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日本の代替食市場が成長産業になるための条件

2022.08.07

大豆を使った代替肉をはじめ代替魚、代替卵と、代替食業界が盛り上がっている。ただ先行する欧米と比べると「その成長ぶりはそれほど顕著ではない」らしい。日本の代替食市場は今後、どのような成長を見せるのだろうか? 

フードテックの力で代替肉はおいしくなっている

代替肉はアメリカが先行した。2009年にビヨンド・ミートが、2011年にインポッシブル・フーズが創業、現在もこの2大メーカーがアメリカの代替肉市場をリードする。日本で代替肉がスーパーに姿を見せ始めたのが2019年ごろで、その多くが大豆原料の大豆ミートだった。2020年は大手の食肉加工メーカーが大豆肉製品を発売し、代替肉元年などと呼ばれた。

日本における植物ベースの代替食市場は、2015年の89億円から2020年の246億円と3倍近い伸びを見せる(出典:TPCマーケティングリサーチ)。食品分野の事業開発に詳しい、日本総研の和田美野氏に、日本の代替食市場の見通しについて聞いた。

日本総研リサーチコンサルティング部門シニアマネージャー。食農を中心とした事業開発・業態変革、や、食品ロス削減など社会課題解決ビジネスの創出に力を注いでいる。

—–はじめに代替食(植物肉)がブームになった背景からうかがいます。

和田 世界的に見れば、代替食が広がった背景には、畜産による環境負荷の軽減、人口増によるタンパク質不足への対応の2つがあります。

代替肉がこの10年で急成長した理由にはフードテックの力があります。技術的に味成分の分析力が高まり、おいしさが追究できるようになった。さらに味だけでなく、焼いたら色が変わる、肉汁が出るなど、調理の楽しさまで考えられた商品が注目されるようになったのは2018年頃からです。このへんが代替肉ブームに火がついたタイミングだと思います。

日本においては、そこまで環境負荷への意識やタンパク質の危機感は高まっていません。それでもここ数年、植物肉が売れるようになったのは、商品数の増加による購入機会の増加に加え、以前と比べておいしくなったからでしょう。

タンパク質源が多様な日本と、ほとんど肉のアメリカ

イオンにはトップバリュブランドの大豆肉シリーズが登場した。精肉売り場に「ネクストミート」が並んでいるスーパーもある。

——今後、日本では代替食の広がりはどのように考えられますか?

和田 製品のサイクルとして、導入期、成長期、成熟期に分けるとしたら、現在アメリカは成長期に突入、日本は導入期と成長期の間くらい。今後、成長期に届くかどうか? といったところでしょう。食品メーカーの人に話を聞いても、「思ったより売れない」という声が多い。植物肉がスーパーに並ぶようになってきましたが、ブームから定着へというドライブはまだかかっていない感じがします。

——アメリカほど顕著に伸びない理由は?

和田 まず、食文化が大きく違います。アメリカは肉食文化。1週間の夕食が7回のうち7回が肉なら、そのうち2回、代替肉にするだけで市場は大きく伸びます。一方、日本人のタンパク質源は多様で、長いこと1位は豆などの穀類、2位が肉で、3位が魚でした。もともと日本では大豆をはじめとした豆類の加工が盛んです。味にも慣れ親しんでいるわけですから、たとえタンパク質危機になっても、代替肉にしてまで肉を食べなくてもいいわけです。

環境志向だけじゃだめ。健康志向を取り込め

肉だけでなく魚、卵の代替食も登場している。代替魚は日本ではまだレアな存在だが、ヨーロッパでは代替サーモンが人気を集めている。代替卵は今年に入って市販されるようになった。

——代替魚や代替卵など、食品の種類が増えてきました。今後、どの食品に注目されますか?

和田 代替魚は代替肉とは別の意味で普及する可能性が高いと思います。代替肉は環境負荷やタンパク質不足への対応という意味が大きい。これに対して、代替魚は水産資源の保全という点で重要です。水産資源の保全は海洋環境の保全につながります。近年、欧米でも魚食の人気が高まり、漁獲量が上がっていることを考えると、代替魚は必要性が高いと思います。

翻って日本はというと、もともと魚を日常的に食べていますし、刺身など生で食べる割合も高いです。それだけ舌の肥えた人が、海洋環境の保全のために代替魚を選ぶかというと……。代替肉にも共通していることですが、今のところ、日本人が代替食を積極的に買うモチベーションは見当たらないんですよね。

食品が売れるかどうかの指標は、味と価格と安心安全。この3点がそろっていること。安心安全については、日本の食品業界、流通業界ががんばって高水準を保ってきましたので、消費者はあまり心配していない。味は今後も向上が期待できるとして、最後に残る問題は価格かなと感じています。ちょっとでも高いと、特にこの低成長率時代では、なかなか売れません。

なので、普及にあたって残る障壁はやはり価格かと思います。日本では今も以前も、植物性の肉を買っていた主な層は健康志向の高い人たちです。この人たちは多少高くても買います。健康にいいというのは誰にとっても善で否定する人はいません。食品業界全体を見れば、代替食が成長産業であることは間違いありません。「健康」というキーワードをうまく使いながら供給していく工夫が企業に求められるところです。

次に、注目が高まるアップサイクル食品のトレンドについて聞いた。

「アップサイクルトレンド、日本とアメリカの違い」につづく

取材・文/佐藤恵菜


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