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トヨタ「bZ4X」と何がどう違う?乗ってわかったSUBARU「ソルテラ」の完成度

2022.06.21

いよいよ、スバルとトヨタのBEV専用プラットフォームを使う電気自動車、ソルテラとbZ4Xが発売された。ここでは、東京から御殿場までを走ったソルテラAWDの試乗記をお届けしたい。

ソルテラ、bZ4X共通のボディサイズは全長4690×全幅1860×全高1650mm。ホイールベース2850mm。AWDの最低地上高210mm。BEV性能の要となるバッテリーは、トヨタとパナソニックの協業によるプライム プラネット エナジー&ソリューションズ製(サプライヤー)で、これまたソルテラ、bZ4X共通の新開発大型バッテリーセルを用い、リチウムイオンバッテリーは電池セル数96個、定格電圧355.2V、電池容量201Ah、総電力量71.4kWhとされている。モーター出力はAWDの場合、フロント190ps(80kW)、17.2kg-m(169Nm)、リヤ190ps(80kW)、17.2kg-m(169Nm)。

気になる航続距離はWLTCモードで542km(FWDは567km)。また、充電時間は右フェンダーに充電ポートがある200Vの普通充電で10時間~、左フェンダーに充電ポートを備えた150kWまで対応する急速充電では約80%まで30~60分である(ソーラーシステム仕様車も用意されていたが、すでに受注停止)。なお、駆動用バッテリーの容量は、初期容量70%以上を8年間、17万kmまで保証されているから心強い。

ソルテラ、bZ4Xのエクステリアデザインはシルエットこそ変わりはないが、フロント、リヤ周りは独自のデザインを採用。ワンモーショングリップ&ステアバイワイヤと呼ばれる操縦桿のようなステアリングが見送られたインテリアもシート表皮などの違いが主だが、実は、装備、機能面での違いは、ここですべてを紹介できないものの、少なくない。

AWD、4WDモデルのスバル自慢のXモードを始め、電動車ならではのワンペダル機能やAC100V/1500Wコンセントが備わるあたりは両車で変わらないのだが、ソルテラのみの機能装備として、AWDに用意されたパドルシフト(回生レベルセレクター)、ノーマル、エコ、パワーの3モードドライブスイッチなどがある(bZ4Xの4WDはエコとノーマル)。ちなみにソルテラは3グレード、bZ4Xは1グレードの展開。オーディオはソルテラがハーマンカードンサウンドシステム、bZ4XはJBLプレミアムサウンドシステムという違いがある。

さて、都内の地下駐車場で受け取った最上級グレードのソルテラET-HS AWD(682万円)に乗り込むと、本革シートを備えた先進感と高級感溢れる空間が出迎えてくれる。電源を入れると、気になる航続距離はエアコンオフの状態で396kmを示していた(満充電ではない)。円形デザインのセレクターを押してDレンジに入れ、地下駐車場を走り出す。当たり前だが、ガソリン車とは別物の静かさ、スムーズさ、そして滑るような走行感覚がある。

が、試乗当日は夏日。外気温は当初、28度を示していた。当然、エアコンをオートに。すると398kmの航続距離は314kmに縮まった。実は、東京から御殿場までの走行で、今回は途中、1回以上の充電を行い、御殿場到着時に200km程度の航続距離を残すルールがある。そこで推奨されるエアコンエコ設定に変更。すると航続距離は322kmにやや増えた。御殿場までの走行距離は約130km(真っすぐ目的地に行くわけではない)だから、これは余裕かも知れない・・・。

首都高~東名高速道路を走るソルテラの乗り心地は重厚かつ上級感あるものだ。足は硬く感じられるものの、段差の突き上げショックは角が丸められているから、スポーティに感じられる乗り味ではあっても、不当に快適感は損なわれない・・・という印象だ。実は、ソルテラとbZ4Xは乗り心地に差があり、スバルはスポーティ方向(特に20インチタイヤを履くこのET-HSグレード)、トヨタはコンフォート方向にしつけられている。まったく同じ乗り味ではつまらないから、これは面白い。

