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トヨタの電動SUV「bZ4X」に乗ってわかったSUBARU「ソルテラ」との明確な違い

2022.07.26

これまでトヨタとスバルとの協業から誕生したBEV(電気自動車)のトヨタbZ4Xのプロトタイプサーキット試乗記、そしてスバル版となるソルテラAWDの公道試乗記をこの@DIMEでお伝えしてきた。今回はその第三弾として、トヨタbZ4Xの公道試乗記をお届けする。

筆者が参加したトヨタbZ4Xとスバル・ソルテラの公道試乗会はちょっと変わっていて、東京をソルテラのAWDで出発し、途中、御殿場でbZ4Xの4WDに乗り換え、静岡までひた走るという2クールの設定だった。前半となるソルテラの東京~御殿場までのセクションについてはコチラを参照していただきたい。

スバル・ソルテラ

スバル・ソルテラ

bZ4Xとソルテラは、新規共同開発されたBEV専用プラットフォーム=e-TNGAを採用した兄弟車。エクステリアデザインはそれぞれに個性が与えられているものの、全長4690×全幅1860×全高1650mm、ホイールベース2850mmは同一で、ここで試乗したbZ4Xの4WD(AWD)仕様のモータースペック、前後 最高出力109ps+109ps、最大トルク17・2kg-m+17.2kg-mにも違いはない。

ただし、bZ4XはZのモノグレードで2WDと4WDを用意するのに対して、ソルテラはFWDとAWDが選べるET-SS、および上級のAWDのみとなるET-HSの2グレードが用意される違いがある。BEVで気になる一充電航続距離は、bZ4XがFWD 559km、4WD 540kmに対して、ソルテラのET-SSはFWD 567km、AWD 542km(いずれもWLTCモード)と微妙な違いはあるが、ほぼ同一と見ていいだろう。

スバル・ソルテラ

共同開発ならではの相乗効果として挙げられるのが、両車、4WD/AWDにスバルのAWD車ではおなじみの脱出性能に重きを置いたX-MODEを用意する一方、先進運転支援機能はスバル自慢のアイサイトではなく、トヨタセーフティセンスに準じているところ(ノア&ヴォクシーほどの最新機能ではないが)。つまり走破性と先進運転支援機能はスバルとトヨタのいいとこ取り、ということになる。Xモード+アイサイトでもいいじゃないか?と思えるのだが、その理由について開発陣に聞いてみると、bZ4X、ソルテラは電子プラットフォームを使っていて、ガソリン車前提で開発され、採用してきたアイサイトよりもトヨタセーフティセンスの適合性に軍配が上がり、トヨタ方式を採用したとのことだ。

両車に個性あるエクステリアとは違い、bZ4X、ソルテラともにインテリア、インパネデザインなどはほぼ同一。シート表皮、一部装備の違いということになる。運転席に座り、メーター越しに前を見た時の印象は、だから、変わらない・・・。

もっとも、インパネ周りを詳細に見ていくと、違いはないわけではない。ソルテラにあるパドルシフトはbZ4Xになく、ドライブモードもソルテラはこれまでのスバル車同様にノーマル/エコ/パワーの”3モード”なのに対して、bZ4Xはノーマルとパワーの2モード。よりシンプルなドライブモードスイッチとなっている。ちなみに両車ともにいわゆるワンペダル機能が備わり、アクセルペダルを緩めることで回生ブレーキによる減速効果が得られ、ブレーキを踏む頻度が減り、ドライバーの疲労低減にもつながるわけだが、トヨタとしてはドライブモードのノーマル/パワーとそのワンペダル機能を3つのモードとして、それで十分と考えたようだ。

BEV=電気自動車の大敵が、エアコンの作動、それも冬季のヒーターの使用だ。これまでのBEVで、冬、ヒーターを使わず、ダウンなどを着たまま運転している光景を見かけたこともあるかも知れないが、ヒーターの作動によって航続距離が一気に縮まってしまうのがBEVなのである。その対策も両車は異なる。bZ4Xは暑い時期にうれしいシートベンチレーション(ソルテラのET-HSにも装備)のほか、運転席はステアリングコラムの下面、助手席はロアパネル面に、わずか1分で暖かさを感じられ、膝から下を一気に暖めてくれる遠赤外線輻射ヒーターを装備。一方、ソルテラは後席を含め、シートヒーターの範囲でこだわりを見せている。ちなみにオーディオもbZ4XはJBL、ソルテラはハーマンカードンとなり、音楽ファンを悩ませてくれる究極の!?選択となるかも知れない・・・。

