います」
(3)色々なプラットフォームを利用してみる
「私の場合は、タイムチケットというサービスを利用していますが、提供するスキルによってプラットフォームとの相性が異なるかと思います。
ただ、その見極めはむずかしいので、色々なプラットフォームで、とにかく出品して、提供するスキルや自分との相性が良いところを探してみると良いと思います」
スキルや経験は後からついてくるものであるようだ。今回、2名から紹介されたメリットに合致するなら、ぜひ迷わず始めてみよう。
新・1on1オンラインコミュニケーションツール
「自分の時間を売る」プラットフォームは、タイムチケットの他にも複数ある。最近では、こんな新しいツールも誕生した。ぜひ候補に入れてみよう。
●「Cropa(クロッパ)」
インフルエンサーやコンサルタント向けの1on1オンラインコミュニケーションツール「Cropa」が、2022年7月26日より正式にローンチした。
ビデオ接客ツール「Remotewell」の開発・提供、コミュニケーションデータの解析・活用を行うリモートウェル株式会社が手がけるもの。
本ツールは、タレントやインフルエンサー、コンサルタントや士業などに適しており、顧客とオンライン通話を通じて「自分の時間を売る」ことができるという。
タレントやインフルエンサーは、近年、SNSの「ライブ配信」機能で1対複数人の形式でファンとダイレクトなコミュニケーションを取っているが、Cropaを活用することで、さらに深い1on1でのコミュニケーションを有料で気軽に実施することができる。
コンサルタントや士業にとっては、自らの知識を時間に応じて簡単に販売することが可能になる。
カレンダーと連携した予約機能や決済機能、LINE連携機能などの機能も備える。
●時間を売る業種の課題と解決策
同社の代表取締役 澤 孟澄氏は、Cropa開発に当たって、業界の課題を感じていたという。
「占い師さん、アイドルの方、士業さんの有料相談など、特に対面で話をする業界では、コロナ禍で対面が制限されたことで、より深刻に売上に直結している現状を目の当たりにしました。ZOOMなどを活用すること自体は可能でしたが、予約の管理、決済状況の管理など、オンラインで時間の販売をするには、管理をしないといけない部分が多々あります。入金確認をその都度、連絡を取り合いながら行ったり、キャンセルになった際の返金対応が煩雑だったりと、既存の通話ツールでは一気通貫ですべてを管理することができないという課題がありました」
そこで同社はその課題を解決すべく、Cropaを開発したという。
「Cropaでは、通信ツールでありながら、予約を自動で受け付ける機能を設け、決済をしないと相談の予約が取れないような仕組みを設置し、決済から予約、通話までをスムーズにできるようにしました。
また、予約時に事前決済をしていただく仕組みにしたため、キャンセルが発生した場合でも、キャンセル料を課金することができます。また延長機能により、続けて有料で通話をスムーズに行うことができるようにすることで、売上を上げることができるようになっています。
Cropaは誰でも簡単にオンラインで時間販売ができるツールです。今までオフラインで行っていた業務を、オンラインでも同じような形で、もしくはそれ以上に良い形で業務提供できる環境を作っております」
対話を通じて「自分の時間を売る」場合には、有効なツールの一つと言えそうだ。
「時間を売る」仕事を始めたいと思ったら、まずは自分が何を売ることができるのか探索することから始めてみてはいかがだろう。
取材・文/石原亜香利