インパネ周りは布張りで高級感たっぷり。横長大画面のナビはほぼ運転視界に入るのだが、メーターの視認性にはちょっと不満が残る。ソルテラの場合、日本と主な輸出国である北米の販売比率は1:6程度だという。それもあってか、ドライビングポジションとメーター位置の関係は、AM95と称されるアメリカ人の95%の人が視認しやすい基準で設計されているようなのだ。シートハイトコントロールを最下端にするのが好みの身長172cmの筆者だと、ステアリングを最も低い位置にセットして、ギリギリ、メーターパネルのすべてを視認できるようになる。それでもメーター内のスピード表示、外気温、ACCの速度設定表示など、文字が細かったり、小さかったりと、老眼の筆者だと決して見やすいとは言えない。さらに、インパネ前面は布張で先進感、高級感があるのだが、運転視界に入り続けるかなり広い面積のインパネ上面はプラスチッキーな質感で、700万円近いクルマとしては、ちょっと残念に思える部分かも知れない(あくまで筆者の感覚)。

高速走行での車内は平和だ。bZ4Xのプロトタイプサーキット試乗時に気になったドアミラー周りからの風切り音はこの生産車では気にならず、ほぼエコタイヤが発するロードノイズだけが耳に届く静かな世界だ。アイサイトではなく、トヨタセーフティセンスを用いた(理由はアイサイトが電動プラットフォーム向けに作られていないから)ACCの追従性能、再加速性能、ライントレース性も文句なし。ただし、ステアリング左側にあるACCの操作系はたくさんのスイッチが詰め込まれ、右手親指で操作する小さめのメインスイッチがもっとも遠く感じる左上位置にあるのが、個人的には使いづらかった(レヴォーグなどのスバル車は右上、日産のプロパイロットも右寄りにある)。渋滞追従は可能だが、停止後、3秒までしか保持されないのはやや不満。今では停止保持30秒~というシステムを持つクルマもあるからだ。

そんなことをレポートしているうちに、充電スポットとして予定していた海老名SAに到着。ここは珍しく、3基の急速充電器があるSAだからだ(大抵は1基)。日産リーフなどの先客はいたものの、この日、この時間はあまり待つことなく時間課金制で充電を開始できた。せっかちな性格だから、そして御殿場到着時間の制限もあるため、約20分の充電で済ませたのだが、それでもエアコンオフで295km、エアコンエコで284kmもの航続距離(直前の走り方による学習機能あり)を手に入れることができたから、これで一安心である。

ナビの指示では厚木ICから小田原厚木道路経由となっていて、御殿場に向けて、箱根新道を上るルートとなる。さすがに延々と続く上り坂では航続距離はみるみる減っていくが(汗)、目的地までの距離と航続距離を照らし合わせれば、まったく問題なしだ。

しかし、その先は、ナビの指示によって予想しなかったタイトなカーブが延々と続く道幅の狭いワインディングロードに突入。が、むしろソルテラの本領を知ることになった。そこではソルテラの低重心パッケージ、レスポンスに優れる電動パワーユニットの面目躍如といった走りを見せてくれることになる。ステアリングは切る、戻す方向ともに素晴らしくスムーズで、市街地で硬く感じられた足回りも、ここではロール最小限、その収束も早い、パドルシフトによる減速効果も際立つ実にスポーティで痛快な走りっぷり、自在感あるファンな操縦性を披露してくれたのである。ソルテラは最低地上高210mmのXモードさえ備える電動SUVだから視界が高いにもかかわらず、路面に張り付いたかのような低重心感覚、安定感・安心感に満ちたフットワークを示してくれるあたりは、さすがスバルの電気自動車の調教ぶりと言っていいだろう。

そうそう、ソルテラにはハーマンカードンサウンドシステムが備わり、静かな車内環境で試聴したのだが、結論から言えば、音の臨場感で後に乗ったbZ4XのJBLよりこちらのほうが好みだった(あくまで個人の感想。自宅のリスニング環境はJBL)。

御殿場の目的地に到着した頃には、硬めな乗り心地のソルテラではあるものの、それがむしろ重厚、スポーティ、プレミアムといった乗り味の印象を強めてくれることになったのである(18インチタイヤの選択肢あり。bZ4Xと比較すればなおさら)。

なお、第二区間として、御殿場から静岡に向けて走らせたトヨタ版のbZ4X 4WDの試乗記は、別途、お届けしたい。走りのコンセプト、テイストは、それはもう別物なのであった・・・。最後に一言。わが家のように愛犬とドライブする機会のある人、あるいは喫煙者は、ソルテラ、bZ4Xの選択はソルテラ一択になる。理由は、サブスクのKINTOのみの購入方法のbZ4Xは、その使用においてペットの乗車、車内の喫煙などが禁止事項になっているからである。

文/青山尚暉
写真/スバル・青山尚暉

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