走行性能の味付けにも、86とBRZ同様に、両車は違いを見せる。パワーステアリングの味付けが異なるほか、サスペンションはソルテラが1種類。bZ4Xはタイヤサイズによって変えている違いがある。サスペンションについてさらに言えば、bZ4Xはコンフォート志向、ソルテラはスポーティな硬めのセッティングとなり、バネは同一ながら、ダンパー(日立製)の圧縮側をソルテラは硬めにしてあるという(タイヤは同一)。つまり、ロールしにくく、ソリッドな乗り心地を示すのがソルテラで、ロールを許すものの、特に低速域の乗り心地の快適感を優先するのがbZ4Xということになるだろう。

さて、ソルテラのAWDで走破した東京~御殿場セクションに続き、御殿場~静岡間の新東名、山道、一般道を走ったのはbZ4X 4WDである。走り出せば、紛れもなくBEVならではの静かさとスムーズさに感心できるのだが、その乗り味は、硬めながら上級BEVならではの上質感、ドシリとした骨太さあるソルテラとは別物。実に軽快で爽やかな乗り味を、市街地、高速道路、山道で披露してくれたのである。言い方を変えれば、ほかのトヨタ車からいきなり乗り換えても違和感のない、いかにもトヨタ車的コンフォート感ある走りのテイストがbZ4Xの持ち味ということになる。ひとつ、気になったのは、リヤから入ってくるロードノイズ。パワートレーンからのノイズが皆無に近いため、ことさら目立つのだ。この点に関しては、開発陣も承知のようで、「課題」と認識しているようだ。

そして、東京~御殿場間を走ったソルテラのET-HSグレード(同じくAWD)と同じ、33000円のオプションとなるBS ALENZA 235/50R20サイズのタイヤを履いていながら、乗り心地はなるほど、足回りの方向性=ダンパーの圧縮側の減衰がソフトになる違いが明快な、軽やかで段差や路面に荒れにも優しいタッチを示してくれる。その代わり、高速クルージングでの車体の上下動、高速レーンチェンジ時の揺れ感、山道でのロール量は、いずれもビシリとフラットに、姿勢変化最小限に走るソルテラよりは大きめ。乗り心地のやさしさでbZ4Xが優位になるのは主に市街地だが、総合的に見ると、20インチタイヤ同士の比較では、ソルテラのほうに価格に見合う、欧州車的な走りの上質感があるように思えたのも本当だ。まだ試してはいないが、bZ4Xは標準の18インチタイヤがより適しているかも知れない(さらにコンフォート寄りになる。20インチはあくまでオプションでの選択)。

最後に、bZ4Xとソルテラの購入方法の違いについて。ソルテラは一般販売されている(サブスクあり)のに対して、このbZ4Xはリース、サブスク(KINTO)専用車となる。KINTOの説明を見ると、bZ4Xはペット同乗禁止(喫煙なども)。一方、ソルテラをサブスクで契約した場合、”ペット専用ゲージ利用のお願い”はあるものの、禁止はされておらず、ペット同乗OK!!(返却時にペットによる汚れ、臭い付着の場合は8万円の追加費用が発生する)。もちろん、普通にソルテラを購入すれば、その限りではなく、愛犬を最新のBEVに乗せ、静かでスムーズなドライブを自由に楽しませてあげられる。愛犬家で愛犬を乗せる前提なら、ソルテラを普通に購入するのがベストだろう。愛犬家がどうしてもbZ4Xが欲しい、というのであれば、もう1台、愛犬と同乗するクルマがあればいいだけだ・・・。

※bZ4Xとソルテラについては、6月23日にリコールを国土交通省に届け済みで、本稿執筆時点ではリコールの原因究明中につき、契約の申し込みを停止中とのことである。

トヨタbZ4X

文/青山尚暉
写真/トヨタ 青山尚暉(ソルテラ)

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